──わかりました。最後に7月28日に開催される日比谷野音のライブについて聞ければと思います。本当の意味で、ようやく自分たちが表現したことのために立つ野音ですね。
松本前回は(喉のポリープ手術に伴う活動休止からの)復活の野音って言いながら、実は復活する前に、ライブハウスで2公演やったことへのハレーションも多かったんですよ。僕らにとっては、野音をやるためのリブート(再起動)の時間ではあったんですけど。
──バンド史上最大規模の会場に挑戦するにあたっては、手術を終えてから、一度もライブをせずにっていうわけにはいかないですもんね。
松本そうなんです。これも、いまだから言える話なんですけど、声の調子とかライブの感覚を取り戻さずに(野音に)立てるわけがないっていう事情があった。でも、それがあんまり理解されないことへの憤りもあったんですよね。あとは、完全復活のライブだから、ちゃんと成功させなきゃいけないっていうプレッシャーも渦巻いてて……。
──前回の野音も素晴らしいライブだったとは思うけど、バンドとしては、余計な感情に囚われてる部分もあったし、「復活の野音」っていう意味付け自体が、テレンの初野音としては、本来表現したかったものとズレてしまった。
松本そうなんですよ。辿り着く前に意味がついてしまうっていうのは、やっぱり良くないんですよね。通り過ぎたあとに意味がつかないと。
──ちなみに、日比谷野音っていう場所には、特別な思い入れはあるんですか? たとえば、過去に誰かのライブを見て、そこに立ちたいと思ったとか。
松本いや、ないない。
中原俺も全然ないんですよ。
松本ぶっちゃけた話をすると、スタッフが、俺らの音楽に野音は合うんじゃないかって言ってくれたことがきっかけなんです。だったら、やってみようって。
──大屋くんと川口くんは?
松本ここ大事だよ、俺たちふたりは「ない」って言っちゃったから(笑)。
大屋父親が好きだったキャロルとか忌野清志郎の野音をYouTubeで見たんですけど、それは印象に残ってますね。
川口俺は、野音と武道館は唯一知ってるステージだったんですよ。長崎にいても、バンドをやってれば、知ってるステージだったし、自分が好きなドラマーは全員立ってるステージだから。俺もこのポジションに立てるのはワクワクしますね。
──そういう話を聞きたかったです(笑)。
川口あと、僕はもともと外でライブをやるのは好きなんです。
大屋野外って思い通りにならないじゃないですか。雨が降るかもしれないし、風が強いかもしれないし、めっちゃ暑いかもしれないし。逆に、そのワクワク感はありますよね。いや、本当に雨が降ってほしいわけじゃないですけど……。
松本俺は全然あり。
中原嫌だよ(笑)。
大屋去年みたいに涼しくて過ごしやすい環境がいいけど、思い通りにならなないからこそ、それで(良い天候を)引き当てた喜びはあるかなと思いますね。
中原雨の不安とか、もやもや要素があるから、余計記憶に残るんですよね。
──当日はどんなライブにしたいと思いますか?
松本野外っぽい演出を考えてるので、会場に来たら、ビックリすると思いますよ。シンプルすぎて。去年やったときはセンターステージとか、野外ならではのアコースティック演奏とかもやって、感動したので。その経験も生かした内容になると思いますね。
中原何年後かに、2019年の夏のことを思い出したときに、LAMP IN TERRENの野音も蘇ってくるように、お客さんの記憶に強く残ってほしいですね。
川口僕は、いまのモードを変えたくないですね。平常心で、いつもの自分で、あのステージに立ちたい。それは前回とは違いますね。めちゃくちゃ気張ったから。
松本でもさ、ナチュラルに気張りたくない?
川口そうね、もちろんたくさん準備はしてるんですけど、変にガチガチに作りすぎるんじゃなくて、当日、会場でちゃんと気持ちを作りたいですね。
松本大喜がいちばんドヤ顔でドラムを叩いてると思います。
川口はい(笑)。
大屋気張りすぎるよりも、あとは天に任せるというか。演奏する本人なのに祈ってどうするの?って感じですけど(笑)。良いライブになるだろうな、しようかな……なるさ、きっと、みたいな。根拠のない確信を持って臨みたいです。
──野音ライブのタイトルは「Moon Child」ですけども。
松本ベイビーから、チャイルドになりました(アルバム『The Naked Blues』リリースツアー名は、その収録曲にもある「BABY STEP」)。
──成長しましたね(笑)。『The Naked Blues』に収録されている「月のこどもたち」から付けたタイトルですよね。太陽にはなれないけど、月のようなバンドでいたいっていう想いを込めた曲で。これを野音のタイトルにしたのは?
松本チャイルドには、わんぱくでいたいっていう気持ちもありますね。野音では、『The Naked Blues』で得たものを、ちゃんと見せたいと思ってるんです。あのツアーは本当に赤ん坊みたいなもので、あれから4ヵ月経って、自分が憧れたものとか、きれいに見えるものを恥ずかしがらずに歌えるから、本当に子どもみたいなんですよ。最初はそういう意図でつけたタイトルではないんですけど、お客さんのためというよりも、自分たちのためのタイトルなので。通りすぎたあとに、僕らも意味を100%理解できるんじゃないかなと思います。
──今日の取材で話してくれたことは、曲にしても、ライブにしても、ブレてないですね。「答えとか意味は、あとから見つければいい」っていう。
松本たしかに。いまは全力で楽しむっていうことですね。
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サイン入りチェキを1名様に!
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