9mm Parabellum Bullet presents「カオスの百年TOUR 2018」
2018年9月28日(金)Zepp Tokyo
9mm Parabellum Bulletが、自主企画イベントの名を冠した約3年ぶりとなるツアー『カオスの百年TOUR 2018』の東京公演を9月28日(金)、29(土)にZepp Tokyoで行なった。ここではファイナル前日、9月28日(金)の模様をレポートする。
ツアー初日の9月9日(日)北海道・Zepp Sapporoが北海道胆振東部地震の影響でやむなく延期になってしまったものの、その“9mmの日”は被災地の方々、北海道公演を楽しみにしていたファンに向けて何かを発信したいというメンバーの思いのもと、急遽スタジオライヴを生配信したり、さらに9月15日(土)宮城・仙台 PIT公演からは同震災に向けたチャリティーCDを発売したりと、やはり彼らは今まで逆境を乗り越えて突き進んできたバンドだ。
SEのアタリ・ティーンエイジ・ライオット「デジタル・ハードコア」がいつものように爆音で襲来し、赤い光が差し込んで、9mm Parabellum Bulletのバックドロップが勇壮にせり上がる。ステージ前方中央には花道が設けられ、菅原卓郎(Vo&Gt)は登場するなり早くも花道のそばへ。かみじょうちひろ(Dr)のカウントから「The Lightning」でライヴが始まれば歓声はいっそう大きく膨らみ、菅原が曲中で「Zepp Tokyoーーーッ!」と叫び、滝善充(Gt)のソロに合わせて全員が鮮やかにブレイクをキメて、今夜も一気に主導権を握る。
正確無比かつ圧倒的爆発力を誇るパフォーマンスで「Mr.Suicide」も駆け抜け、中村和彦(Ba)のシャウトからレア曲「Wildpitch」が投下されるとますます沸き上がるオーディエンス。続いて、中村が花道にせり出して5拍子ナンバー「Sleepwalk」を披露するなど、ファン投票リクエストを踏まえたツアーのため、選曲がとにかく熱い! サポートの爲川裕也(folca)を含むトリプルギター、そしてリズム隊の音の棲み分けがえらくスッキリしていて、激しくラウドな演奏なのに心地よく聞こえてしまう点にも驚くばかり。
最初のMCでは「『カオスの百年TOUR 2018』にようこそ! 2デイズの初日にふさわしい秋晴れですね。2014年に(日本)武道館をやったときは“すばらしい冬晴れだな”って言った次の日に記録的な大雪だったけど、なんか明日雨が降るとか(笑)。ま、それは今日のみんなで吹っ飛ばしてください」と、菅原が挨拶した。
ツアーのチケットに付く新曲CDに収録の新曲2曲ももちろん披露された。「21g」について、菅原は「1stアルバム『Termination』(2007年発表)のレコーディングのときにあった曲でミックスが終わったにもかかわらず、俺たちは何かがイヤでアルバムに収録しませんで。アルバムのカラーに合わないとか、いい曲だから取っときたいとかね。でも、ちょっと取っておきすぎたね(笑)。そのままの形でみんなに聴かせるのはさすがに顔から血? 火? が出るほど恥ずかしいので、再レコーディングしました」と紹介。実際に楽曲に触れてみると、メロディにしてもフレーズにしても確かに初期の面影がある。9mm特有のダークさを孕みつつ、明るく開けるサビが絶品で、温めておきたかった気持ちもわかるような……とにもかくにも陽の目を見てよかったと思える、命の重さを歌った名曲だ。
一方の「カルマの花環」は、一風変わったオルガンっぽい音色の奇怪なギターリフ+かみじょうの高速ビートを中心に突っ走り、“やることなすこと間違い探しさ そう ネタがつきても”“断ち切る気もおきない 絡まるカルマ”と世の中をシニカルに一刀両断する、こちらも痛快ながら物事を深く考えさせてくれるナンバーに仕上がっていて、早くもファンの心を掴んでいた。滝が間奏で満を持して花道へ出て超絶テクをアピールした定番「Vampiregirl」、90秒の鬼スピードチューン「インフェルノ」でさらにヒートアップするライヴ。フロアから上がった「あー、楽しい!!」の声に、菅原は「ワイもやで」と微笑んで返す。
