DUSTCELL、暗闇で“光”を見出し、“碧い海”を越えた先に広がるふたりの“道”――ツアーファイナル・Zepp HanedaでぴあアリーナMMを発表

ライブレポート | 2026.03.25 18:00

DUSTCELLTOUR 2026 -碧い海-
2026年3月18日(水)Zepp Haneda(TOKYO)

終始健やかな生命力が漲るライブだった。DUSTCELLが「変わらないまま、変わるもの」をテーマに制作した4thフルアルバム『碧い海』の全国9ヶ所を回るリリースツアー「DUSTCELL TOUR 2026 -碧い海-」のファイナル・Zepp Haneda公演は、ふたりのなかに長く根づいた熱く純粋な思いが溢れていた。

SEと同時にステージ前面にそびえる透過式LEDスクリーンには“碧い海”をモチーフにしたスタイリッシュなオープニング映像が流れ、モニターの向こうにはサポートバンドメンバーに続きEMA(Vo)とMisumi(Composer)が現れる。大きな歓声が沸くなかEMAがアルバム1曲目「青」を歌い出すと、ステージの背景から青色の照明が鮮やかに放射された。スクリーン越しに見える逆光のEMAの一挙手一投足からも高揚感が伝わり、続いての「過去の蜃気楼」も含めて清涼感に満ちる。DUSTCELLの持ち味のひとつでもある切なさや憂いといった要素が、艶や潤い、奥行きとして作用しているのも印象的だった。1年前の日本武道館公演や『碧い海』の制作を経て、闇の中に様々な揺らぎを起こす力が生まれたのかもしれない。そんな推測は、セットリストが進むごとに確信へと変わっていった。

「火焔」はアッパーかつ痛快に響き、観客もシンガロングやコールなどを用いて音を全身で愉しむ。LEDスクリーンを使ったEMAが炎に包まれるような映像演出も強烈なインパクトで、さらに会場を興奮させた。その後もすがすがしさを帯びた「畢竟」、EMAの歌声が情感豊かなメロディをさらに輝やかせた「Void」、イントロで大きな歓声が沸き、既にユニットの代表曲として厚い支持を集める「SCAPEGOAT」とたたみ掛ける。楽曲そのものに宿った力を軸に、歌、演奏、映像、照明が一体となる様子は、強風のように鮮烈だ。

EMAは「無事ファイナルを皆さんと迎えられて幸せ」と喜びをあらわにし、Misumiは「ライブはみんなの歩んできた道と、僕らの歩んできた道がクロスして爆発するものだと思っているので、みんなも全力でかかってきて」と呼びかける。ふたりの溌溂とした声からも、現在のDUSTCELLがかなり好調であることがうかがえた。

「憂いの化け物」は様々な人格が入り乱れる様子をEMAのカラフルなボーカルがより引き立て、センチメンタルなポップソング「表情差分」はたおやかなメロディと潤いのある音色が会場を包む。アウトロでEMAが観客とともにクラップするシーンも微笑ましい。DUSTCELLはスクリーン越しに行うライブスタイルも影響して一見ミステリアスな印象を与えるが、EMAもMisumiも自身の感情を偽りなく歌、音、声、言葉、楽曲にするため、観ている側はふたりの表情が判別できないことを忘れてしまう。「音楽」と「ORIGINAL」はそんなふたりの素直さやピュアリティが明確に表れていた。カラフルな照明でジャンプをして歌うEMAや観客を果敢に煽るMisumiの無邪気な姿には、音楽と出会った頃の子どもの頃のふたりもオーバーラップするようだった。

有意義なツアーを回れた旨を語るEMAは、集まった観客のリアクションがより明るくなったように感じると話す。そして「DUSTCELLのことが好きな人たちは、人に言えない悩みとかを抱えていると思うんだ。ライブを繰り返しているうちに、みんなが“この場所なら素直な自分でいいんだ”と思ってくれるようになったのかな?」と笑った。彼女のその言葉は、彼女自身にも当てはまるような気がした。その後は「ブルーマーブル」「いちばんぼし」と星や宇宙をモチーフにした幻想的な楽曲を披露する。大きく広い夜空の景色とふたりの美学や願いが重なり、ここから会場はふたりの心の奥深くへと吸い込まれていった。

白に染まったステージでEMAが穏やかに「無垢」を歌い出すと、ワルツのリズムに乗せて眩暈のような混沌とした美しさで翻弄する。「灯火」ではエモーショナルでロマンチックなメロディと、刺激的な映像と照明が観客の心臓を激しく揺さぶり、「独白」「命の行方」では生きる理由を刻み付けるように、自分自身を奮い立たせるように凛々しい歌と演奏を響かせた。

観客も大きな歓声を上げて追随し、そのままライブはラストスパートへ。「後書き」はメランコリックかつ透明感のある音色が広がり、EMAも歌詞に穏やかな光を灯すように一言一言を丁寧に辿る。ふたりがバンドメンバーとともに作り出した海の底に身を投じ、境界線が曖昧になって彼らの音とひとつになるような感覚に身を委ねていると、メンバー紹介を挟んで「CULT」「アネモネ」とさらにギアを上げて観客を巻き込んだ。熱い心意気がほとばしり、憂いのある楽曲で観客とともに颯爽と走り抜けていく情景は非常に小気味よい。心に湧き上がる感情はどんなものも新たな道を切り開くエネルギーに転換できるのだと思い知らされる、胸のすくステージだった。

