9mm Parabellum Bullet presents「カオスの百年 vol.12」
2018年5月27日(日)日比谷野外大音楽堂
出演者 : 9mm Parabellum Bullet / AC 9mm
9mm Parabellum Bulletの自主企画イベント『カオスの百年』が、5月27日(日)に日比谷野外大音楽堂で行なわれた。今回はvol.12となり、同企画を野音で開催するのは初!さらに、対バンに新プロジェクト“AC 9mm”[エーシーキューミリ/9mmの菅原卓郎(Vo&Gt)、中村和彦(Ba)、かみじょうちひろ(Dr)の3人が自身の楽曲をアコースティック中心にリアレンジして聴かせる]を迎えての公演、2018年第一弾新曲の初披露&無料ダウンロードを事前告知していたということもあり、そこかしこに特別な要素が詰まったステージだったと言える。
絶好の野音日和。空は青く、太陽がまだ見えている。まずはAC 9mmがお目見え。開演時刻の17時30分になるとかみじょうがステージに現れ、ソロでドラムを演奏。そこに追って中村のベース、菅原のアコギが重なり「Answer And Answer」がシームレスに始まる。爆音でヘヴィな原曲のアレンジとは打って変わってラテン調のさっぱりしたノリが気持ち良い。「Heart-Shaped Gear」も初夏の野音へ軽やかに浸透していく。会場ぎっしりに詰めかけたオーディエンスは着席しながらも身体を小刻みに揺らしたり、ヘドバンしたり、手拍子したり、初見のAC 9mmをそれぞれに楽しんでいた。
“ようこそいらっしゃいました!えーと…AC 9mmです。かみじょうくんが登場したら、お客さんわーっと立つのかな?座ったままかな?という予想をスタッフとしてたんですよ。「立つっしょ!?かみじょう出たら」とか言って。でも、みんな行儀良く座ってらっしゃって(笑)”と菅原が挨拶。ホワイトに彩られたかみじょうのドラムセットがいろんな色に速く光ることにも触れた後、“AC 9mmは9mm Parabellum Bulletに胸と曲を借りてライヴをするバンド”だと話し、1stフルアルバム『Termination』のナンバーをなおも続ける。
AC 9mmのパフォーマンスは菅原卓郎ソロのトーンにもやや近く、哀愁と歌心に関してはオリジナルよりもしっとりと味わえる感じ。また、各プレーヤーのポテンシャルが自ずと浮かび上がってくる。中村がジャジーなベースラインをソフトタッチで弾く「Psychopolis」。かみじょうのマーチ的ビートに合わせて展開し、間奏はググッと妖しくのめり込む「Battle March」(菅原曰く“ここまでが1stゾーン”)。菅原のアコギがやさしい音色で始まって、最後にはまるでエレキのように強くも響き渡る「荒地」。木々の隙間からは夕陽が差していて良いムードだし、イントロごとに思わず立ち上がってしまいそうなほどわくわくで疼いているファンも多かった。
ゆったりしたビートに裏拍でアコギを乗せたワルツっぽい「ハートに火をつけて」もたまらない。“和彦のアレンジだけあって、ビールが進みそうな感じでしたね”と菅原も手ごたえを覗かせる。“俺たち初ライヴのぺーぺーなバンドなんで、あとは十何年選手の人たちに任せます(笑)。みんなの力を貸してください、今日も。こんな良い天気になっただけで超ラッキーだなって思う。良い夜にしましょう!”。そしてAC 9mmとしてのラストは「太陽が欲しいだけ」をまたも奥ゆかしくかつ軽快に聴かせ、本家9mmにバトンをつないだ。アコースティックの9mm、想像以上にアリです。ぜひ、体感してみてください。
お馴染みのSE=アタリ・ティーンエイジ・ライオット「デジタル・ハードコア」が轟いて一気に爆音モードへ様変わり。まだほのかに明るい時刻に登場した9mm Parabellum Bulletを、ファンも今度は総立ちで迎える。“出演あり”とだけアナウンスされていた、左腕の不調でライヴ活動セーブ中の滝 善充(Gt)もスタートからイン!サポートギターにfolcaの為川裕也を入れた計5人の布陣で、「The World」が口火を切った。ステージ前方にガンガンせり出す滝のテンションに引っ張られるように、「Mr.Suicide」の前奏では菅原が“日比谷ーーっ!!!!”と呼び掛ければ、かみじょうのドラムはドコドコと熱を帯び、ここぞとばかりに中村のシャウトも投下!滝のギターが歪み倒した激烈ファストチューン「Supernova」は最初のピークとなった。
