2022年5月に未来型ライブ劇場 harevutaiにて開催したワンマンライブで、今秋より一時活動を休止し充電期間に入ることを発表したORESAMA。ふたりの充電期間前ラスト作品となるLIVE Blu-ray+EP BOX『TREK TRUNK』が10月7日にリリースされる。
同作のBlu-rayには2021年7月にZepp DiverCity(TOKYO)にて開催されたワンマンライブの模様と、EPにはスマホゲームアプリ『The Leaper(中国リリース時タイトル)』のテーマソングなど5曲をコンパイル。表題曲の「TREK TRUNK」を筆頭に、自分の人生を切り開いていくポジティビティや、繊細な感情をポップに落とし込んだORESAMA流のディスコサウンドが味わうことができる。
充電期間前最後の活動はSpotify O-EASTで開催される「ORESAMA ONEMAN LIVE“TREK TRUNK”」。ひとつの大きな節目を前にしたふたりは、一体どんなモードなのだろうか。
同作のBlu-rayには2021年7月にZepp DiverCity(TOKYO)にて開催されたワンマンライブの模様と、EPにはスマホゲームアプリ『The Leaper(中国リリース時タイトル)』のテーマソングなど5曲をコンパイル。表題曲の「TREK TRUNK」を筆頭に、自分の人生を切り開いていくポジティビティや、繊細な感情をポップに落とし込んだORESAMA流のディスコサウンドが味わうことができる。
充電期間前最後の活動はSpotify O-EASTで開催される「ORESAMA ONEMAN LIVE“TREK TRUNK”」。ひとつの大きな節目を前にしたふたりは、一体どんなモードなのだろうか。
──充電期間前ラスト作品『TREK TRUNK』は、LIVE Blu-ray+EP BOXです。“TRUNK”と“BOX”がリンクしているギミックもORESAMAらしい遊び心ですね。
ぽん(Vo)実際のBOXも、トランクみたいなデザインになっていて可愛いんです。“この作品を持って旅に出よう”という思いを込めたBOXなので、これをひとつ持って行けば大丈夫だと思えるものにしたくて。そうしたとき、ORESAMAにとってワンマンライブを映像として残すことは必要不可欠だったんですよね。
──Blu-rayに収録されている「ORESAMA ONEMAN LIVE “SUMMER NIGHT PARTY”」は2021年7月にZepp DiverCity(TOKYO)で開催されたORESAMA初のブラスバンドを招いたライブ。原曲にないアレンジが多数楽しめる公演にもなりました。
小島英也(Prog/Gt)ORESAMAはディスコサウンドを謳っているので、ライブで生ストリングスや生ブラスに入ってもらう憧れはずっと持っていましたね。それが実現したのがあのライブなので、映像や光の演出だけではなく、音でも魅せられたことは自分にとってもかなり思い出深いです。それをきっかけにブラス隊の皆さんとレコーディングをご一緒させていただけたりもして、表現の幅が広がった大切なきっかけのライブですね。この日しか聴けなかったアレンジもたくさんあるので、ユニゾンや掛け合いといった楽器同士のコミュニケーションも増えて、演奏している僕らもすごくテンションが上がりました。
ぽんリハではブラス隊の皆さんと小島くんが綿密にやり取りをして、丁寧に参加してくださっていた印象があるんですけど、実際のライブ映像を観て、ブラス隊の皆さんもめちゃくちゃ楽しんでくださってるのがわかって。ORESAMAのライブ空間を楽しんでくださったことが、すごくうれしかったですね。
──コロナ禍でのライブはいかがですか?
