グループ魂「年末?渋谷でバイト~30年目の公園通り~」
2025年12月26日(金) LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
1995年の活動開始から今年で30周年を迎えたグループ魂。「三宅ロックフェスティバルvol.6 ~偏差値15で渋谷を制圧!~」(氣志團との対バン)、「未定 vol.1 グループ魂×THE KEBABS」、ロックフェス「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2025 in EZO」出演、ワンマンライブ「羽田で単発のバイト」開催、さらに3曲入り配信限定シングル『来世は叶姉妹』のリリースなど、精力的な活動を繰り広げてきた。
「年末?渋谷でバイト」は30周年のアニバーサリーを締めくくるライブ。“これまで”と“今”そして“これから”を同時に体感できる最高のステージが繰り広げられた。
おそらく多くの人が仕事納めだったこの日、客席のテンションはいつも以上に高め。
港カヲル(皆川猿時/MC&Vo)が登場すると、ビックリするほどデカイ歓声が沸き起こる。「女はLINE CUBEよりもルービックキューブが好きである……」からはじまる口上、「こんばんは、永遠の46歳、港カヲルです。いいねえ渋谷、〇〇牧場」という挨拶で既に大ウケ。思い切りお客さんをイジってると、遅番こと少路勇介(Cho&Sax)が「すいません、遅れてきたお客さんがいて、ここ通ります」となぜか叶美香さんをアテンド。華麗に舞台を横切る美香さん、やんやと盛り上がるお客さん。(美香さん、2階席でのご観覧でした)
2024年に6人で再始動して以来、“いろんなゲストがバイトの面接を受けに来る”というのが定番の演出。前回のZepp Hanedaではシソンヌのじろう、その前は宍戸美和公や松尾スズキなどが登場したが、今回、バンドメンバーと一緒にステージに現れたのは彦摩呂。いきなり「モテる努力をしないでモテたい節」を放ち、破壊(阿部サダヲ/Vo)、港、彦摩呂によるパフォーマンスが実現し、会場は爆笑と興奮で包まれた。
「俺よりデブはダメだろう! 俺のデブが薄まるだろう!」と文句を言う港が彦摩呂の履歴書を見ながら面接し(彦摩呂さん、就職したことあるそうです)、「有望なんだけど、彦摩呂さんの出番は12曲目なんです」(港)ということでいったん引っ込み、遅番が代わりに出てくる。「さあ気を取り直していこう!」(港)「はいどうもこんばんは!」(破壊)という挨拶から「アイサツはハイセツよりタイセツ」「くるま売りたいな」を続けて披露。さらに人気曲「チャーのフェンダー(Char入り)」(2014年)へ。スクリーンにはCharも出演したMVが映されたのだが、コントのパートではメンバーが演奏を止め、お客さんと一緒に映像を眺めている。なんだこの演出……と思っていたら、港が「30周年ということで、懐かしいミュージックビデオとともに振り返ります」と説明。続く「ラブラブエッサイム’82」(2010年)、「嫁とロック」(2006年)もMVを映しながら演奏。若い! 懐かしい! 面白い!と心のなかで叫びつつ、30周年を迎えた現在のグループ魂のパフォーマンスを体感し、感情が忙しい。
破壊、暴動(宮藤官九郎/Gt)、遅番のコント(30年前、渋谷の公園通りにあった“公園通り劇場”がグループ魂のデビューステージだったよね……というネタでした)の後、女子高生に変身した港が「見てる見てる〜調子いい膝を見てる〜」と登場、「High School」そして「ラブラブマンハッタン」を披露。さらに“左半身が叶美香、右半身が叶恭子”な出で立ちの荒川良々が「美香さん?」「恭子さん?」と一人で呼び合いながらステージを右へ左へ。破壊に「美香さんなら客席にいますよ」と言われ、「あ、美香さんだ」と手を振る荒川。優雅に手を振り返す叶美香さんは今やグループ魂のファミリーだ(違う)。
