陰陽座全国ツアー2017 『頻伽の聲に応ずるが如し』 2017年4月30日(日) CLUB CITTA’
TEXT:岡本明
PHOTO:板橋淳一
昨年11月30日にアルバム『迦陵頻伽』をリリースした陰陽座。12月に行われたツアーから少しのインターバルを経て、全国ツアー“頻伽の聲に応ずるが如し”が4月30日に川崎CLUB CITTA’で初日を迎えた。
ソールドアウトとなった超満員の会場にメンバーが登場した途端、沸き起こる大歓声。伸びやかなボーカルで魅了する黒猫、骨太なベースと迫力のボーカルを聴かせる瞬火、メロディアスなギタープレイを得意とする招鬼、テクニカルなギターで耳と目を刺激する狩姦。さらにサポートメンバー、土橋誠(Dr)、阿部雅宏(Key)を加えた6名で臨むステージは、冒頭から最高の熱量で観客を圧倒する。
「ここから新しいアルバムを引っ提げて全国のみなさんに届けに行けるということと、初日からこんなにたくさんの方が集まってくれて本当に嬉しいです。のっけから最高の魂をぶつけてくれるみなさんに対して、僕たちも魂全開で行きます!」(瞬火)
「今回は何が飛び出すかわからないメニューになっていて、これ何の曲だっけ?ということもありますから(笑)。最後まで油断しないで魂燃やしていってほしいです」(黒猫)
そんなMCが物語るように、最新アルバム『迦陵頻伽』からのナンバーを中心に、これまでの曲もちりばめながらエネルギッシュなライブを展開。アルバムタイトル曲で重量感あふれる「迦陵頻伽」、悲しく切ない曲調の「人魚の檻」、そこに過去の曲である「わいら」「青坊主」といったリフ主体の曲も加えて会場を盛り上げていく。また、懐かしい「涅槃忍法帖」とともに、最新アルバムからの「氷牙忍法帖」も聴けるなど、新旧の「~忍法帖」が比較できるのも興味深かった。
さらに、曲に込められた感情があふれ出すバラード「絡新婦」がドラマチックな場面を作りだすかと思えば、アッパーな「愛する者よ、死に候え」では会場を観客のヘドバンで埋め尽くすなど、見どころ満載だ。他にも、バンドの豪快な一体感を味わえる「青天の三日月」「吹けよ風、轟けよ雷」といったパワフルなナンバーの手ごたえ、そして彼らにとって新鮮な曲調である「風人を憐れむ歌」の爽快さなど、多彩な引き出しでステージを華やかにし、緩急をつけた演奏と歌で楽しませてくれた。
そして、この日のアンコールでは狩姦の誕生日にちなみ、ステージ上にサプライズでケーキが登場。会場全体の“ハッピーバースデー”の合唱で祝福された狩姦が照れくさそうにロウソクを吹き消すという、和める場面も見られた。
もちろん、アンコールでもその熱量は一切下がることなく、ラストまで全力で魂の演奏と歌を披露し続けたメンバー。深遠な世界観と楽曲の根底に流れる物語性、そして卓越したプレイと神秘的な黒猫の歌声が存分に味わえるライブだった。
「前回のツアーに続いて今回も来てくれた方や、去年見逃した方もいらっしゃると思います。お馴染みの曲も珍しい曲も含め、僕たちのやりたい放題のライブを見に来ていただけるなんて、陰陽座は幸せ者以外の何者でもありません。本当に今日はありがとうございました」(瞬火)
この日の大きな収穫を携えて全国ツアーに旅立つ彼ら。ツアーファイナルのTOKYO DOME CITY HALL(5月30日)にたどり着くまでの各地で、過去最高にパワーアップした陰陽座が見られそうだ。
ソロカット満載!ライブ写真へ