都会的な洗練されたセンスとバンドらしい泥臭さが同居し、心地良くも熱量の高いメロディ&グルーヴを奏でるバンド、FIVE NEW OLD。2017年に1st EP「BY YOUR SIDE EP」でデビューすると、翌18年にはメジャー1stアルバム『Too Much Is Never Enough』をリリース。日本での全国ツアーのみならず、タイのバンコクでのイベントに参加して称賛を浴びるなど、今勢いに乗る彼らが、このほど新EP「WHAT’S GONNA BE?」を発表した。4月から東名阪を含む初のアジアツアー開催を控え、一気にブレイクの可能性も感じさせるところで、彼らの醍醐味である“ライブ”の話を軸として、その現在地とバンドの展望について語ってもらった。
パンクスのライブバンド精神は残っているのかな
──新EP「WHAT’S GONNA BE?」は良い意味でメジャー感がグッと出た印象を持ちましたが、メンバー内にそういった意識はありましたか?
HIROSHI(Vo,G)そうですね。お客さんと一緒にリズムで遊べるようなところや、口ずさみたくなるメロディを意識的に入れたりとかはありました。音楽を通して、よりコミュニケーションを取れる曲と言うんですかね。昨年、僕たちはワンマンツアーを経験して、タイなど海外にも行くようになったんですが、その中で“音が持っているコミュニケーションの力”みたいなものを強く感じてまして。そこで、より大きなフィールドでたくさんの人に聴いてもらうことを考えて、もっと音自体が持っている力にフォーカスした作品にしたいな、とは考えました。
──EPの1曲目「What’s Gonna Be?」などは、まさにそういう感じですね。“音の力”にフォーカスするにあたり、作曲の過程で普段と違う点はありましたか?
HIROSHIいつもは僕とギターのWATARU(G、Key、Cho)で骨組みを作って、ある程度出来たら全員でブラッシュアップしていくという流れなんですけど、「WHAT’S GONNA BE?」EPに関しては、ちょっと違いましたね。ゼロイチの作業(曲の骨子を作る作業)は僕がやって、アレンジはWATARUに投げるという感じでした。だから今回は彼の色が強く出ていると思います。ツアーや現場での経験からWATARUもギタリストとして成長していたから、出てくるフレーズが今までと違ったりするな、というのは聴いてて面白かったですね。
WATARU恐縮です(笑)。
──ライブを通しての成長というお話ですが、実際“自分たちはライブバンドだ”という意識はありますか?
WATARUライブバンド……だと思います。やっぱりもともとパンクシーンでずっとライブをやっていたので、ステージで叩き上げていくような泥臭い感じが根本にあって。音楽性こそいろいろ変わってきましたけど、そういうパンクスのライブバンド精神は残っているのかなと。
──あらためてライブというものに対するみなさんの考え方も聞いてみたいのですが?
HIROSHI僕がライブを観て“いいな”と思うのは、たいがいCDとアレンジが変わっていたり、アグレッシヴさが増していたりするバンドです。音源で聴くとおとなしい印象だったのに、ライブになるとドラムがすごく力強く叩いていたり、ギターがすごく歪んでいたりして、もとの曲の印象をガラッと変えてくれるというか。そういう、“その場でしか味わえないもの”があるのがライブなのかなと思います。
──楽器隊のみなさんは、いかがですか?
HAYATO(Dr,Cho)僕はオーディエンスの笑顔だったり、涙だったり、シンガロングだったり……そういうのを見て、すごくライブってものを感じるときがあります。あと自分の体調によって、演奏に浮き沈みがあったりもするんですけど、そういうのも含めてライブを楽しんでいますね。
WATARU僕の場合、端的にまとめてしまうと、会場の空気感みたいなものですかね。僕らの発するものとお客さんの発するものがぶつかってエネルギーみたいなものが生まれる場所というか。僕たちとお客さんの気持ちがウマく合ったときに出る会場全体のグルーヴ感みたいなものというか。自分の中では、それが“ライブ”なのかなとは思っています。
SHUN(B,Cho)ちょっと話がそれてしまうかもしれませんが、僕はGReeeeNにも関わらせてもらっているんですけど、GReeeeNのライブってステージに映像を流して展開するんですよ。収録された映像でも、日によって調子がいいなと思う曲やライブ全体の雰囲気が変わったりしていて。“この違いは何だろう?”とずっと思っていたんですけど、やっぱりその日のお客さんが作り出す空気なんですよね。ライブって自分たち(演者)のコンディションが日によって変わるということもあるんですけど、まったく同じものを観ても、日によって熱度とか空気感とか刺さり方が違うんです。
──ライブの雰囲気はアーティストとオーディエンスのコンディションが乗算されて出来上がる、という感じでしょうか?
SHUNそうですね。演奏側にちょっとした失敗があると、それだけでも観ている人としては夢から覚めるような感じになるなと思っていて。そこで最後まで夢から覚めることのないように、みんなで空気を作っていくことがすごく大事で、それこそがライブの楽しさなんじゃないかなと、最近すごく思います。だからプレイヤーとしては毎回気持ちいいグルーヴを出せるように細かいところまで意識を回すとか……今までは勢いでやっていた部分もあったんですけど、そういう部分も緻密に構築することでお客さんがライブに没頭できるようになって、場の空気が作れるんじゃないかなと思ってます。