D’ESPAIRSRAY、不屈の魂で臨んだ16年ぶりの単独公演。独自の世界観、“ダークと破壊”でマニアを再び熱狂の渦に

ライブレポート | 2026.05.12 18:00

LIVE 2026『RAPTURE』
2026年5月4日(月祝)Zepp DiverCity(TOKYO)

2011年の解散から14年後の2025年に再集結。昨年11月に千葉・幕張イベントホールで開催された「CROSS ROAD Fest」の初日に出演したことが引き金となり、本格的な活動へと舵を切ったD’ESPAIRSRAYがGWの真っ只中の5月4日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)でワンマン公演を開催した。ソールドアウトとなった当日は5月13日にリリースされる復活第1弾シングル「RAPTURE」を音源に先駆けて初披露。解散当時、HIZUMI(Vo)の深刻な声帯トラブルによってラストライブを行うことも叶わず、休止を余儀なくされた彼らだが、ZERO(Ba)がブログで「本当の意味での復活」と約16年ぶりの単独公演を定義づけた通り、エネルギッシュで突き抜けたアクトで国内外から駆けつけたマニア(D’ESPAIRSRAYのファンの呼称)を圧倒した。

世紀末の1999年9月9日に結成されたD’ESPAIRSRAYはゴシック、インダストリアル、ニューメタルなど影響を受けた洋楽と、日本人である自分たちのDNAが混ざり合ったハイブリッドなロックが特色。インディーズ時代からヨーロッパツアーを敢行し、欧米でのメタルフェスに出演するなど、ネットで気軽に繋がれる時代以前から日本のみならず海外のファンの熱い視線を浴びていたバンドだ。

公演当日。場内は4人が揃う時を待ちわびていたであろうマニア、そして半ば、伝説と化している彼らの楽曲に後から触れた新たなファンの期待、興奮、熱気で溢れかえっていた。メンバーが立ち位置につき、HIZUMIの咆哮で投下されたのは、復活の狼煙にふさわしい「BORN」だ。続いてメカニカルでヘヴィな「REDEEMER」。TSUKASA(Dr)のパワフルなドラミングにKaryu(Gt)の小気味いいカッティングが絡み、お立ち台の上を移動しながら歌うHIZUMIからは抑えきれない衝動が伝わってくる。声援を「聞こえねーぞ!」と煽り、場内は “CHAOSの渦”。“絶望してる時間など無い”というフレーズが2026年の今、新たな意味を伴って刺さってくる。そして「TRICKSTeR」ではヘドバンの海。歌に音に強い意志が宿っていることがダイレクトに伝わってくる。

「久しぶりだね。ただいま。もう16年たってるんですかね。このバンドが活動を止めてからも、それぞれのメンバーの動向を追って応援してくれたみんながいたから、今日、この場にまた集まることができたと思ってます。我々、ロックバンドなんでね。恩の返し方っていうのがロックでぶっ叩くしか知らねえんだよ!それでもいいか?受け取ってくれるか?」

HIZUMI(Vo)

昔の同志と再会したような親しみを込めてHIZUMIが感謝を伝え、アルバム『Coll:set』収録曲などが立て続けに場内を熱くさせていく。TSUKASAの叩き出すタイトなビートとZEROの太いベースがバンド独自の音像を支える「Dears」ではHIZUMIがフロアにマイクを向けた。ライブを通じて改めて感じたのはディスパが鳴らす音がヘヴィロックという一言では括れないということだ。アレンジは緻密であり、英国のゴシックロックに通じる憂いや繊細さ、さらにはオリエンタルなエッセンスも盛り込まれている。HIZUMIの湿気少なめのエネルギッシュなヴォーカリゼーション、同期と生音を融合させるセンス。ZEROがステップを踏み、Karyuがジャンプする「Angeldust」ではミラーボールの光が反射し、“静”と“動”が交錯し、神秘と破壊が共存する「Infection」では大歓声が沸き起こった。中盤はHIZUMIの歌の表現の深みに触れられる儚く美しいメロディとオリエンタルでアンビエントなサウンドが融合する「PARADOX 5」から、インディーズチャートの1位を獲得した「Garnet」に移行するマニア心を刺激しまくる流れ。シンガロングが響き渡り、ストレートで躍動感のある「KAMIKAZE」へと。滅多にソロを弾かないKaryuの華のあるギターソロにも歓声が上がった。

TSUKASA(Dr)

ZERO(Ba)

Karyu(Gt)

「楽しんでるかい?最高だね。5月13日にニューシングル『RAPTURE』を発売します。昔のD’ESPAIRSRAYと新しいD’ESPAIRSRAYのいいところを詰め込んだ作品ってKaryuが言ってました。ここで新曲を演るんですけど、どんな景色が見えるか俺にも想像がついてない。でも、最高の景色が見えると思ってます。思いきり楽しんでください!」。HIZUMIがそう前置きして、スモークが派手に噴出される演出の中、披露された「RAPTURE」はヘヴィネスとキャッチーさを兼ね備え、解き放つような恍惚感にあふれたナンバーだった。

新曲に続いて「Subliminal」を叩きつけ、Zeppは熱狂の渦。HIZUMIが「今日、雨予報だったんですけど、降りませんでしたね。俺、調子悪いのかな(笑)みんなは(晴れて)“やった!”と思ってるかもしれないけど、こっちとしては商売、上がったりなんだよ。最高の演出だと思ったんだけどな」と笑わせ、大地に光が差し込むようなスケール感のあるナンバー「Squall」ではシンガロング。景色が開けていく感覚を覚える後半は、眩い光がサーチライトのようにフロアを照らしたストレートながらシンセとバンドサウンドの融合に技ありの初期の「Forbidden」に続き、4thフルアルバム『MONSTERS』からのナンバーが中心に据えられた。ユーロビートを取り入れた「LOVE IS DEAD」でマニアを踊らせ、HIZUMIの咆哮が炸裂するインダストリアルなヘヴィチューン「DEATH POINT」ではコール&レスポンス。

