KIRINJI 堀込高樹、楠均、千ヶ崎学の初めて行ったライブは?
編集部:堀込さん、楠さん、千ヶ崎さん、初めて行ったライブを教えてください!
堀込高樹「マイケル・マクドナルド」
楠均「舘野泉」
千ヶ崎学「チューリップ」
千ヶ崎学(Ba.Vo.):僕はチューリップです。川崎市文化会館。中学の何年生だったか忘れちゃったんですけど、ドキドキしてたのは憶えてます。
堀込高樹(Vo.Gt.):その頃のチューリップって、どんなメンバーだったの?
千ヶ崎:財津(和夫)さんはもちろんいて、安部(俊幸)さんと姫野(達也)さんもいたと思うんですけど、ベースは宮城(伸一郎)さんの時代です。
— チューリップの何かヒット曲を聴いて、興味を持ったんですか。
千ヶ崎:多分、仲が良かった友達のお兄さんに聴かせてもらって、それで知ったんじゃないかなあ。で、僕は洋楽も好きだったんですけど、チューリップは日本のバンドなのに洋楽っぽいと思って、それで興味を持って、見に行ったんだと思います。
— 初めてのライブの感想は?
千ヶ崎:音、大きい!と思いましたね。ベースはもう始めてたんで、“ベース、ワンワンいってるなあ”と思ってましたね。
— ライブをもっと見たいと思いましたか。
千ヶ崎:思いましたねえ。それから僕はライブハウス通いが始まっちゃって、渋谷のLIVE INNには本当に通ってる感じでした。階段で先生に会っちゃって、「オマエ、何しに来てるんだ」って(笑)。
楠均(Dr.Per.Vo.):先生も、先生だね(笑)。
千ヶ崎:カルメン・マキさんのライブで、その先生は漢文の先生だったんですけど。LIVE INNとかクロコダイルには、行きまくりましたよ。音が生々しいから、やっぱり小さい会場のほうが好きで、すっかりハマりました。
楠:僕は小学校のときに北見市民会館に舘野泉さんというピアニストのコンサートに行ったのが最初だと思います。
— 舘野泉さんというのは左手の音楽をやられてる方ですよね?
楠:そうです。脳の病気で倒れられて、でも復活して最近は左手1本で活動をされてるみたいですね。じつはその最初に見た時はほとんど寝てたんですけど(笑)、でもびっくりしたのはそのときに聴いた音色をちゃんと憶えていて、大人になってから舘野さんの演奏をラジオで聴いたときに“この人の音色、知ってる!”と思ったんですよ。ラジオで聴いたのは左手だけの演奏だったんですけど、よっぽどの個性を持った演奏家なんだと思いますね。
— 北見で観に行かれた当時は、クラシック音楽をよく聴かれていたんですか。
楠:いやいや、僕が当時住んでいた北海道の田舎には千ヶ崎くんみたいに通うようなライブハウスなんてなくて、近くでコンサートというとそういうクラシックのコンサートしかなかったんです。いまやっている音楽に直接つながるようなコンサートというと、高校の1年か2年のときに紋別で見たティン・パン・アレーですね。お客さんは200人もいなかったと思います。ティン・パン・アレーのメンバーも「この直前のライブではお客さんが何千人もいたんだけどねえ」とか言って苦笑してたっていう(笑)。
千ヶ崎:でも、紋別で200入ってたら、すごいじゃないですか。
堀込:当時、ティン・パン・アレーはどれくらい認識されてたんですか。
楠:音楽が大好きな高校生しかいないですよ。だから、クイーンが好きなヤツがロンドンブーツ履いて観に来てたりするんですよ。いまから考えたらおかしいんだけど、でも当時はロック・コンサートだったらなんでもいいっていう感じだったんですよね。
堀込:僕は、自分のお金でチケットを買って初めて行ったのは、中野サンプラザのマイケル・マクドナルドだと思います。高校生のときですね。当時は、『ミニット・バイ・ミニット』というアルバムがすごく好きで、でもドゥービー・ブラザーズはもう活動してなくて、そのアルバムからの曲もやるかなと思って行ったんですよね。で、学校が終わって、家に帰って着替えて、埼玉の田舎から中野まで来るわけですけど、その会場に行くまでの道のりがすごい緊張したんです。新宿までは行ったことあったけど、中野には行ったことがなかったから。演奏はあまり憶えてないんです(笑)。ギターがロベン・フォードだったのを憶えてるのと、音がデカいのにはびっくりしました。その後、ちゃんとしたライブはあまり見ることがなくて、ウチの高校の通学バスの運転手でギターの上手い人がいて、その人がギター持ってるヤツに「こういうの、知ってる?」とか声をかけて、中川イサトさんのテープをくれるんですよ。
千ヶ崎:布教活動みたいなもんだ。
堀込:そうそう。それで、その人と友達といっしょに、イサトさんのコンサートを吉祥寺の曼荼羅に見に行きましたね。結果、僕が入ってたクラブの連中はみんな中川イサトの曲をコピーするようになって、僕が卒業した後の話ですけど、ご本人に学校に来てもらったそうです。
編集部:通学バスの運転手さん、気になりすぎます(笑)
堀込さん、楠さん、千ヶ崎さん、ありがとうございました!