
H ZETTRIOは『こどもの日SP(スペシャル)』として、2016年より、年齢制限なしのライブを5月5日のこどもの日に開催している。子どもの泣き声までもセッションの一部としていく自由な楽しさが大きな特徴だ。しかし、老若男女問わず、誰もが理屈抜きで楽しめるコンサート空間を作るのは簡単なことではない。しかも、彼らは10年間、この『こどもの日SP』を継続してきた。10周年の今年は、『H ZETTRIO LIVE 2026 こどもの日SP 〜10th Anniversary〜 ~Playin’ Swingin’ !!! Everybody !!!~』と題して、東京・LINE CUBE SHIBUYAで開催される予定だ。この企画を10年続けてきた秘訣、醍醐味と難しさ、今年のステージの抱負などについて、3人に聞いた。
──『こどもの日SP』は今年で10周年となります。10年続けてきたことについて、特別な感慨はありますか?
H ZETT M(以下M)「こどもの日」にちなんで、親子が楽しめるイベントということで始まったわけですが、当時、親の膝の上に座って観ていた子どもが中学生になっているわけだから、そう考えると感慨深いですね。
H ZETT KOU(以下KOU)10年という歳月はずっしり重いですね。「大人もキッズも自由にはっちゃけようぜ」ということで始めたイベントなんですが、自分たちにとっても、5月5日のイベントを中心に1年が回っているような感覚もあるんですよ。「ああ、また戻ってきたな」と感じるくらい、想いは強いです。
H ZETT NIRE(以下NIRE)終演後にサイン会をやることもあって。そうすると、以前サイン会で会った子と何年か後に再会して、「でっかくなったなぁ」と感じることもあるんですよ。こちらは10年経ってもあまり変わりませんが、子どもは成長するのが早いので、10年って結構大きいんだなと実感しています。
KOUお手紙をいただくこともあって。「昔、親に連れられて初めて観たライブがH ZETTRIOでした。そこでファンになって楽器を習うようになり、H ZETTRIOの音楽をやっています」という手紙を見ると、うれしいですし、胸が熱くなりますね。
──10年やり続けたからこその経験ですね。『こどもの日SP』はライフワーク的なイベントですか?
Mライブ自体が我々のライフワークだと思っていますが、その中でも『こどもの日SP』では、「泣き声も全然オッケー」という音楽を楽しむ空間を作り、共有する喜びがあります。そうした私たちの喜びが、あの空間を経験された方々にとっても喜びであったら、こんなうれしいことはないです。
──小さな子ども連れでも安心して楽しめる、自由な空間ですね。
KOUそうですね。「音を楽しむと書いて音楽だぞ」みたいな。自分たちにとっても初心に戻れる日なんですよ。子どもは正直ですから、こっちもふざけるにしても、真剣に遊びにいかないと、駄目なんですよ。サイリウムを振る時も、「全力で振るぞ」という気概でやっています。
NIRE「大人の方も子どもの心を持って楽しんでください」といつも言っているんですが、自分も初心に返ることを目指してやっています。長く活動していると、変なテクニックや知恵が身についてきてしまうところがあるんですよ。だからこそ、子どもの頃に初めて楽器に触れた時の感動や感触を忘れたくない。私の場合はウッドベースだったんですが、「なんかでかいし、いいな、急に低い音が出るんだな」みたいな(笑)。あの気持ちを忘れないようにしたくて。『こどもの日SP』が子どもの心に戻れる機会になっています。
──音楽活動全体にも影響を与えていますか?
M長くやればやるほど、いろんなことを考えるんですよ。「良い空間になったらいいな」と常に思いながら演奏していますが、より音に真剣に向き合ったり、表現の幅が広がったりしているところはあるかもしれません。そこがうまく伝わって、いいアクションが返ってくると、うれしいですよね。何にどう感激するかは人によって違いますが、熱は伝わるので、その都度、真剣にステージに臨んでいます。
KOU子ども扱いせず、手加減せず、「向き合っていくぞ」という姿勢が大切ですよね。
──子どもが客席にいるコンサートならではの醍醐味は?
NIRE子どものお父さん、お母さんからもお手紙をいただくこともあって。「息子と娘を連れていったら、ファンになりました」みたいな話を聞くと、うれしいですし、その子どもたちがまた観に来てくれるのかなと思うと、「今年も頑張るぞ」という気持ちになりますね。
──世代間の繋がり、未来への繋がりが生まれるところにも、『こどもの日Special』の良さがありそうですね。
M「全年齢対象」となると、自然と平和な空気が漂いますよね。そして、未来に繋がるきっかけになるかもしれないと考えると、やりがいを感じます。
NIRE音楽で世代を繋ぐという観点で考えると、続けていくことの大切さを痛感します。『こどもの日SP』を観に来てくれた子どもがやがて親となり、子どもを連れてきて、その結果、三世代が一緒に観に来てくれることが目標です。
──親子だけでなく、孫まで観に来るコンサート、画期的だと思います。『こどもの日SP』は家族で楽しめることも大きな魅力ですよね。家に帰ってから、家族でコンサートの感想を語り合うこともありそうですね。
NIREコミュニケーションの「糊」みたいな存在になれたらいいですよね。「あの曲はお父さんが子どもの頃に流行っていた曲だよ」みたいに、会話のネタにしてくれたらうれしいです。
──毎回、さまざまな世代に引っかかるカバー曲を演奏していますよね。「ひょっこりひょうたん島」のカバーを演奏されたこともありましたが、子ども世代より親世代、祖父母世代にドンピシャの選曲です。
M「ひょっこりひょうたん島」を演奏していると、大人が子どもみたいな顔をして観ていたり、逆に、子どもが大人みたいな顔をして観ていたり。そういう逆転現象が起こって、「子どもも大人も音楽の前では一緒なんだ」と感じます。












