山人音楽祭 2025 ~10th Anniversary~[Day2]
2025年9月21日(日)日本トーターグリーンドーム前橋
青空が広がる気持ちよい秋晴れに恵まれた、『山人音楽祭 2025』Day2。会場に着くや、青空をバックに入場口のだるまと自撮り撮影。初日同様、開演前に赤城ステージのアリーナにスタンバイして。キング・オブ・前説、NAIKA MCの前説から、2日目がスタート!
2日目の個人的な目標は“全部観る”。初日を振り返った時、観れなかったステージがいくつかあって、後悔して。これだけ広い会場だから、物理的に観きれなくて当たり前だし、厳選して観る楽しみがあることも分かってるんだけど。ありがたいことに関係者パスで裏導線を使える特権があって、ショートカットでステージ間を移動することが出来るのだから、多少無理すれば全アクトを観ることが不可能じゃない。だったら山人ファン代表として、それぞれのアーティストの想いを込めたライブアクトを全部見届けて、余すところなくお届けしてやろうじゃないか!というのが、2日目の目標。
赤城ステージの特攻隊長は、バックドロップシンデレラ。「バズらせない天才」で始まるや突き上げるビートにブチアガるフロアに、でんでけあゆみ(Vo)が秒で飛び込んで、観客の頭上で大熱唱。そのアグレッシブすぎるステージたるや、まさに特攻隊長! といった感じで、頼もしいことこの上ナシ。「フェスだして」では「去年は榛名のトリ、今年は初赤城。バックドロップシンデレラが信頼されてるから、ここに置いてもらったってことで間違いないよな!?」と豊島“ペリー来航”渉(Gt&Vo)が興奮気味に語り、観客がどデカいシンガロングで問いかけに応える。その後の山人やG-FREAK FACTORYへの愛と嫉妬とリスペクトを大いに語ったMCもすごく良かったが。熱い想いを込めた歌と演奏にオーディエンスが本気の“ウンザウンザ”で応えるという、心と体でぶつかり合う風景が原始的かつ清く正しく映り、グッと胸を熱くさせた。祭りの幕開けに相応しい最高のアクトだった。
バックドロップシンデレラ Photo by HayachiN
榛名ステージの幕開けを飾ったのは、BANYAROZ。メンバー構成と数曲を聴きかじったくらいの知識で挑んだライブだったが、これがすこぶる面白かった! BENE(Vo&Ba)、POIPOI(MPC)、DOCTOR-HASEGAWA(Tp&Sax)、KenKen(Dr)という独創的な構成で、自由度も高くって。さすがはベースヒーローのKenKenだけあって、ドラムを叩いてもビート感は抜群。ジャンルを超越した独創的な音楽性や、音楽やライブを心から楽しむそれぞれのメンバーの姿も実に良くって、初めて観るであろうオーディエンスも笑顔で身体を揺らして楽しんでいた。ほら、こういう新しい出会いがあって、それを紹介する機会があるのだから、多少無理してでも全部観る必要があるんだよ、俺!
「(山人音楽祭を)あと10年続けてもらわなきゃ困ります! 10年後には、あの子がここに来ますからね!!」と、アリーナの真ん中でオーディエンスに担がれた北島康雄(Vo)が端で観戦する子供を指差して熱く叫び、彼らの代表曲である人生賛歌「クラーク博士と僕」が始まる。赤城ステージに登場した四星球は、段ボール自転車でレースしたり、茂木洋晃(G-FREAK FACTORY)を引っ張り出して「恋するフォーチューンクッキー」を歌ったり、巨大下仁田ねぎを振り回したり。やりたい放題しながら、しっかり山人音楽祭に愛とリスペクトを届けたり、グッとくるメッセージを残したりするからズルいし、もの凄い。フェス初披露という応援歌「あんぽんたん」も胸に刺さりまくり、あぁ、また四星球にやられた!と思わされるばかりだった。
四星球×茂木洋晃(G-FREAK FACTORY) Photo by HayachiN
「子供の前ではカッコいい大人でいて下さいね。そして子どもが大きくなって、孫を連れて山人音楽祭に来れたらいいじゃないですか」と、フロアの真ん中でオーディエンスに囲まれたJ-REXXX(Vo)が、「MINORITY」で<ハミ出し者でもいいぜ 常識ぶち壊していけ>と叫んだ後に語る。J-REXXXが想像していたのは四星球同様、子どもたちが大きくなった10年後の山人音楽祭の風景だった。バンドスタイルで登場し、榛名ステージを存分にブチアゲていたJ-REXXX。ラストは観客のスマホのライトに照らされながら「最後の一本」を披露。<これ吸ったら帰ろう>と、名残惜しそうに歌うJ-REXXXだったが。榛名のステージが物理的に近いことに加え、人間味ある歌にライブが進むほどに親近感が生まれていただけに、「この時間がもっと続けばいいのに」と思っていたのは観客も同様だったはず。
