A9 TOUR 2017『IDEAL HORIZON』
2017年4月12日(水) 新宿ReNY
Text:東條祥恵
Photo:Miki Fujiwara
※NOTICE:レポートの内容は若干のネタバレを含みます
4月12日(水)にAlice NineからA9へと改名して以降、初のフルアルバム『IDEAL(読み:イディアル)』をリリースした彼らは、現在5月7日(日)の東京・Zepp DiverCity(TOKYO)まで続くアルバムリリースツアー<A9 TOUR 2017 [IDEAL HORIZON]>を開催中。
その初日となった東京・新宿ReNY公演。初日にもかかわらず、そしてアルバム発売日にもかかわらず、感動のあまりファン号泣!!思わずこちらももらい泣き。ツアー初日、こんな光景を見たのは初めてかもしれない。
A9に改名して以降彼らがリリースしてきた『銀河ノヲト』、『LIGHT AND DARKNESS』、最新作『IDEAL』を並べて聴くと、3枚それぞれが見事に独立している。けれども『IDEAL』に収録されたナンバー10曲と、おもにアリス九號.時代からこれまで生き残ってきた主要代表曲をまぜ合わせたこの日のセットリストは、これが初見とは思えないほど美しく調和した状態で馴染んでいた。果たして、ツアーが終わる頃にはこの美しい調和がどこまで膨れ上がり、新しい景色を作り上げるのか。このツアーへの期待感しか残らない。そんな気持ちを植えつけたライブだった。
以下、本人たちの許可のもとネタバレありでライブの模様をレポートしていく。ネタバレしようが、この先次々と初日の感動は更新していく。いまの彼らからは、そんな自信に満ち溢れた声が聞こえきそうだ。つまりは、それぐらいアルバム『IDEAL』も本ツアーも絶対的な“自信作”ということ。
アルバムのインスト曲「REAL」をSEに、メンバーがステージに現れ、ライブはアルバムの曲順通り「IDEA」で口火を切る。明るく開ける大サビでフロント4人が颯爽と前に出てきたときに立ちのぼる圧倒的な華麗さ。ニュー衣装のフォルムも合間って、序盤から観る者に有無をいわせない佇まいでファンを釘付けにしていく。
将(Vo)がフロアにマイクを向け、観客一丸となって“Up to U”と叫んで前回のツアーから披露していた「MEMENTO」が始まると、場内が爆発的なエネルギーに包まれる。
Vo.将
「久しぶりのフルアルバムのツアーの初日へようこそ! お越し下さってありがとうございます」。
将らしい丁寧な挨拶を挟んで次は「これまで僕たちと君たちが作り上げてきたゾーンです」と話して過去曲を披露。
“今、目の前に在る事が僕達の答えさ”という歌詞を将が噛み締めるように歌った「Spiegel」。
ヒロト(Gt)と虎(Gt)のツインギターがメタリックに場内を切り裂き、フロアにサークルも発生した「道化師」。
オーディエンスもメンバーも活き活きとしたヘドバンを見せる「九龍-NINE HEADS RODEO SHOW-」。
何より驚かされたのは、冒頭から初日ならではの力みなどまったく感じさせないアクトを見せていたことだ。
Gt.ヒロト
Gt.虎
もちろんアルバムツアーだからこそのドキドキの場面もある。次にやるアルバム曲のノリについて沙我(Ba)が「俺は手拍子だと思う」と話すと、将が「手拍子なのか拳なのか、それをみんなで作ろうか」と提案して始まった「造花の代償」は、まさにそう。結局ノリは定まらなかったものの、曲始まりで将がリボンを結んだ一輪の白い薔薇をフロアに投げ入れたり、Nao(Dr)と沙我のリズム隊がシャッフルを刻みながらジャジーに絡んでいくプレイはフロアも大興奮。
けれども、じつはこういうノリの曲は昔からやってたでしょ?というように、続けて同じシャッフル調の「ハイカラなる輪舞曲」をアクトして過去といまを繋いで見せた。
細かい手の振り、メンバーコールを大いに楽しんだ後の「RED CARPET GOING ON」投入にフロアは歓喜。定番の「1、2、1234」のコールとともに大ジャンプを起こし、新宿ReNYを揺らしてみせた。
Ba.沙我
Dr.Nao
この後のMCではA9のライブ観戦には欠かせないマストアイテム、ギャラクシーブレスレットが本ツアーから新しくメンバーごとのカラーになった理由について、将が「改めてファン同士競ってもらおうと思って」と説明。
「僕ら結成当時のアンケートに“今日良かった人を3人書いて”というのをやってまして。でも、あれのお陰でメンバー同士ギラギラして競い合ってやれたね」と、その当時のエピソードを披露した。
(最終的に、この将の発言がきっかけとなって本ツアーのアンケートにこの項目が加わることに。1~3位までに入らなかったときは、自分が4位なのか5位なのかとてもモヤモヤするそう・微笑)
ライブ中盤には、桜満開のこの季節にぴったりの「BLOSSOM」。
花つながりで続けて披露したアルバム曲「ECHO」は、虎がアコギとエレキをパートごとに使い分け、曲を立体的に再現。
そこからマーチングドラムつながりで名曲「the beautiful name」が幕をあけると、力強く刻まれるリズムとヒロトの勇敢なギターフレーズが響きあい、将の歌声がミラーボールが描き出す光の先まで突き抜けていった。
その光を受け継ぐように、オーディエンスも一丸となって雄大なメロディーをシンガロングしてみせる。