“皆川利美、14歳”がメンバーに取材する「皆川スポーツ」のテーマは、メンバーそれぞれが思い出に残っている写真を紹介する「グループ魂30年、思い出のアルバム」。遅番は2009年のZepp Tokyo公演(ゲストにクレイジーケンバンドの横山剣、中西圭一、杏子が登場)、遅刻(富澤タク/Gt)はアルバム「Run魂Run」(2002年)のレコーディング・スタジオをセレクト。石鹸(三宅弘城/Dr)は第1回「三宅ロックフェスティバル」(新宿LOFT/ゲストは怒髪天、ニューロティカ)で男泣きしている写真、小園(小園竜一/Ba)は初めてベースで参加した1997年の下北沢CLUB Queの写真、暴動は1998年の赤坂BLITZ公演の前に渋谷公会堂(現・LINE CUBE SHIBUYA)をバックに撮った記念写真やフジロックの写真を選び、昔話に花を咲かせる。当たり前だが、写真のなかのグループ魂はめちゃくちゃ若い。気が付けばメンバー全員50代半ば、遅刻は還暦か……とシミジミしてしまう。
「本田博太郎〜magical mystery UPAAAAAAAAA!!!!!〜」から始まったライブ後半も演奏とMVでお届け。初期の代表曲「竹内力」のMVにおける、竹内力と破壊の絡みが最高。マシンガンを撃ちまくり、お札をぶちまけるVシネ的な演出がカッコイイ。(小道具はすべて竹内力さんにお借りしたそうです)
さらに彦摩呂が再び登場し、「彦摩呂」を生コラボ。〈う!み!の 宝石箱や!〉のリフレインで観客のテンションをさらに引き上げる。母親への想いを綴った「おかあさん」を挟み、ライブの高揚感は一気にアップ。ファンキー&ダンサブルな「職務質問」、シンガロングが巻き起こった「Over30 do The 魂」「元気を出して声出して勇気を出してケツ出して」、そして「それでも生きなきゃ死んじゃう音頭」へ。パンクロックを軸にしながら幅広いジャンルを網羅するバンドサウンド、オモシロとエモさと興奮がぶつかり合う歌。30周年を迎えたグループ魂の“今”が炸裂する素晴らしいパフォーマンスだった。
“歌舞伎俳優の9代目中村屋華左右衛門さまより、今年を締めくくる恒例の都々逸を賜ります”というアナウンスに導かれた「中村屋」から始まったアンコールも見どころたっぷり。いきなり暗転し、スクリーンに映されたのは未発表の映像。阿部サダヲ、峯田和伸が出演する“三角関係”を描いた映像に見入っていると、峯田がステージに登場し、グループ魂とともに「モテる努力をしないとモテないゾーン」をセッション。緊張感と興奮をグイッと引っ張り上げる峯田のボーカルは流石の一言だ。
じつはこの映像、5年前に撮影されたMV(監督は大根仁)。いろいろあって公開できなかったのだが、ここで観られたことはとても良かったと思う。
続いては「天才」。宮藤官九郎による「大パルコ人」シリーズ第5弾のオカタイロックオペラ『雨の傍聴席、おんなは裸足…』に出演した峯田が、舞台で披露した楽曲だ。凄まじい迫力と溢れんばかりの詩情が会場を包み込む瞬間もまた、この日のライブの大きなハイライトだった。
荒川良々、彦摩呂(「グループ魂はエンタメの宝石箱や!」という名言も飛び出しました!)も加わり「君にジュースを買ってあげる」。さらに「もうすっかりNO FUTURE!」「ペニスJAPAN」を放ち、ライブはエンディングを迎えた。
最後は港カヲルの挨拶。「来年の稼働はございません! どうしても我慢できない人は“画鋲”(暴動、石鹸、よーかいくんによるパンクバンド)を観に来るといいよ。次にお会いできるのは再来年、アイツが帰って来るのか来ないのか、どっちでもいいか!」という挨拶、そして“人”“演劇”と書かれたセンスを両手に持ち、お決まりの三・三・七拍子からの「ウルトラマン80」主題歌の独唱で大団円。グループ魂の30周年はひとまず終了したが、オモシロとカッコよさがぶつかり合うこのバンドの存在はやはり唯一無二。やれるところまでやってほしいと勝手に願ってます。






