巨大なステージにギター一本背負って、たった一人で見参。赤城のステージが物理的に遠いことも忘れさせる、人間味溢れる掻きむしるアコギの響きと魂震わす歌声でオーディエンスを圧倒したのは竹原ピストル。ビートたけし「浅草キッド」のカバーを歌い終えると、「リハの感じから、今日のお客さんはカバー曲が受けるなと思って」と笑みを浮かべて「Amazing Grace」へ。え? その場の反応を見ながら曲を決めてるの!? と思った時、きっと客が1人でも1万人でも変わらない気持ちで、変わらないステージを見せるのだろうなと思うと、この男のどデカさが恐ろしくさえ感じた。竹原の放つ圧倒的気迫に、固唾をのむように見守る観客だったが。「よー、そこの若いの」「Forever Young」と続いた終盤戦は、ようやく共に歌う声が上がる。「のんびりお付き合いください」と告げて始まったライブだったが、のんびり観てる暇など一秒も与えない強烈なステージだった。
続く榛名ステージには、JUN SKY WALKER(S)が降臨! 「MY GENERATION」「歩いていこう」で始まり、名曲たちを惜しげなく披露する神セトリに、俺を含むバンドブーム世代が大興奮&大熱狂!! 「ジュンスカ、60歳になりました」のMCに衝撃を受けたのだが、現役バリバリの演奏とパフォーマンス、宮田和弥(Vo)のルックスも国宝級の歌声もあの頃となにも変わらなくって。ジュンスカに夢中だった、中学生の頃にグーッと気持ちが引き戻される。「季節は関係ないよね?」と披露した「白いクリスマス」に涙して、「START」や「全部このままで」を拳上げて大合唱して。ラストは飛び入りした茂木が「行こうぜ、純太!」と告げ、宮田&茂木のツインボーカルで「すてきな夜空」を熱唱という、スペシャルすぎる演出に気分は最高潮! 山人10周年ということで四星球もJ-REXXXも今後の山人を語ってたが、20周年を迎える時、G-FREAKメンバーがいまのジュンスカくらいの年齢。そう考えると、まだまだ現役バリバリでやってもらわないと困ると思った。
JUN SKY WALKER(S) Photo by 半田安政
JUN SKY WALKER(S)×茂木洋晃(G-FREAK FACTORY) Photo by 半田安政
そんなことを考えながら赤城ステージに向かうと、「(山人音楽祭に)20年後、30年後も呼んでくれー!」と叫んでたのは、ハルカミライの橋本学(Vo)。「PEAK'D YELLOW」の大合唱を見ながら、10年後20年後、いまの若い世代がおじさんになった頃、変わらずロックしてるハルカミライを観ながら、いまの気持ちに引き戻されるんだろうなと想像した。<眠れない夜に俺たち G-FREAK FACTORYを聴くのさ>と歌詞を替えた「アストロビスタ」から終盤戦を駆け抜けると、「あっぱれだったぜ、山人音楽祭!」と啖呵を切り、手応え十分といった大きな笑顔を浮かべた。
榛名ステージには、秋田で行われている最強ローカルフェス『OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL』の総大将、山嵐が山人音楽祭に初見参! 10周年のお祭り騒ぎに相応しい、新曲「嵐山々」をぶっ放ち、会場をゆっさゆっさと揺らす。そして同時刻、妙義ステージでは、山人MCバトル☓戦極MCバトルがバチバチと火花を上げる! 互いのラップスキルと意地とプライドをぶつけ合う白熱したステージは、系人ラッパー・溝上たんぼ☓小学生ラッパー・FCザイロスの対決や、NAIKA MCの参戦など、見どころ満載!!
山人MCバトル☓戦極MCバトル Photo by タマイシンゴ
山人MCバトル☓戦極MCバトル Photo by タマイシンゴ
ここまで飯食う間もなく、会場を駆け回ってライブ観戦していた筆者は、ケータリングで調達した軽食をもぐもぐ食べながらラップバトルを観戦。どこまでも青空が広がり、穏やかな陽が射す妙義ステージは、気持ちいいったらありゃしない! 山人音楽祭の名前にふさわしく、ここから見渡せる山脈も美しく誇らしい。あれはなんて山だろ?とAR山ナビ(スマホアプリ)で写真を撮ったり、黙々と絵を描き続けるライブペインティングを眺めたり。つかの間の穏やかな時間をのほほんと過ごして再び、熱狂の渦に身を投げることにする。
Photo by フジジュン

















