「ええ公園やな。スカイツリーも見えんで、こっから」
「flumpoolのファンの人!(と手を挙げさせて)……こんだけ?アウェイや、ほぼ敵や」
「敵と味方だけちゃうから」
「どの顔が言うねん」
「拝んで帰ってください、俳優兼ミュージシャンやから」
「ここにいる人たち、そんなんいちばん嫌いやから」
という山村隆太と阪井一生の掛け合いで笑わせる。と思ったら、「2008年に木が植えられ始めて、17年後、こうして公園になってる。まだまだ発展途上、このフェスも発展途上、flumpoolも発展途上。みなさんも今後かなえたいことがあると思います。デビューした2008年の曲を聴いてください」と、「花になれ」に入ったりもする。
最新アルバムからの「君に恋したあの日から」を経て、ラストは初期のヒット曲「花になれ」。さすが、としか言いようのないステージ運びで、参加者を幸せにしたflumpoolだった。
ここ(海の森公園)は埋立地で、1200万トンのゴミの上にできている、という話をサウンドチェックでした上で、「ゴミの上で踊ろうぜ!」「この島の底を抜けさせてみんなで海水浴しようぜ!」などとアジテーションしながら、7曲・35分を駆け抜けるように歌い続けたTele=谷口喜多朗。
中盤の「バースデイ」の頃には、TOKYO STAGE前に詰めかけたファンだけでなく、後方で眺めている人たちも身体を揺らしているくらい、その音楽の魅力が伝播していった。
Tele ©TOKYO ISLAND All Rights Reserved
という、Teleのパフォーマンスと同じ頃。2026年6月13・14日の、Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuでのワンマンを最後に活動を終了することを、9月27日に発表して以降で、関東エリアで最初のステージが、この日のトリだったSHISHAMO。宮崎朝子&松岡彩とサポート・ドラマーのyuccoは、アイランドカーに乗り、恐竜探検ツアーに出発していた。
出番よりもだいぶ早く会場入りして、このツアーを楽しむことにしたようだ。乗り込むところを見かけたのだが、偶然その場にいたファンが、驚いて泣き出した。でもその子、アイランドカーに駆け寄って握手を求めたりはしないで、ちょっと離れた位置のまま、泣きながら3人に感謝の言葉を伝えていた。こっちまでじーんときました、何か。
©TOKYO ISLAND All Rights Reserved
昨年の『TOKYO ISLAND』では3日目がまるごと「androp 15th Anniversary day」になって、15周年を祝われたandrop、今年の出番は3日目16:25からのISLAND STAGE。
「ちょうどいい、夕日がきれいな時間になってきましたけども、僕ら皆勤賞でございます」と挨拶。「今ツアー中で、新曲、早くやりたかったんですけど、秋の風景に似合う曲、まさに今日初披露します!」と、5日前にリリースしたばかりの「Magic Hour」を、去年の感謝もこめて、このフェスにプレゼントする。
ラストの「NaNaNa」で大きなシンガロングをオーディエンスから引き出したあとは、最後に鹿野 淳をステージに呼び込んだ。
androp ©TOKYO ISLAND All Rights Reserved
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そして、3日間の大トリ、いよいよSHISHAMO、最初で最後の『TOKYO ISLAND』出演である。
サウンドチェックの段階から宮崎朝子、「リハーサルですがタオル回してくれますか!」と、盛大なタオルの高速回転を巻き起こす。そして「恋する」「君と夏フェス」「君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!」と、かっ飛ばしていく。
最初のMCで「初出演でトリを任せていただけるなんて光栄です。東京タワー、見えるんですね」と言うと、松岡彩が「スカイツリーも」と付け足す。「着くやいなや恐竜探検ツアーで、すごい楽しかった。バンドを12〜13年やっていても、こうして初めてのことがあるのに、ワクワクしてます」。そして「新曲をやります」と、「運命と呼んでもいいですか」、次は「ハッピーエンド」と、スロー・チューンを2曲続ける。
SHISHAMO ©TOKYO ISLAND All Rights Reserved
SHISHAMO ©TOKYO ISLAND All Rights Reserved
SHISHAMO ©TOKYO ISLAND All Rights Reserved
改めて、2026年6月活動終了のことに触れ、「でもあと8ヵ月あって、今日みたいにゴンゴンとライブをやっていきます。またどこかで会えたらいいなと思います」。と、後半ブロックへ突入。「夏恋注意報」「最高速度」「狙うは君のど真ん中」と畳み掛け、オーディエンスを熱狂させた上に、最後にサプライズが待っていた。
ラストの「明日も」を3人が演奏し始めてから終わるまで、それに合わせて花火が上がり続けたのだ。1年前のandropと同じく、3日間の最後の「音楽花火」を、生の演奏&歌で行った、ということである。
活動終了までのカウントダウン中、という特別な状況にあるSHISHAMOのステージを、フェス側が特別な演出で彩った──それはもう、本当に見事で、本当に美しくて、本当に感動的な光景だった。
©TOKYO ISLAND All Rights Reserved
花火の終わりと共にSHISHAMOの3人が笑顔で挨拶して去ると、入れ替わりに出て来た鹿野 淳が一本締め、3日間のすべてが終わった。
この3日間を通して、多くのアクトが、ごく普通に、来年以降の開催のことに触れた。終演後、フェスの公式サイトにも「また来年、ご一緒できることを楽しみにしています!」というメッセージがアップされたし、SNS等でも来年の開催を楽しみにする声をあちこちで見かけた。
コロナ禍が終わらぬ中で初開催してから4年、言わばそのような「毎年当然行われるべきフェス」として根付いた、ということなのだと思う。だいぶ気が早いが、2026年に関する発表を、楽しみに待ちたい。














