2018年2月から、偶数月発行のフリーペーパー『Gab.』(主に全国のタワーレコードやライヴハウスなどで配布)にて、【今、気になるバンド】を密着レポート形式で紹介していくという新連載企画をスタートさせた、ヴィジュアル系界隈に名を馳せるライターの【輸血子】。
これまでも、この連載では、DaizyStripper、Psycho le Cému、DEZERT、LM.C、甘い暴力、そして、多くのミュージシャンや後輩から憧れの存在で慕われる超絶なテクニックを持つ凄腕ベーシストIKUO(BULL ZEICHEN 88/Rayflower)も、特別ゲストとして登場している。
そして『Gab.』Vol.96では、11月2日に高田馬場 CLUB PHASEで行われた【fiveStars presents SPECIAL 2MAN LIVE『死者の日にて、』】に潜入した。
カトリック教会では、諸聖人の日(諸聖人の祭日・万聖節)の翌日の11月2日を“死者の日”と定めていることから、“死者”である、ぞんびとLeetspeak monstersが集まり、“死者の日”を盛大に盛り上げようではないかという企みで行われた2マンライヴであった。
この日先陣を切ったのはLeetspeak monsters。
“さぁ、始めよう。今宵はここCLUB PHASEで、不気味で愉快、楽しい宴、試しにおいで食べやしないさ〜”
と、ステージに張られた黒い幕がゆっくりと開かれるとEuskyss(B)、DieWolf(Dr)、Yo'shmeer(G)が奏でるゴースト感漂うサウンドの上に、D13が宴の始まりを告げる唄を載せて行く。ライヴというよりも、壮大なSHOWの始まりを予感させるその確固たる世界観は、ヴィジュアル系というジャンルを遥かに超越した場所にあるLeetspeak monstersというジャンルの確立に思えた。
楽曲性としては、メロディアスな歌メロを中心に置いた、メリハリの利いた説得力のある力強いミクスチャーサウンドだ。
D13のキレのいいRAPを織り交ぜた、包容力のある優れた表現力を放つ他に例を見ない歌唱は、間違いなくLeetspeak monstersというバンドのシンボルと言える。
また、サウンド面も素晴しく、DieWolfのタイトで抜けのいいドラミングと跳ね感のあるサウンドの重心をしっかりとした低音で支えながらも、繊細かつ重厚なプレイをエレガントに魅せるEuskyssと、ミクスチャー特有の中毒性のあるギターフレーズと、ハードコアとヴィジュアルシーンのギタリストから影響を受けたYo'shmeerの音楽ルーツを融合させた個性的なギタープレイで構成されるLeetspeak monstersは、真の音楽好きを唸らせる硬派なバンドサウンドである。
“墓場の街からやって来た”というコンセプチュアルなMCに、見事な塩梅で現実を絡めていくD13のトーク力も素晴しく、とにかく時間の経過を忘れてしまうほど、ライヴの中に自分を投影できる素晴しいバンドであることを、ここで証明しておこう。
一方、Leetspeak monstersからバトンを受け取ってステージに立ったぞんびも、Leetspeak monstersとはまったく違った音楽性を持つバンドながら、これまたしっかりとしたコンセプトを持ったバンドである。
臨終を知らせる0を意味するデジタル音がフロアに鳴り響き、“僕らはみんな死んでいる”という地獄からの声のような野太い声が不気味に投下されると、ぞんびのライヴは始まった。
意外なことに、それは、死後の世界をイメージしたおどろおどろしいサウンド感ではなく、同期と衝動的なバンドサウンドが同居した現代的なロックであった。
死後の世界をコンセプトとしながらも、そこまでガッツリと世界観を作り込んでいるということではなく、“ぞんび”というコンセプトをオーディエンスとの共通手段としているとでもいおうか、そこを盛り上がるアイテムとしてエンターテイメント性の高いライヴを作り上げているように感じた。
シャッフル系の楽曲ではフロアをオーディエンスが左右に移動したり、X JAPANの“Xジャンプ”を彷彿させる“ぞんびジャンプ”や、両手を前に突き出して両手首を下に向けて垂らす“ぞんびポーズ”でフロアをフラフラと歩きながらライヴを盛り上げるといった、ぞんびのライヴならではのパフォーマンスでライヴは進められていった。
安定したドラミングでサウンドを引っ張るREIKAと、時おり差し込むスラップを利かせた勢いのあるベースプレイと奇怪な動きと煽りでステージを盛り上げていた青井ミドリと、ディープなギターフレーズと雰囲気のある佇まいが印象的だった翔が生み出すぞんびのサウンドは、偏った音楽性ではなく、幅広い要素を感じさせた。
前衛的な歌唱で攻め立てるボーカル奏多は、さすがのリード力で全体を引っぱり、MCでもぞんび目当てに集まったオーディエンスはもちろんのこと、Leetspeak monsters目当てで集まったオーディエンスをも自分達のペースに招き入れ楽しませていたのだった。
そんなぞんびも絶讚全国ツアー中。1月27日には新宿BLAZEでツアーファイナルが行われるというので、是非足を運んでみてほしい。
尚、『Gab.』Vol.96で、輸血子がメンバーとの2ショットを見せつける写真と共に、この日の詳細ライヴを素晴しい表現力でレポートしているので、是非とも、こちらも手に取ってもらいたい。
ちなみに、輸血子は、
「読者ちゃん達にイチャイチャしているところを見せつけてやろうと思っているわ。そのバンドマンが好きなバンギャちゃんに向けて、『Cawaii』より『Kuyasii』を発信していくから。そのバンドのファンにすごく羨ましがられるの。それも私のステイタスなのよね♥すべてのバンギャちゃんのライバルでもあるからね♥いつか『stylish wave 2020-嫉妬の嵐-』とかやれたらいいわね!」(Gab. Vol.91誌面より) と野望を語っている。
『Gab.』では、毎号、輸血子とメンバーとの集合写真に直筆サインを入れた読者プレゼントも行なっているので、是非チェックを!