「もっとお台場でパレードしようぜ!次の曲、何かわかるよな」と煽り、オリエンタル且つダークなテイストのダンスビートにラップセクションも取り入れられた「DEVILS’ PARADE」を投下。本編はZeppが興奮で揺れまくり、マニアの歌う声が響きわたった「MIRROR」で締められた。エンディングでKaryuはステージに寝転がったままギターを弾き、怒濤の大歓声。近年はNUL.として活動していたとはいえ、喉の不調に長年、苦しみ、それでも歌うことを諦めなかったHIZUMIの堂々たるボーカルと不屈の精神にも胸を打たれた。

D’ESPAIRSRAYの名を叫ぶ声で埋め尽くされたアンコールでは全員がグッズTシャツで登場。HIZUMIは「まだパワーありあまってんのか?」と煽り、フロアを見渡して「まだまだ、やれそうだな。俺らも負けてらんねーぞ。いけるか?Karyu!いけるか?TSUKASA!いけるか?ZERO!俺はいけるぞ!」と叫んで「Reddish-DEVA VERSION-」を投下。各自のパートがフィーチャリングされるマリリン・マンソン直系のシャッフルナンバー「SIXty∞NINe」でマニアを揺らし、Karyuの王道ロックなギターリフがクールな「Hollow」ではHIZUMIがタンバリンを手にZEROと絡んだり、自由奔放なアクトで魅了。拳が突き上がるフロアに「ちょっと遊ぼうか?」と呼びかけ、センター、上手、下手とセクションを分けて盛り上げる場面も飛び出し、2ndフルアルバム『MIRROR』からの2曲がマニアたちを笑顔にした。

メンバー紹介ではHIZUMIが「16年ぶりなので名前覚えてますか?」と呼びかけ、それぞれが今の心境を言葉にした。「Zeppのみなさん、こんばんは。16年分、楽しんでますか?ここに来る途中、レインボーブリッジを渡って車で来たんですが、たくさんのビルディングが埋立地を埋め尽くしていて、僕たちが結成した’99年の頃にはフジテレビさんしかなかったです…ウソつきました」と変わらず素朴なトークで沸かせたのはTSUKASA。

感謝の言葉を述べるもHIZUMIにその喋りを「16年経って磨きがかかったね」と突っ込まれ、ZEROは「ただいま!そしてオマエたちにも言いたい。お帰り。初めて見に来た人は初めまして。いろんなことの積み重ねだったり、みんなが望んでくれたこと、みんなで叶えたいこと、俺たちの未来に絶望じゃなくて光が輝いたらいいなと思って、これからも少しずつやっていくと思うので、今後ともよろしくお願いします」と挨拶。

TSUKASAと違う意味で天然のKaryuは「マニアの皆さんですか?マニアってマニアックですよね。マニアックが崇高っていう意味なら、今日、来てくれてるみなさんは全員、マニアということで。あれ?トーク合ってる?」とやや混乱しつつ、「久々のライブで空気感も昔と違うなと思いながら、すげえ楽しいです。このバンドは紆余曲折あって、決して順風満帆っていうわけではないし、今もいろいろ抱えながらやっていますけど、希望を持って鞭打ってやっていきます」と心情を正直な言葉で伝えた。

HIZUMIコールの中、ZEROに紹介されたHIZUMIは「ここまで来るのに本当に時間がかかって申し訳ないなって気持ちがあるんですが、今日のライブを無事に迎えられて本当によかったなと思ってます」と挨拶。9月9日にFC[un]Beautiful 限定ライブを開催することを告知し、今後もイベントの予定が目白押しだとマニアを喜ばせた。

そんなD’ESPAIRSRAYの未来を祝福するように「じゃあ、ここで希望のある曲を」と鳴らされたのは未知の世界に踏み出す意志を刻んだオルタナティブなサウンドとキャッチーなメロディが壮大な景色を描き出す「HORIZON」。光さす空間にいざなった後はメンバーもマニアたちも叫んで暴れたおす「浮遊した理想」を投下し、両者ともにライブが始まって約2時間半とは思えないほどの狂いっぷりを見せた。

HIZUMIが感慨深げに「最高の景色を見れてます。16年前の自分に言ってやりたいよ。“歌を諦めなかったら、すげえ景色が見れるぞ”って。みんなも今後、諦めたりすることがあるかもしれないけど、生きることだけは諦めないでください。ここにいる全員の未来に幸せが訪れることを願ってます」とメッセージを送り、最後の曲は美しくも力強いバラード「abyss」だった。ステージに舞う紙吹雪もD’ESPAIRSRAYの新たな航海を讃えているようなエンディング。いくつもの波を乗り越えてきた彼らとマニアたちだからこそ、未来はそう簡単に揺らがない。そう思わせてくれた一夜だった。

SET LIST

01. BORN
02. REDEEMER
03. TRICKSTeR
04. Dears
05. in Vain
06. Angeldust
07. Infection
08. PARADOX 5
09. KAMIKAZE
10. Garnet
11. RAPTURE
12. Subliminal
13. Squall
14. Forbidden
15. LOVE IS DEAD
16. DEATH POINT
17. DEVILS’ PARADE
18. MIRROR

ENCORE
19. Reddish-DEVA VERSION-
20. SIXty∞NINe
21. Hollow
22. HORIZON
23. 浮遊した理想
24. abyss

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