「ROOTS66」初日・東京公演をレポート!1966年生まれのアーティストたちが笑い合い、称えあった大興奮の3時間40分

ライブレポート | 2026.04.08 18:00

ROOTS66 -NEW BEGINNING 60- supported by tabiwa
2026年3月20日(金祝)東京・東京ガーデンシアター

《出演アーティスト※誕生日順》

【ROOTS66 GREAT SINGERS】
宮田和弥 [JUN SKY WALKER(S)] / 大槻ケンヂ [筋肉少女帯/特撮] / 中川敬[SOUL FLOWER UNION] / 増子直純 [怒髪天] / 田島貴男 [Original Love] / 斉藤和義 / 渡辺美里 / スガ シカオ / ABEDON [UNICORN] / 伊藤ふみお[KEMURI] / 早見優 / 斉藤由貴 / 吉井和哉[THE YELLOW MONKEY] / 八熊慎一[SPARKS GO GO] / 永井真理子 / トータス松本[ウルフルズ]

【ROOTS66 ULTRA BAND】
友森昭一(G) / 福島忍[勝手にしやがれ] (Tb) / 田中邦和[Sembello] (Sax) / 塩谷哲 (Pf) / 阿部耕作(Ds) / 坂詰克彦[怒髪天] (Ds) / 沖 祐市[東京スカパラダイスオーケストラ] (Key) / ナカジマノブ[人間椅子] (Ds) / たちばなテツヤ [SPARKS GO GO/THE PRIMALS] (Ds) / 奥野真哉[SOUL FLOWER UNION] (Key) / 田中和 [勝手にしやがれ] (Tp) / 木暮晋也 [HICKSVILLE] (G) / 谷中敦[東京スカパラダイスオーケストラ] (B.Sax)

【GUEST MUSICIAN】tatsu[レピッシュ] (B)

10年ぶりに開催された第3回目のROOTS66。<NEW BEGINNING 60>というサブタイトルが振られた今回は、今年で還暦を迎えるアーティストたちが集まってのイベントとなった。その東京公演は、終始、興奮に包まれた一夜だった。

まずオープニングはROOTS66 ULTRA BANDによる、往年のドラマ『太陽にほえろ!』『傷だらけの天使』のテーマ曲の演奏。続いては、ROOTS66 GREAT SINGERSが歌を1コーラスずつ歌ってリレーしていくメドレーのコーナーだ。そのトップは宮田和弥(JUN SKY WALKER(S))による「START」で、以後は生年月日の順。なおこれは2016年に引き続いての企画だが、前回は次の人の曲を歌いながら紹介していく『夜のヒットスタジオ』形式だったのが、今回は自分の歌を披露するスタイルになっていた。そんな中でも無数のハンドウェーブが客席に生まれた田島貴男(Original Love)の「接吻」、そしてトータス松本(ウルフルズ)が熱く歌い上げる「バンザイ~好きでよかった~」と、いきなり見せ場だらけ!開演直後から熱い。

ROOTS66 ULTRA BAND

メドレーを終えたところでマイクを持ったのは、怒髪天の増子直純だった。「ROOTS66!何で俺が仕切らなきゃいけねえんだ?(笑)10年ぶりに、今回もピンからキリまで取り揃えて……誰がキリやねん、ちゅう話ですけど」と快調に話し出す。そして「でもね、今のメドレー聴いた感じで……もう次の回から、2万枚以上売れた曲、禁止です!ヒット曲多すぎる!」と早くも増子節、全開である(なお彼は10年前にもステージ上で「ヒット曲禁止!」と叫んでいた)。その様子を見ていたトータス松本が「顔色いいなぁ。お風呂あたりみたいな顔して(笑)。自ら還暦の色を出してるもん」と茶々を入れ、会場はなごみモードとなる。始まりから、いい雰囲気。

ここからの序盤は、コラボを中心とした名場面の連続となる。まずステージに残ったトータスは、斉藤由貴とともに彼女のレパートリー「夢の中へ」(井上陽水)をパフォーマンス。このアレンジがオーティス・レディングの「I Can't Turn You Loose(お前をはなさない)」を下敷きにしたもので、その意外性とともに、じつに秀逸。非常にソウルフルでタフな「夢の中へ」が出現していた。

斉藤由貴×トータス松本

ここでの共演には、予想外の顔合わせもあった。初出演となる永井真理子と歌ったのは、KAMURIの伊藤ふみお。彼女の「Ready Steady Go!」を一緒に、元気に歌い、笑顔の彼は、すっかり風貌を変えてしまった自分をネタにする。しかし「Ato-Ichinen」ではギターに斉藤和義を加え、持ち前のパンク魂を炸裂させた。