Misumiは「僕らは音楽で皆さんの心を何かしら変えられたらと思っています。力強く生きていこうな」と呼び掛け、EMAは「こういう幸せを感じられるたびに、過去につらい思いや苦しい思いをしたんだと思います。みんなが躓いたときに思い出して“もうちょっと踏ん張ってみようかな”と思える日になっていたらうれしい」と感謝を告げる。そして本編ラストに、ステージに命を刻み付けるように「STIGMA」を届けた。身体を振り絞り、喉を枯らして歌うEMAの姿は目を見張るものがあり、観客も彼女を支えるように高らかに声を上げた。

「フラッシュバック」「オルターエゴ」でエネルギッシュにアンコールをスタートさせて再度会場を盛り上げると、Misumiはアルバムに“生きてほしい”というメッセージを込めたこと、生きることに苦しみを感じている人の救いになればと思いながら制作したことを話し、「僕は音楽の力を信じていて。これから先もそれを信じて音楽をたくさん作っていきます。一緒にDUSTCELLの音楽を作っていきましょう」とまっすぐ語り掛けた。EMAは「これからもDUSTCELLのMisumi、DUSTCELLのEMAとしてみんなに音楽を届けて、共に生きていきたい」と告げると、自身の幼少期について語り始めた。物心がついた頃から歌うことが好きだった彼女は、中学生の頃に家のパソコンに無料ソフトを入れ、安価なマイクで自分の歌を録音した。ただただ歌いたい曲を歌うこと、それを録音することが楽しいという理由だけでインターネットにそれを投稿していたら、様々な人の元に自分の歌が届くようになっていた。だがEMAとして活動を始めてから、その初心を忘れかけていた時期があったという。そんな苦悩から彼女を救ったのが、ライブという場とファンの存在だった。

「ステージに立って歌う瞬間は、学校から帰ってきて人目も気にせず好きな曲を好きなだけ録音してたあのときのわたしで。わたしにとって宝物みたいな思いを、みんなはまた思い出せてくれました」「これから先、歌で苦しむことがたくさんあると思う。でもわたしの芯は、歌が本当に大好きなただの女の子で。それが今も変わらずにいられるのは、みんながDUSTCELLを愛してくれているからなんです。いつも応援してくれて、歌を聴いてくれてありがとうございます」と深々と頭を下げる。さらに家族、チーム、ファンという大切な存在がいるからこそ「どんなにつらいことがあっても大丈夫だと思う」と力強く語り、「みんなで素敵な景色を観ていきたいし、この先を歩んでいけたらと心の底から思います」と呼びかけた。

そしてアルバムのラストであり、昨年の日本武道館公演に向けて書き下ろした「心臓」でツアーを締めくくる。観客もふたりと思いをひとつにするように熱い歌声を重ねた。すると曲中で心臓の鼓動の音が鳴り響き、それが止まるとスクリーンに「2026年11月23日 ぴあアリーナMM開催決定」の文字が躍った。予想だにしない展開に観客は驚喜の歓声を上げる。EMAは「DUSTCELLついにアリーナに立ちます! みんなで一緒にアリーナに行こうぜ!」と衝動的に叫び、涙ぐみながら一心不乱に再び歌い始めた。観客はそんな彼女を受け止めるように、喜びを歌声に乗せる。ふたりが去った後も、ステージにはたくさんの「おめでとう」の声が響いた。

最後スクリーンには、アリーナ公演のキービジュアルが映し出された。タイトルは「DUSTCELL LIVE 2026 ―道― at ぴあアリーナMM」。Misumiが冒頭のMCで“道”という言葉を使っていたのは伏線だったのだろう。

このツアーファイナルはDUSTCELLの変化を感じると同時に、この変化は可動域の広がりとも言い換えられる気がした。いまその瞬間に見えた景色や気づきに、これまで感じてきた様々な思いを掛け合わせることで、彼らは変化という現象を起こしている。つまりどの楽曲にも、ふたりの人生と記憶がしっかりと根づいているのだ。闇の中で『光』を見出し、日本武道館公演を経て『碧い海』を旅した後、ふたりの道の先はどんな世界が広がっているのだろうか。そのひとつの答えが、今年11月のぴあアリーナで明らかになる。

DUSTCELL LIVE 2026 ー道ー at ぴあアリーナMM - Teaser

SET LIST

01. 青
02. 過去の蜃気楼
03. 火焔
04. 畢竟
05. Void
06. SCAPEGOAT
07. 憂いの化け物
08. 表情差分
09. 音楽
10. ORIGINAL
11. ブルーマーブル
12. いちばんぼし
13. 無垢
14. 灯火
15. 独白
16. 命の行方
17. 後書き
18.CULT
19. アネモネ

ENCORE
01. フラッシュバック
02. オルターエゴ
03. 心臓

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