──みなさんがそれぞれ初めて立ったステージのエピソードを聞かせてください。
宮崎一晴(Vo/Gt)人前で歌った経験は小学校五年生の時です。自作曲なんですけど、ぜんぜん大したものではなくて(笑)、僕がというよりは僕が属してる友達グループがクラスのムードメーカーで。「自然教室」という校外に行く宿泊イベントがあって、バスの中でレクリエーションみたいなのが盛り上がるんですね。で、「一晴、何か歌ってー」ってことで、自然教室で行ったこと、長野県川上村について即興で歌ったのが初めてですかね。
──ウケたんですか?
宮崎一晴(Vo/Gt)その時もみんな面白がってくれて楽しんでくれたし、覚えててくれた人が卒業文集に「一晴が川上村のバスの中で歌ってた歌、めちゃくちゃよかった」「あれ、めっちゃ最高だった」とか、学級日誌の「自然教室の思い出」にも載ったりして。思えばあれが人前で自分が作った歌を歌うきっかけだったなと思うし、あの時に「なんだよそれ?」て言われなくて、ちゃんとポジティブな方向になったことが、無意識的にすごい自信になっていたんだなと思います。自分で何かを作って人前で歌うっていう。だから、自分の一番最初のステージはバスの中ですね(笑)。そう言えば、これはどこにも話してないかも。
秦 愛翔(Dr)知らなかった。
──フリースタイルですね。
秦このバンドとして立ったステージは高一なんですけど、僕がドラマーとして初めて人前で舞台に立ったのは中学一年生の時ですね。ドラム始めたのが中1の吹奏楽部に入ってからなんですよ。それまではサッカーをやっていたんですけど、才能がなくてあんまりにも下手すぎて、そのあとめちゃくちゃ勉強頑張ったんですけど、中学受験に失敗して。ヤンキーとかに「落ちたんだって?だっさ」とか言われて、もう目の前が真っ暗になって。「なんで俺生きてるの?」って思ったんですね。
──厳しいですね。
秦めっちゃ、落ち込んでたんですけど、いろんなことがあって吹奏楽部入ってたんですよ。まあ女の子が可愛かったっていう理由で入ったんですけど(笑)、そこでドラムに出会って。初めて人前でドラムを叩く機会が合唱コンクールの一番最後の余興演奏みたいなやつだったんですけど、デカいホールでしかも全校生徒700人に見られるっていう。今のクジラのワンマンとそんなに変わんない人数を目の前に初めて30分間ドラムを叩くことになって、アレンジを自分で考えてたりと思いっきりやりきって、まあ無事に終わったんです。
──反応はどうだったんですか?
秦終わって、一個だけフロアタムだけ忘れちゃって、しーんとなっている中、舞台に取りに上がったんです。そしたらその瞬間に知らない先輩が「お前のドラムすげえじゃん!」って立ち上がってスタンディングオベーションみたいなのがおこって、その時にかつてないぐらい鳥肌が立って「あ、もうこれ一生続けるしかないな」って思ったのが人前で初めて演奏した時の経験ですね。あの時から僕の人生って始まったんだなって、振り返ると思いますね。
──フロアタムを置き忘れてなかったらその経験もなかったかもしれない。みんな「どんなやつだ?」と思ってたんでしょうね。
秦一年生なんで誰も知らないし、眼鏡かけた冴えない男の子だったんで尚更ですよ。
山本 薫(Gt)僕は中学の時に同じ学年の友達と遊びでコピーバンドをやってたんですけど、中学3年の卒業式が終わった次の日にPTAのイベントがあって、体育館でちょっと時間をもらって演奏したのが初めてで。全然ちゃんと楽器があるわけでもなく軽音部もあるわけじゃないんでかなり拙い演奏だったと思うんですけど、終わった後にサッカー部の顧問が素のトーンで「お前スゲーじゃん!」って言ってくれて。当時、僕はサッカーをやってて、その顧問は厳しい人でいつも怒られてたんですね。だからその一言が忘れられなくて。その瞬間があったからやってるわけじゃないですけど、あの一言は忘れられないですね。
──確かにその時の感想もなかったら手応えはなかったかも。
山本かもしれないですね。普段からめっちゃ怒られてたんでそれが余計にこう感情をブーストさせてくれて。
佐伯隼也(Ba)僕は高校1年生の時の軽音楽部の育成発表会ですね。1年生のくじ引きで決められたバンドが2ヶ月間バンドのことを学んで結果を発表するんですけど、その育成発表会でパート毎にうまかった人が抜粋されて「選抜バンド」を組むっていうシステムがあって、クジラ夜の街はそれで組んだバンドなんですよ。その前から「この4人でやりたいね」みたいなことは話はしてて、その選抜バンドにならなきゃいけない重圧と初めて人の前に立って何かするっていうのがかけ合わさって、今でも覚えてるんですけど、緊張が人生でランク一位ぐらい凄かったです。
宮崎こいつ(佐伯)を選抜にしたかったんで、ベースが目立つ夜の本気ダンスの「WHERE?」を選んだんですよ。あの曲はずっと繰り返し同じフレーズを弾くので、初心者にとっては挑戦しやすいし、目立つこともできるので「これ弾いとけば勝てるよ!」と。そしたらまんまと勝ってくれました(笑)。
──佐伯さんはそれ以上緊張することは未だないってことですね。
佐伯ほんとにないですね。それが本当に一番緊張したっていう思い出があって、あの日は忘れられないです。
──佐伯さんが一番クジラが夜の街に繋がる話をいただきました。ありがとうございます!
編集部:みなさんそれぞれ今の「クジラ夜の夢」につながっていますね。素敵なエピソードを教えていただきありがとうございました!