“良い時間帯になってきたね。なんて言うんですか、リベンジ?(※約2年前の野音ワンマンではライヴ中に滝がギターを演奏できなくなり、消化不良に終わった)でもさ、リベンジはもう軽く越えて、俺は今日をもっといい日にしたいと思ってるんですよ。いろいろ越えてきましたから。じゃあ、新しい伝説作るか!”。そんな菅原の頼もしいMCに続いて、ついに最新アルバム『BABEL』のナンバーが放たれる。「Story of Glory」の《わけなんてなくて笑っていた おれたちは今夜無敵なんだ》を滝が叫ぶなんて、心が打ち震えてしまう。何しろ、2017年の『BABEL』ツアーは滝が不在のまま行なわれたのだから。この『BABEL』モードを目一杯滝のギターと楽しめる因縁の野音で「I.C.R.A」の《愛し合え》を歌える。それはファンが待ちわびていた、かけがえのない瞬間なのだ。ベースを弾くのを止めてヘドバンしまくる中村の奔放さも無性に納得。とっぷり日が暮れての「Vampiregirl」ではサビの《You're Vampiregirl》部分を観客が歌い、ますますヒートアップする。
ここでサポートギターはHEREの武田将幸に交代。そして待望の新曲「キャリーオン」が届けられた。“ひと言で言えば、みんな一緒に行こうぜ!俺たちと一緒に進んでください!そんな気持ちを込めました。聴けば分かるから”という前置きを経て、菅原のガレージ感たっぷりのリフが斬り込み、終始2ビートで勢い良く駆け抜けたカオティックパートもありの同曲は新たなキラーチューンに名乗りを上げること必至だろう。楽曲のメッセージとしてはおそらく“困難にもめげず、続けろ”。そんな現在の9mmがバシバシ伝わる「キャリーオン」(映画『ニート・ニート・ニート』主題歌に決定)はLINE MUSICで9月8日(土)まで無料ダウンロード実施中なので、チェックしてみてほしい。なお、この日の来場者には「キャリーオン」のCDが帰りにおみやげで渡される粋なサプライズもあった。
ライヴ後半、“本当にありがとう。滝もこうしてステージにいるしね。「もう駄目かな」なんてなっちゃう時もあるんだけど、最後はいつもライヴで見たみんなの顔が浮かんできて「頑張ろう!」ってなります。なので、これからも俺たちに「もっとやれ!」というエネルギーを飛ばしてください”と今の想いを真っ直ぐ打ち明けた菅原。その言葉をさらに加速するパフォーマンスを受け、最後まで出ずっぱりだった滝の勇姿を観て、たとえどんなことがあっても9mm Parabellum Bulletはタフに続いていくのだと思えた。滝が寝転びながら豪快にソロを弾きまくった「Termination」、菅原と滝がイントロでマラカスを振りステージのミラーボールから光が舞い上がった「Talking Machine」、大合唱を巻き起こして最後はキャノン砲が発射した「新しい光」、為川と武田を入れた6人編成でぶちかましたアンコールの「Black Market Blues」「Punishment」。どこを取っても誇りを感じる演奏で、笑っちゃうくらいに無敵でした。
菅原の万歳三唱でステージを後にした9mm。“9mmの日”にあたる9月9日(日)からはワンマンツアー『カオスの百年TOUR 2018』(滝は出演予定)が、北海道・Zepp Sapporoを皮切りにスタートする。また、6月には菅原のソロツアー『菅原卓郎コンサートツアー2018~夜のメカニズム~』が東名阪で開催。AC 9mmを含め、精力的な活動を見せる彼らに今後も期待しよう!
SET LIST
【AC 9mm】
01. Answer And Answer
02. Heart-Shaped Gear
03. Psychopolis
04. Battle March
05. 荒地
06. 星に願いを
07. ハートに火をつけて
08. 太陽が欲しいだけ
【9mm Parabellum Bullet】
01. The World
02. Mr.Suicide
03. Lost!!
04. Supernova
05. Story of Glory
06. I.C.R.A
07. Vampiregirl
08. キャリーオン
09. Everyone is fighting on this stage of lonely
10. 生命のワルツ
11. Scenes
12. Termination
13. Talking Machine
14. 新しい光