そんなシネマ・コンサートのアンバサダーに俳優・歌手の石丸幹二が就任。シネマ・コンサートの魅力を伺った。
楽器が演奏する音を、空間を通して耳にすると、録音された音源とは違うパワーやエネルギーが来るはず
石丸の映画音楽の最初の体験は 1966年に公開された「野生のエルザ」だという。『あの音楽を聴くと大平原と動物たちの情景が浮かんでくる。子供心に凄くエネルギーを感じましたし、映画って面白いなと思うきっかけになりました』。同作品の音楽は 007シリーズを手掛けたジョン・バリー。最初に出会った音楽が名匠ジョン・バリーだったとは興味深い。その後、石丸はミッシェル・ルグランが音楽を手掛けた「シェルブールの雨傘(1964)」や「ロシュフォ ールの恋人たち(1967)」、さらには、レナード・バーンスタイン作曲の「ウエスト・サイド物語(1957)」、マーヴィン・ハムリッシュ作曲の「コーラスライン(1985)」といったミュージカル映画に影響を受けていく。『聞き覚えのある音楽が、ダンサーたちが踊っているうしろで流れている。映画音楽ってすごく魅力的だなぁと思いました』と映画音楽への関心を益々深めていく。俳優となった今では映像の現場に入る度に、どんな音楽がつくのかが興味あるという。
映像作品は舞台と違って、撮影された映像を編集し、そこに音楽がつけられて完成する。『撮影している時、我々俳優は音が聴けないんです。それゆえ出来上がって音楽がつけられたのを見ると、いつもマジックだと思います』と演じる側ならではの楽しみ方も打ち明け『その音楽が、映画の上映と一緒に生の迫力で演奏されるのですからお客さんにはグッと来るでしょうね』とシネマ・コンサートについても話しが及ぶ。『映画は、監督が色々なものをチョイスし、調整して、ひとつのパッケージとして作り上げる。このシネマ・コンサートでは、音楽部門を抜き出して、オーケストラが存分に演奏するわけですよね。かつての無声映画に活弁士や音楽がついていたように。つまり、映画には、監督の手から離れて、このような可能性や面白さがあると思うんです』と語り『楽器が演奏する音を、空間を通して耳にすると、録音された音源とは違うパワーやエネルギーが来るはず。それがシネマ・コンサートの魅力のひとつなんだと思います』と自身のシネマ・コンサート観を話す。
誰も味わったことのない、この瞬間だけのレアな体験が出来ます
10月には「ティファニーで朝食を」「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」と「最後のジェダイ」、「ルパン三世 カリオストロの城」12月には「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」と魅力的なシネマ・コンサ ートが続々と上演される。
『我々の世代は、テレビでよく映画を観ました。「ティファニーで朝食を」もその1本。ヘプバーンがどんなチャーミングな演技をしてるのか、あらためて興味があります。若い人には、こんな大女優がかつて居たんだよということを音楽と共に記憶に刻んで欲しいですね』。
「スター・ウォーズ」のシネマ・コンサートについては『宇宙って、こんなのかなぁとイメージできる楽しさがあるジョン・ウィリアムズの音楽が素晴らしい。特にメイン・テーマは演奏者の腕の見せ所ですね。私自身、ブラスバンドをやっていたので、もし演奏していいと言われれば、ステージに立ちたいほど(笑)。映画館で観た方もこれは是非、体験してほしいです』とブラバン少年だった石丸ならではのレコメンド・コメントも飛び出す。
そして「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」シネマ・コンサートは『空中を浮遊しているシーンの音楽は、生の音で聞けば迫力が違うと思います!作品に失礼かもしれませんが、目を瞑って耳だけで感じてみる!ということもこの作品ではやってみたい。そんな瞬間があっても面白うそうですね』と期待を寄せる。
最後にシネマ・コンサート・アンバサダーである石丸幹二から、その楽しみ方を伺った。『例えば、生演奏だと、目の前でシンバルが響き渡るとその「圧」が来るんですよね。これは映画館では体験できないシネマ・コンサートならではのもの。きっと癖になってしまいますよ』と映画上映とは全く違う魅力を語る。また、これからシネマ・コンサートを初めて観る方に対しては『誰も味わったことのない、この瞬間だけのレアな体験が出来ます!間違いなく思い出づくりのひとつになりますよ!』と締めた。