先日、惜しまれながらも逝去された脚本家・橋本忍、俳優・加藤剛を偲び、映画『砂の器』シネマ・コンサートの追悼公演が決定した。
映画『砂の器』は松本清張原作、橋本忍・山田洋次脚本、野村芳太郎監督により1974年に劇場公開された日本映画史に燦然と輝く不朽の名作。加藤剛は気鋭の音楽家・和賀英良を演じ、映画『砂の器』は加藤剛の代表作ともなった作品。
橋本忍と共に脚本に携わった山田洋次監督は、「構成の鬼といわれたこの人から、シナリオの根幹はフレーム(骨組み)にあるということを、ぼくは叩きこまれるように教わった。まさに”師”の名に値する人だった。黒澤明と共に『羅生門』や『七人の侍』を世に出した、日本が世界に誇るに足る偉大な映画人を、ぼくたちは失った」とコメントしている。
映画『砂の器』シネマ・コンサートは、2017年夏に東京で初演され、今春には東京・大阪で再演。この度の橋本忍、加藤剛の訃報を受け、急遽再々演が決定された。シネマ・コンサートは劇中のセリフや効果音はそのままに音楽パートをオーケストラが生演奏する映画上映とコンサートの複合型イベント。
『砂の器』といえば、後半40分のクライマックス・シーン全編に渡って流れる組曲「宿命」。物語中で加藤剛演じる気鋭の音楽家・和賀英良が作曲、自ら指揮・演奏するシーン、緊迫した捜査会議シーン、和賀の回想として描かれる、お遍路姿の親子が四季折々の全国を旅するシーン。この3つのシーンを交互に織り交ぜながら、背景に演奏されるのが、オリジナルで書き下ろされた組曲「宿命」。ラスト40分のあいだに綴られる音楽と映像の融合によるカタルシスが、映画『砂の器』シネマ・コンサートの真骨頂だ。
コンサートの演奏は国内屈指の名門、東京フィルハーモニー交響楽団。指揮はスコアの復刻を担当した作曲家・和田薫が自らタクトを振り、ピアノは近藤嘉宏が担う。
映画『砂の器』追悼シネマ・コンサートのチケットは、8月11日(土・祝)の一般発売に先駆け、本日(7月26日)より先行予約の販売がスタートする。詳細はコンサート公式サイトにて。
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