9年までは特に気にしていなかったんですけど、2桁になるとさすがに、ちょっと引きますね。「わあ、すごい!」というよりかは、「おお、10年やったんだ……」みたいな。元々「音楽でご飯を食べていきたい」というつもりで結成したバンドではないので。「今を頑張らなきゃ」という気持ちで続けてきました。だから10年続いたことにびっくりしてます。
この時期が一番つらかったんじゃないかな? どのバンドも最初はそうだと思うんですけど、the shes goneとしてのアイデンティティがまだ確立されていない時期で。自分も含めメンバー全員学生だったので、バイト・進路・バンド・プライベートのバランスや心持ちがそれぞれ違っていたんです。「もっとバンドに時間を割こうよ」という話になっても、「割きたくない」というメンバーもいる。当然ですよね。学生でお金もないんだから。とはいえ「ボーカルだから」と僕がいっぱいお金を出すのも違うし、そもそも自分にもお金はない。なので、MVやCDを自分たちで作ったり、オーディションを片っ端から受けたりしていました。
そうですね。就活だと思ってバンド活動をしていました。だからこそ、みんなとの意識のズレがすごくつらかったです。「COUNTDOWN JAPAN」オーディションの時期とかもけっこうつらくて。幕張でのOA出演の前日まで「想いあい」のレコーディングをしてたんですけど、サークルを優先して練習をしていない人もいたり、自分が録っている最中に他のメンバーが寝てしまっていたり……。
「遅くまでバイトしてた」とか「次の日一限の授業がある」とか、いっても学生なのでそれぞれ事情もわかりますし、しょうがないんですけどね。その上で、僕がブッキングのメールの確認したり、グッズの発注をしたり……全部自分でやっていたから、つらかったという。
バンドをやるのが好きだったからですね。というのも、自分のために投資してあげたことがあまりなかったんですよ。正直大学受験の時も、「行きたい学校とかないけど、大学は卒業しておかなきゃ」という感じで。だけど「バンドが好き」という気持ちはずっと温めてきて……ライブハウスにめちゃくちゃ通っていたタイプではないんですが、TSUTAYAのなかで一番大きな渋谷店にわざわざ行って、インディーズCDをたくさん借りて帰るとか、そういうことをしていたんです。だからバンドを組んで楽器を買ったり、スタジオ代を払ったりするのも、自分への投資という感じで嬉しくて。そこから「もっと自分のために時間を使ってもいいんじゃないか」ということで、「25歳まではバンドをやってみよう」と思えたんです。
ああ、そうですね。「報われろ」とも思ってました。「想いあい」のMVは完成に2ヶ月かかったんですよ。でも、これでバンドが評価されたらメンバーに認めてもらえる一因になるだろうし、形になる以上、費やした時間は絶対に無駄にはならないので。当時、分からないながらに手を動かしたことで、自分で発信する力も身につきました。やってきたことは全部今に活きているなと思います。
初期の楽曲の歌詞から見えてくる、当時の心情とは
やっぱり自信のなさからじゃないですかね。当時はバイト・学校・バンド・恋愛の4つで自分の世界が回っていたから、楽曲でも、自分の恋愛や不甲斐なさを取り扱うことが多かった。それが、“選ばれなかった側”の曲が多かった要因だと思います。元々、前向きな言葉をひねり出そうとしても出てこない人間というか。「あの人はあんなことができるけど、自分にはできない」ということを勝手にピックアップして、すごく引きずってしまうタイプなんです。なので、the shes goneで恋愛を扱う時も、他の子よりモテなかったり、「なんであいつはモテてるんだよ」みたいな気持ちを持っている人が主人公になりがちで。(楽曲は)僕がどうにもアウトプットできなかったもの……嫉妬とか嫌な感情の塊ですよね。
メンバーのうち自分だけが就活を蹴ってバンドを選んだことや、バイト中とかにも感じる「あの人にできることが自分にはできない」という感覚、「明日もバンドとバイトで…一生金がないぞ」という未来の見えない感じ……当時抱いていた感情が全部入り混じって反映されている曲ですね。「shower」というタイトルは、浴びる方のシャワーとにわか雨のダブルミーニングで。「これは土砂降りではなく、長い目で見たらにわか雨だ」と聴いてくれる人も思ってくれたら、というテーマで作った曲でした。
紛れはしないんですが……「この曲を作るためにこの事象があったんだ」と思わなきゃやってられないというか。みんなそういう気持ちを持っているから、SNSで長文を書いたりして、自分の感情を落とし込んでいるんだろうし、僕にとってはそれが歌詞なんですよね。だからこそ、自分の人生や思想が嫌でも投影されるし、しなきゃいけないものだと思いながら書いている。『DAYS』を制作していた頃は、「アマチュアなのに短期間で4曲も書かなきゃいけない!」って状況で、「ああ、もうこれしか書けることがないや」というふうに出てきたのがこれでした。2枚目の『MORE』(2019年)、3枚目の『FACE』(2020年)くらいまでは、いっぱいいっぱいながら頑張って作ってた感じでしたね。
いや、分からないですよ? だって、決意はしてるんですから。もしかしたら下駄箱で一緒になるタイミングがあるかもしれないし、その時にちゃんと伝えるかもしれない。
そんなことができていたら、こんなにイントロが長くて、決心するまでごちゃごちゃ言うような曲は作ってないです(笑)。
ちょうどサブスクが普及し始めた時期に出したCDの収録曲だったので、「歌詞カードを見てほしい」ということで、そういう鍵括弧の使い方をしました。サビの歌詞から出てきたんですよ。だけど爽やかに「好きだ好きだ」という曲にするのは、なんか嫌だなと思って。それで鍵括弧をつけてみたら……全部辻褄が合ったんですよね。これを思いついた瞬間、「歌詞、楽しい!」ってなりましたね。












