
──10年前の自分はどんな感じでしたか?
木下理樹(ART-SCHOOL)10年前は、37か。ちょうど(マネージメントから)独立した頃ぐらいかな……失ったものも、すごいあったし。むしろ、ほとんど失ったかな。
小出祐介(Base Ball Bear)(笑)ほとんど!? 身ぐるみはがされた?
木下「すべて失ったな」って思ってたよ、休んでる時は。(※2019年から約3年間、木下理樹の体調不良でART-SCHOOLは活動を休止) でも、その時より、今の方がやっぱり、やってて楽しいですかね。10年前は、独立したてで、自分ががんばっていろいろやっていくんだ、っていうふうに思ってたけど。今になると、「おまえ、もうちょっと気を抜いてやった方がいいよ」とは思う。じゃないとね、なんていうかな、追い詰められがちになる。

小出ああー。
木下今、独立して、自分たちでマネージメントとかやってるバンド、多いじゃん。それのよくない方のパターンで言ったら、全部自分たちで判断しなきゃいけなくて、追い詰められがちになっちゃう。だから、いろんな人に相談できるようなチームを組んだ方がいいと思うし。自分がいろんなものを全部担ってる、って考えない方がいいな、ってことだよね。まかせるところはまかせる、にしないとね、やってて楽しくないし、そういうことが常に頭の中にあるってことは、ライブをやっても、いいライブには絶対なんないし。若い子たちで、独立を考えてる人たちは、そういうふうに陥らないでほしいなと思って……でも、10年ってことで言えば、10年ってやっぱでかいよねえ。
小出ねえ?
木下10年やったら、何か得るものは絶対あるし。僕は10年前よりも今の方が楽しいし、自由にやれてるっていう気持ちはありますね。
──10年後の自分をどう予想しますか?
木下10年後……57歳かあ。1年後のことさえわかんないからさ。10年後、57でしょ……ひとまずは、健康ではありたいですよね。
小出本当に!
木下本当に。なんかさ、いろいろ出てきそうじゃない。身体に悪いところが。
小出本当に。心から、本当に!
木下健康であればなんでもできると思うから。まずは健やかであることと、ほんとに、あとは、そうだな……もう本当に世の中がね、少しでもましになっていてほしい、っていうかさ。もう「地獄じゃん」みたいな状況だから。
小出この2日で、地獄が増してるからね。(※この対談の前日に、アメリカとイスラエルがイランへの攻撃を開始した)
木下もともと地獄なのが、もっとねえ。もう、だから……でもね、デヴィッド・リンチが、インタビューで、ストレート・ストーリーを否定された時に、「いや、俺は自分の頭の中にあるアイデアに、ずっと恋をしてるだけなんだ」って言ってて。いい言葉だなと思って。
小出ほんとですね。

木下だから、それを借りるなら、自分は自分が作るアイデアやものに……それはどんな形であれ、いいと思う。音楽じゃなくてもいいし。そういうことに対して、夢中になっていたい。できるなら、夢中になったまま、死ねればいいですね。
小出うん。150歳ぐらいで。
木下(笑)。長寿だなあ。