ぽんやっぱり難しいことが多いですね。観客側としてライブを観ていても、声を出せないことへのフラストレーションは結構あるなと感じていて。それもあってORESAMAのライブでも振り付けを入れてみたり、ペンライトを使ってみたり、声以外の方法でコミュニケーションを取るにはどうしたらいいだろう?という試行錯誤をしてきました。
小島やっぱり声の出せる、みんなが歌えるライブが1日でも早く戻ってきてほしい気持ちは正直ありますね。
ぽんそうだね。でも少しずつ規制が緩和してきているのは、ルールをちゃんと守って、楽しんでくださってるお客さんと演者サイドの努力の賜物だと思ってます。ルールを口酸っぱく言わなくてもちゃんと守って、一緒に遊んでくださるのはすごくありがたくて。お客さんも一緒に楽しめるものはほかにないかな?と考えつつ、充電期間前ラストライブの準備をしているところです。
──ORESAMAは『TREK TRUNK』のリリースと「ORESAMA ONEMAN LIVE “TREK TRUNK”」開催のあと充電期間に入りますが、どうやらそれを発表をするか否か、チーム内でも意見が二分したそうですね。
ぽんどうするか悩んだんですけど……やっぱり応援してくださってる方に、どうしてリリースがないんだろう? ライブはしないのかな? 楽曲提供ばっかりだけどORESAMAはどうなるんだろう? とモヤモヤさせてしまうのが嫌だったのが発表に踏み切った理由です。それに、区切りを決めて発表すると、みんなと一緒に走っていけると思ったんですよね。それがORESAMAっぽいなと思ったし、最後までやっぱりORESAMAらしく駆け抜けたかったんです。
小島やっぱり発表すると、ひとつ覚悟が生まれる感覚があるんです。充電期間ということはORESAMAとしての力を蓄えるということでもあるし、それを宣言することによって個々の活動への気合いも入るというか、いい意味でのプレッシャーにもなっているんですよね。自分たちの勢いもつくと思う。だから発表って大事だなあと思っているところですね。
──『TREK TRUNK』のEPに収録されている「NIGHT BEAT」と「TREK TRUNK」は、それぞれ旅立ちの前の夜と旅立ちの当日という印象を持ちました。どうやら「NIGHT BEAT」は、小島さんが深夜のライブハウスをイメージして作曲なさったそうですね。
小島充電期間前最後の新曲だからと言っても、別れを告げるような作品にはしたくなくて。あくまで現時点の最新作品で、最高のORESAMAを見せることに重点を置いて制作していきました。ORESAMAは深夜にライブをやっていたユニットではないんですけど、僕もコロナ禍に入る前はクラブに遊びに行った経験があるので、それをもとに書いていきました。深夜の最後の曲、朝方に向かう曲にはすごく感情がこもっているなと感じていて。それぞれの生活に帰る直前の、テンションも上がっていてセンチメンタルな気持ちにもなる複雑な気持ちを音にできたらなって。
──そういう日常が恋しかった?
小島それもありましたね。あと、充電前最後の作品だからこういう曲を書いたわけではなく、純粋にそういう瞬間を想起させる曲を作りたいなと思って作り始めたんですけど……やっぱりどこかしらこの作品でORESAMAがひと区切りつくんだという気持ちは拭えなかったんだろうなとは思っています。だからそこに付随して、クラブの夜明け前のシーンを思い出したのかなとも思ったりもするんですよね。
ぽんわたしも今作の制作の最後にORESAMAに向けて子守唄を歌うイメージの曲が作れたらなと思っていたので、小島くんの作ってくれたデモ3曲から「NIGHT BEAT」になる楽曲を選びました。小島くんはデモの段階で、フレーズの雰囲気に合った言葉を乗せることが多いので、「NIGHT BEAT」はデモの時点で夜っぽさを感じたところもあるかも。
小島僕は作曲時には歌詞の内容に関しては何も考えていなくて、音に合った単語だけを入れているんです。「NIGHT BEAT」はぽんちゃんが歌詞で書きたいことと僕の作りたかった音の雰囲気が合致して、ぽんちゃんが世界観を広げてくれたケースですね。
──“子守唄”と“ドライブ”が同時に成立しているところも、非日常をテーマにしているORESAMAのカラーではないかと思います。
ぽんORESAMAを寝かしつけると考えたときに、抱き上げて揺れる、添い寝をするというより、ドライブに連れだして眠りに誘うイメージが強かったんです。あとこれまでもORESAMAには乗り物がよく出てくる気がしていて、そこから引っ張られたところもあるかも。
──それこそ旅に乗り物はつきものですしね。旅を表す言葉はたくさんありますが、なかでも“TREK”というワードを選んだのはなぜでしょう?