永井真理子×伊藤ふみお

伊藤ふみお×斉藤和義

八熊慎一&たちばなテツヤのSPARKS GO GOのリズム隊は、彼らの盟友であるABEDONを入れた編成でスパゴーの「恋をしましょう」をプレイし、重厚なサウンドを展開。また、宮田和弥と八熊が歌ったのはボ・ガンボスの名バラード「夢の中」で、これに斉藤由貴と永井真理子もコーラスで参加。時間の針を徐々にバンドブームの頃へと向けさせてくれるような流れである。
ここで中央に立った宮田は「真理子ちゃんと僕らは当時『パチパチロックンロール』とか『パチパチ』とか、いろんな雑誌に一緒に出たりしてね」と永井に水を向けると、彼女は「そうですね。イベントやテレビや」と返答。そうしてふたりが歌ったのは1988年のジュンスカのヒットシングル「すてきな夜空」だった。

宮⽥和弥×⼋熊慎⼀×⻫藤由貴×永井真理⼦

宮⽥和弥×永井真理⼦

その爽やかな疾走感を切り刻むように、一転して大槻ケンヂ(筋肉少女帯/特撮)が登場。青いルサンチマンを爆発させる「オンリー・ユー」は彼のソロデビュー曲で、それを宮田も加勢する。元はパンク・バンド、ばちかぶりのナンバーなのだ。この時の演奏の生々しさには、ガーデンシアターの広い舞台の床に、新宿LOFTの市松模様の柄が浮かび上がってくるかのようだった。それも西新宿時代のLOFTである。
特記しておくと、ここまでの5曲は八熊がベースを演奏。それ以外の全曲は、出演者中で唯一の67年生まれであるtatsu(レピッシュ)が担当した。

⼤槻ケンヂ×宮⽥和弥

ステージ上はウルトラマンとバルタン星人との対決を挟んで、次は中盤戦。ここは今年のROOTS66において、最も深いメッセージ性が感じられるセクションだった。
その最初に演奏されたのはジョン・レノンの「イマジン」のカバーで、演者は斉藤和義とトータス松本と中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)。<天国は無い ただ空があるだけ/国境も無い ただ地球があるだけ>と歌われるこの日本語バージョンの元はRCサクセションで、この訳詞を残したのは忌野清志郎である。祈りを込めるような3人の歌声からはRCおよび清志郎へのリスペクトの念と、何よりも平和を願う強い思いが発せられていた(なお中川は、自身が歌う箇所の一部を、今の時代感を反映させた詞に書き換えて歌ったとのこと)。このように66年生まれのロック好きの多くは、ビートルズやジョンはもちろん、RCサクセションの影響を強く受けている。そして思えば、今年に入ってからの数ヵ月、ライブやネットをはじめとしたいくつもの場所でアーティストたちが戦争に言及し、それに反対する表明や平和を訴える動きを目にしてきた。今夜ここで具体的なメッセージは述べられなかったが、彼らが「イマジン」に込めた意志ははっきりしていたと思う。

ウルトラマン VS バルタン星人

⻫藤和義×宮⽥和弥×中川敬

これに続くように中川敬は、1995年に起きた阪神・淡路大震災の時のことを話し、その満月の夜から生まれた名曲「満月の夕」を歌った。そのそばには田島貴男が寄り添い、サックスのあたたかいブロウを聴かせる。アコーディオンを弾くのは中川と同じソウル・フラワーのメンバーである奥野真哉で、彼らは当時、被災地の人たちを励まそうと各地で出前ライヴを行ったものだ。「イマジン」で広がった大きな空のイメージに、関西の夕焼けの色が重なった。平和への、平穏への祈りが、さらにあふれていく。

中川敬×⽥島貴男

INFO

◾️『FMステーション -ROOTS66 edition-』完全版発売決定
ライブレポート&フォトをたっぷり収録して奇跡の二夜の興奮を誌上再現!

発売予定:2026年5月上旬
ご予約:https://store.caranddriver.co.jp/collections/fmstation

 

◾️FM COCOLOにて特別番組O.A.
大阪・東京公演の模様を3時間にわたってお届け

放送局:FM COCOLO
O.A.日時:2026年4月19日(日) 16:00-19:00
番組詳細:https://cocolo.jp/

  • 青木 優

    取材・文

    青木 優

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  • 半田“H.and.A”安政

    撮影

    半田“H.and.A”安政

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