Tour「バンドBのすべて 2016-2017」
2016年12月11日(日) 横浜BAY HALL
TEXT:森朋之
PHOTO:Toshikazu Oguruma
9月にリリースされたリニューアル版ベストアルバム「増補改訂完全版『バンドBのベスト』」を引っ提げた全国ツアー「バンドBのすべて 2016-2017」。その10本目となる横浜BAY HALL公演。今回のツアーでBase Ball Bearは、常に変化と進化を続ける姿勢、そして、更新されたバンドの在り方をダイレクトに示してくれた。
セットリストの軸になっているのはもちろん、ベストアルバムの収録曲。結成から15年、メジャーデビューから10年という時間のなかで生み出されてきた代表曲が次々と披露され、フロアを埋め尽くしたオーディエンスも気持ちよく高揚感を高ぶらせていく。オルタナ、ニューウェイブ、ポストロック、エレクトロなどの幅広い要素を反映させた楽曲を(打ち込みや同期の音に頼らず)生々しいバンドサウンドによって体現する。そこから生まれる表現は、今回のツアーでも確実に進化していた。その大きな要因は、ゲストギタリストの弓木英梨乃(KIRINJI)の存在。Base Ball Bearの先鋭的にしてポップな楽曲を完璧に弾きこなし、卓越したテクニックでバンドアンサンブルに色を添える彼女のプレイは、まちがいなくこのツアーの大きなポイントだろう。
小出祐介(Vo/Gt)のシャープなギターカッティングと繊細かつ濃密なエモーションをたたえたボーカル、骨太なグルーヴを生み出す関根史織(Ba)、堀之内大介(Dr)のリズム・セクションもさらに充実していた。さらに印象的だったのは、メンバー全員の楽しそうな雰囲気だ。メンバー同士で何度も目を合わせ、ときおり笑顔を浮かべながら音を奏でる姿からは、Base Ball Bearとして活動できることの喜びがはっきりと感じられた。また、現在制作中の新作のなかから新曲も披露。この先のバンドの方向性を予感できたことも大きな収穫だった。
ライブ後半のMCでは、小出が現在のバンドの状況について改めて説明した。結成15周年、デビュー10周年という記念すべき年にメンバーが脱退したこと。春のツアー「Base Ball Bear Tour『LIVE BY THE C2』」、日比谷野外大音楽堂のワンマンライブ「日比谷ノンフィクションⅤ~LIVE BY THE C2」を先輩、同世代のミュージシャンの力を借りて開催できたこと。そして、ベスト盤のリリースを経て、再びツアーを行えていることへの感謝――。「Base Ball Bearという生き物はまだまだ変化したがっているし、進みたがっている。僕ら3人は、その柱にならないといけない」という小出の言葉に対し、観客から大きな拍手が起きた。
様々な出来事に直面しながら、そのすべてを素晴らしい音楽に昇華し続けているBase Ball Bear。今回のツアーはバンドのキャリアにとって、とてつもなく大きなターニングポイントになるはず。ツアーファイナルは2017年3月29日(水)のZepp Tokyo。新たなフェーズに突入したBase Ball Bearの現在をしっかりと目撃してほしい。