ぽん人生の分岐点が駅や空港だとしたら、一人ひとりそれぞれ違うルートがあるわけで。乗り降りを繰り返しながら少しずつでも前に進んでいくなかで、わたしたちは偶然乗り合わせたことで一緒に歩みを進めてきたと思うんです。今回の旅をきっかけにまた違う目的地に旅立つけど、また同じものに乗り合わせたら一緒に走っていきたいという気持ちが強いので……ジャーニーでもトリップでもない、冒険の要素が強い“TREK”を選んだんですよね。それで“TREK TRUNK”というタイトルを提案して、そこから小島くんが「TREK TRUNK」を作り始めてくれました。
──「TREK TRUNK」はORESAMAの歴史が詰め込まれたサウンドだと感じました。
小島おっしゃっていただいたとおり、僕も今までのORESAMAと今のORESAMAをギュッと詰め込みたいなと思って作り始めました。昔の曲で使っていた音をサンプリングしたりもしていますね。ただこの曲はかなり制作が難航しまして……。何曲書いてもなかなかしっくりこない日が続きました。やっぱり充電期間前最後の作品の表題曲となると、どういうものがふさわしいのかORESAMAの楽曲を作るうえでいちばん悩んだんじゃないかなっていうくらい悩んで。
ぽんえっ、そうだったんだ。
小島それで何曲も書いた末に、“何を作るかではなく、どう作るかに焦点を当ててみよう”と思ったんです。最近はトラック作りにも慣れてきたから、パソコンで打ち込んでそこにメロディを乗せていたんですけど、「TREK TRUNK」はいちばん最初に音楽を始めたときの、ギター1本持って歌って作るところまで立ち返って。
──へええ。音楽を始めたときの小島さんと、今の小島さんの邂逅ですね。なんて胸が熱くなるエピソード。
小島あははは。いま必要なのは“音楽を始めたときに立ち返る”ってことなんじゃないかと思ったんですよね。それでギターとピアノでまずコードを作って、それでできたのが「TREK TRUNK」です。だからAメロとか自分が聴いても今の自分っぽくないなあと思ったりして。そういう意味でも表題にふさわしい曲ができたなと思います。
ぽん“小島英也が通ってきた道”ってことだね。わたしの思いを汲んでトラックを作ってくれたのもうれしかったですし、最後の離陸音もすごく気に入っているんです。切なくありつつも爽やかに旅立っていく、それで締めくくれるのがすごく素敵で。いい曲を作っていただいてありがとうございます。
小島とんでもないです(笑)。
──「TREK TRUNK」は、小島さんは1曲目に、ぽんさんは最後に収録したかったそうですね。結果ぽんさんの意見が通ったわけですが。
小島僕は“表題曲と言えば1曲目でしょう!”という固定観念があるので(笑)。どんな表題曲を作るときもそのイメージですね。だから今回も「TREK TRUNK」は表題曲らしく明るくて疾走感があるものにして、逆に僕は「NIGHT BEAT」が最後の曲のイメージだったんです。結果ぽんちゃんの意見が通って「TREK TRUNK」が最後になったけど、とてもハマっているなと思います。
ぽんさみしく終わりたくないという気持ちが強かったのと、「TREK TRUNK」はわたしたちからみんなへのお手紙のような曲でもあるので。置き手紙じゃないですけど、この曲を絶対最後に手渡したいという気持ちはすごくありましたね。でも小島くんの“表題曲は1曲目の気持ちで作る”というのは大事だし、それがとてもいいんだと思います。
──《君は君の 僕は僕の 物語を描いていく》や《僕だけのルートを走るよ》というラインからも、お互いを認め合い、自立した人々が描かれている印象がありました。
ぽん『TREK TRUNK』の楽曲も含め、ここ最近“どう生きていくか”がテーマの楽曲を書く機会を多くいただいていたんです。「Memento」はナイーブな面に対する自分の決意を歌っていたり、「ism」は他人にはちょっとわがままに映るぐらいでもいいんじゃない? という気持ちを描いていたり――いろんな面から“自分はどう生きていくか”をテーマに書かせていただく機会が多かったからこそ、「TREK TRUNK」みたいな歌詞が書けたのかなって。やっぱり、すべてが完璧な人はいないじゃないですか。
──そうですね。
ぽん完璧ではないから、ちょっとずるい面があったり、弱い面があったりもして。そういう自分を認めてあげることが、自分にとってのテーマでもあるんです。だから旅に出る前には見えなかったことが、旅に出たことで見えるかもしれない。いろんな面から自分を見つめていくというニュアンスが、「TREK TRUNK」は強いかもしれないですね。“みんなはみんなの人生を楽しんで、またこの先で出会ったら一緒に遊ぼう”という思いをちゃんと込めたかったんです。