「聴きたい曲リクエスト、応募してくれました? その下位のほうについて少し話すとね、「新しい光」は3票しか入ってない。「Black Market Blues」は2票……だから今日はやりません!(笑)」と自虐的なMCでも会場を沸かせる菅原。「でも、この結果は逆に、9mmには聴きたい曲がいっぱいあるんだぞ!ってことだと俺たちは受け止めてます。それでいいよね? でね、1位の曲が2位に倍くらいの差をつけて圧勝だったんですよ。どういう理由で好きになってくれたのかはわからないんで、今からみんなの熱で確かめたいと思います」。
そんなMCからリクエスト投票1位の「光の雨が降る夜に」に繋ぐと、会場のボルテージがまたひとつ上がった。菅原と滝が花道に出て弾いたアウトロのツインリードソロは、まさに激しい天候の中で降り注ぐ光の雨のようだった。中村がアップライトベース、爲川がジャジーなギタープレイで魅せる「キャンドルの灯を」。最新アルバム『BABEL』より唯一披露され、フロア上にミラーボールが輝いた「ホワイトアウト」と、ファン垂涎のディープタイムは続く。
「ありがとう! 9mm Parabellum Bullet、来年で結成15周年になります。(延期になった)9月9日の札幌の振替公演が来年の3月17日に決まったんですが、実は特別な日でして。9mmが結成した疑いのある日です(笑)。どういうことかって言うと、その日は俺と滝とかみじょうくんの3人だけでスタジオに入る予定だったんだけど、メンバーに誘ってた和彦を滝が道ばたで捕獲して連れてきてね(当時の滝と中村は似たような恰好をしていて、デニムのカバーオールをよく着てたそう)。つまり、それが3月17日だったんじゃないかと! 4人で初めてスタジオに入ったのが。だから、結成日ってことにしてます。そこに札幌の振替が持ってこられてよかった。15周年は面白いことやるんで、みんな必ず集まってください」と菅原が話したのちの「キャリーオン」には熱い思いを感じざるをえない。
9mmのパフォーマンスに魅了されまくっているうちに、気が付けばライヴはクライマックス。いやー、5人の音が荒々しく歪み倒して爆裂する「marvelous」からの菅原がマラカスを振ってブチ上げる「Talking Machine」への流れなんて、ひさびさすぎてファンにはたまらないでしょう! 会場がダンスホールと化したところで、壁をぶち壊すためのキラーチューン「太陽が欲しいだけ」もダメ押し投下、本編ラストはリクエスト2位に輝いた「sector」。フロント4人が高らかにヘッドを掲げてユニゾン、菅原と滝で歌うヴォーカルもひたすら胸を熱くさせてくれた。
アンコールでは、9mmの15周年についてもう一言、菅原からこんな言葉が。「15周年でやりたいこと、俺ひとつあってさ。“行けるか”Tシャツを作ろうかな」。これに対し、大半のオーディエンスが「欲しい!」のラブコールを嬉しそうに飛ばしたのだった。「マジで!? じゃあ、俺たちの15周年もこれで安泰だわ(笑)。よろしくお願いします、9mm Parabellum Bulletを! 行けるかーッ!!」。
滝が花道でひっくり返りながらソロを弾いたり、かみじょう以外の4人が花道に大集合したりと、怒涛のノイズまみれでライヴは幕を閉じた。滝の左腕の負傷を思わず忘れてしまったファンも多かったのではないだろうか。そのくらい圧倒的に絶好調の9mm。15周年への助走はもう始まっている。果たして“行けるか”Tシャツは爆誕するのか? いろいろと楽しみが尽きない。
なお、10月中旬からはキツネツキ(菅原と滝によるユニット)の『こんこん古今東西ツアー2018』がスタート。12月5日にはAC 9mm(菅原、中村、かみじょうの3人が9mmの楽曲をアコースティック中心にリアレンジして聴かせるプロジェクト)として東京グローブ座でのワンマンを行なうことも発表された。新曲「21g」「カルマの花環」の配信も始まったので、まだ聴けていない人はぜひ!
SET LIST
01. The Lightning
02. Mr. Suicide
03. Wildpitch
04. Sleepwalk
05. カルマの花環
06. Vampiregirl
07. インフェルノ
08. 21g
09. Sundome
10. 光の雨が降る夜に
11. キャンドルの灯を
12. ホワイトアウト
13. キャリーオン
14. marvelous
15. Talking Machine
16. 太陽が欲しいだけ
17. sector