それから転換時間(要するにメイクと着替えなおし)が終わり、いつものSEが流れる中、いよいよニューロティカが登場した。
実はまだ34周年全国ツアーの真っ最中なので、ネタバレになるので曲やセットリストはここに書かないが(でもロティカはベテランアーティストで唯一と言っていい程セットリストをガンガン変えるけど)、とにかく趣向を凝らした意表をつく展開で、ホント最高に楽しかった。
普通ベテランアーティストというのは、もう集まってくるファンたちの気持ちを長年の経験で完全に把握してるので、盛り上げ曲ではじまり、途中バラードでしっとりさせ、ヒット曲で締めるみたいな、安定安全なセットリストしかやらなくなるアーティストがほとんどだ(それも嫌いではないけど)。
でもロティカは普通じゃないどうかしたベテランバンドなので、最新の盛り上げナンバーから始まり、最近寄りの人気ナンバーを連発し、あっちゃんが「今日はオレがセットリストを考えました」というMCをはさんだあと、いきなりデビュー前のインディーズからメジャーデビュー時代のみんながライブでいつも一番暴れ騒ぎまくる初期の代表曲を立て続けにほぼ全曲ブチ込んできた。ライブの初っぱなからいきなりエンディングがきたみたいなものだ。盛り上がらないわけがない。
「かかってこい!オレが受け止めてやる!」というあっちゃんのあおりにステージ前を陣取ったみんなが熱く応え、踊り跳ねまくる。後方で見ていた僕のそばにいた女のコやスーツを着たサラリーマンも、それを見て我慢できなくなったのか、前の方に突進していった。
その後もMCをいくつか挟みながら、意表をつく流れで新旧の激しいナンバーが次々と披露されていった。年末に観たワンマンライブと曲もライブの構成も全く違うそのパフォーマンスを見ながら、ありきたりな言い方になるが、今も新しい挑戦をやめないホントに素晴らしいバンドだと思った。
お客さんを楽しませ喜ばせる事を何よりも真剣に考え、サービス精神も異常なくらい過剰。だけど安定や安全を選ぶ事は一切せず、自分たちをアップロードし続ける事が、自分達にもファンのみんなにも一番大切だという事を、ニューロティカはその全身全霊のパフォーマンスで僕たちにずっと教え続けてくれているのだ。
大盛り上がりでライブは終了したのだが、この日はなんとスローナンバー無し、激しい曲が大半をしめるセットリストで、一番驚いたのは、アンコール含め、それを2時間以上もブッ続けでやった事だ。
こんなパンクバンド(しかも3人が50代)、世界中探しても多分いないと思う。
途中あっちゃんやメンバーのMCに何度か笑わされて、そのありがたみを忘れそうになるが、きっと僕達は世界に類を見ない物凄いロックンロールライブショーを目の前で体験する事ができる、世界一幸せなロックンロールの目撃者達なのかもしれない。
ライブ終了後、この日は打ち上げにも参加させていただいた。
あっちゃんの同級生から、人気芸人さんやタレントさんまで(ロティカのまわりには昔からホント色んなジャンルの著名人達が沢山集まる)、沢山の色んな方々とお話させていただいたのだが、話してて1つ共通していた事があった。
それは、みんなロックよりニューロティカが好きなのだ、という事だった。
ロティカがロックに勝ってしまっているのだ。
ロック対ニューロティカ。
ロティカがこのまま続いていけば、数年後には本当にロティカがロックに勝ってしまうのかもしれない。そう僕は真剣に思った。