可憐で凛とした佇まいに力強さを感じさせるボーカル、音色の良さを追求した演奏と音作りに加えて、レーザーやVJなど視覚的アプローチも駆使し非日常感のあるライブ空間を作り続けているORESAMA。2017年にTSUTAYA O-WESTにて立ち上げたワンマンライブ「ワンダーランドへようこそ」シリーズは、2018年に入りShibuya WWW X、LIQUIDROOM、マイナビBLITZ赤坂と回を重ねるごとに規模を大きくし、2019年2月2日には新木場Studio Coastに舞台を移す。思い描いていた舞台に立つ彼らは今いったい何を思うのか?
──いま一度「ワンダーランドへようこそ」というワンマンライブはどんなコンセプトのもと始まったのか聞かせていただけますか?
ぽん(Vo)自分たちがどんなライブをしたいのかがわかるタイトルがいいなと考えていて、自分たちの持ち曲のタイトルの「ワンダーランドへようこそ」がぴったりなんじゃないか?とチームみんなの意見が一致したんです。
小島英也(Gt/Prog)ライブはその場所、その一瞬でしか体験できない空間、まさに「ワンダーランド」だと思っていて。だからこそORESAMAのライブではそういう意味合いを強くしていきたいんですよね。
──ORESAMAがライブで「非現実」をポリシーにするのはなぜなのでしょう?
ぽん普段前に出て行くタイプではない自分たちが、ライブの時間はより違う自分になりたがっているからというのもあるかもしれないです。だからライブは集まってくれるみんなにとっても、日常の悲しいことやつらいことを一瞬でも忘れられるような、楽しい場所であってほしくて。
小島僕自身も日々の暮らしやストレスから解放される映画や漫画、ゲームに没頭するのが好きなので、僕らのライブがそういうものだったらいいな……というのは強く思っているんです。僕ら自身がそういう空間を必要としているのかもしれないね。
ぽんうん、そうだね。ORESAMAのライブは詰まるところ楽しい気持ちになるために存在していると思っているし、それに共感してくれる人たちがどんどん集まってくれているんだと思います。
──ぽんさんは歌詞を書く際、日常的な題材や出来事を非現実的に描くことが多いので、そういう精神とつながってきますね。
ぽんパラレルワールドのようなものが好きなんだと思います。自分たちのベースの世界がありながらも、そのうえで違う世界が見たい。ライブも規模が大きくなるにつれてできることが増えてきているので、お客さんも受け取る方法が広がっていることを楽しんでくれている気がしていて。思い描いているワンダーランドに近づいていきたいという想いからずっと同じタイトルを掲げてライブを続けてきたけれど、どんどんチームで想像してきたワンダーランドがかたちになってきているなと思います。
小島僕はふだんから宇宙のことを考えがちで、宇宙や星を連想して曲を作ることが多くて。僕にとってワンダーランドは宇宙空間だったりするんです。だから「ワンダーランドへようこそ」というイメージは、最初から大きなところにあったんですよね。それを実現させるために一歩一歩進んできているかなと思っています。
──そうですね。ORESAMAのライブはいつでも華やかでスケールが大きい。WWW Xのライブを拝見した時も、明らかにこのキャパでやる演出じゃないなあと度肝を抜かれました。
ぽん演出に関してはこれまで「豪華だ」と言っていただくことも多くて。でも「こういうことがしたいんだ」とチーム一丸となって提示し続けていかなければならないと思っていたので、それを貫いてきました。お客さんが楽しんでいることを感じられていることに加えて、少しずつ成長して、演出面も含めて益々いろんなことに挑戦できるようになってきた実感があるので、チームとして達成感が増していくぶん楽しくてしょうがないんです。
小島そのライブのためにオープニング曲やMONICOちゃんのDJ中の曲も書き下ろしたりして、ライブでしか見せられない新しい要素を入れたりもして。規模が大きくなればなるほど「ライブは1枚のアルバムを作るようなもの」という感覚が強くなってきていますね。
──1本1本のライブを大事にしていることを、気持ちはもちろんかたちにもしているユニットだと思います。ただ規模が大きくなると、ぽんさんの大事にしている「お客さん一人ひとりに届けるライブをする」というのは難しくなる面もあるのでは?
ぽん規模が大きくなるとレスポンスも多くなるし、遊んでいるという感覚が強くなってきているぶん、さらにお客さん一人ひとりと向き合えている気がしているんです。
──なるほど。お客さんからの愛を受け取ることで、ORESAMAはさらに優しい強さを身につけているんですね。
小島ぽんちゃんはライブ中の表情もやわらかくなってきて、動きも自由になってきていて、その姿からもステージに立つシンガーとしてのパワーがすごく上がっているなと思っています。リラックスしている時の歌はいいものになるし、ぽんちゃんはその上で心から楽しんでいる。
ぽんライブでステージに立っている4人のグルーヴもどんどん強くなってきているので、それも楽しいんですよね。