HEY-SMITHから、04 Limited Sazabysと、フェス最強バンドが続く赤城ステージは、まさに熱狂の渦。「どんどん頭おかしくなれよ!」と煽ったHEY-SMITHの猪狩秀平(Gt&Vo)が、ライブ終盤には「お前ら、暴れすぎ!」とツッコむほど、フロアはヒートアップするばかり。2016年の初開催から出演し、5回目の出演となる彼ら。人気や実力、ライブスキルは年々増すばかりだが。それと同時にたくましさややんちゃさ、アグレッシブさも加わっているのが、彼らの凄さ。いまの季節にぴったりな「Summer Breeze」から、G-FREAKに送る友情の証「Don't Worry My Friend」と続き、「Come back my dog」で完膚なきまでに叩きのめすラストの畳み込みは、感動的ですらあった。
日本で一番フェスに出演しているバンドという04 Limited Sazabysは、1曲目「magnet」から巨大サークルを生み出すと「knife」「fiction」と容赦ナシにフロアをブチアゲる。MCでは、「我々、なんと8年ぶりです! 待ったなぁ」と笑顔を見せたGEN(Vo&Ba)が、「ひと回り強くなった、キャリアを積んだだけじゃない姿を見せていきたいと思います!」と力強く宣言。ギラギラに磨き上げた強靭なバンドサウンドと芯のあるハイトーンボーカルで、休む間も与えずフロアをぶっ掻き回す。平和を願い分断を嘆き、「右か左じゃなくて、前に進んで行きましょう」とポジティブなメッセージを送り届けた「Keep going」から「monolith」「Remember」と畳み掛けたラストに、強い意志とたくましさを感じた。
04 Limited Sazabys Photo by HayachiN
超満員の会場に親子連れも大挙して、あらゆる世代のオーディエンスを魅了していたのは、榛名ステージのHump Back。この日、子どもたちが大きくなった時の山人音楽祭を語る出演者が多かったが。「拝啓、少年よ」を歌う姿を真剣な眼差しで観ていた子どもを観て、いまは深く理解出来てないかも知れないけど、熱い想いはきっと伝わってるはずと確信。続いて榛名ステージに登場したのは、16歳の頃にGUNMA ROCK FESTIVALでフェス初体験を果たし、山人音楽祭には2018年から連続出場しているというFOMARE。大シンガロングが起きた「夢から覚めても」で始まったライブは自身に満ち溢れていて、もはや山人音楽祭には欠かせない存在といえる彼ら。群馬や山人への愛を存分に語り、「G-FREAKが教えてくれたことをFOMAREなりに示したい」と力強く告げるアマダシンスケ(Vo&Ba)に、歴史や伝統はこうやって受け継がれていくのだなと頼もしく思い、山人音楽祭の明るい未来が見えた。
結成30年となるバンドの最新型を見せる「charon」で始まると、短いMCから間髪入れずに終盤まで一気に駆け抜ける怒涛の展開。熱く激しく時に優しく、ヒリヒリした緊張感をキープしながら、観客一人ひとりと魂をぶつけ合った、赤城ステージのBRAHMAN。これぞ妥協を許さず、30年戦い続けてきた男たちの強さと凄み。全身全霊のステージに、彼らなりの山人10周年への祝福や激励を感じていると、「最後の少年」では茂木がコーラスで参加。「共通点が多すぎ、似たくねぇんだよ!」と兄弟と呼び合う茂木に悪態を付きながら、自分たちの根っこにある怒りや反骨精神、そして自分自身との約束について熱く語ったTOSHI-LOW(Vo)。「やりたかったことや自分の夢、簡単に捨てるんじゃねぇぞ」とメッセージを送ると、「続けていくための魔法の言葉、全ての苦境に順風満帆」と曲紹介して、渾身の力を込めた「順風満帆」を披露。みんなの熱い気持ちが込められた、ずっしりと重いバトンを大トリのG-FREAK FACTORYに託した。
TOSHI-LOW(BRAHMAN)×茂木洋晃(G-FREAK FACTORY) Photo by HayachiN
そして、榛名ステージの大トリを努めたのは、LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS PLUS。LOW IQ 01(Vo&Ba)、渡邊忍(Gt)、フルカワユタカ(Gt)、山﨑聖之(Dr)という豪華メンバーに加え、「SNOWMAN」ではライブを終えたばかりのTOSHI-LOWも飛び入り! つうか、俺もBRAHMAN終わりで駆けつけたばかりなのに、なんでステージに立ってた人がもういるの!? ライブはオールタイムベストといったセトリに、フロアは大熱狂。「SO EASY」「MAKIN’ MAGIC」と続いた終盤戦、ラストは「Little Giant」で最高潮の盛り上がりを生み、榛名ステージを締めくくる。観れて良かった!
LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS PLUS Photo by 半田安政
LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS PLUS×TOSHI-LOW(BRAHMAN) Photo by 半田安政
「ローカルフェスの最高峰へようこそ」と、最初のMCで告げた茂木洋晃(Vo)。その言葉は自信と誇りに満ちてると同時に、山人に出演した出演者や山人に関わる全ての人々、そして目の前のオーディエンスの想いを全て背負った総大将が腹を決めた瞬間にも見えた。10周年を迎えた山人音楽祭、赤城ステージの大トリとして堂々登場した、G-FREAK FACTORY。「SOMATO」で本格スタートした、この日のライブの歌や演奏に溢れる気迫も凄かったけど。彼らを心から信じて、最高の時間と空間を作ろうと全力でライブを楽しむ観客の気持ちももの凄くて。「Too oLD To KNow」の大合唱に、ローカルフェスの最高峰を断言する山人音楽祭は、互いの強い信頼関係の上で成り立ってるのだと改めて思った。
G-FREAK FACTORY Photo by HayachiN
「来年もやる責任があるって、そう思った」と来年の山人開催を約束した茂木は、「俺たちはこうやって距離を縮めて信じ合うことが出来てる」と確認するように告げて。「俺のじゃない、俺たちの歌だ」と、渾身の歌と演奏で「ダディ・ダーリン」を披露。曲中に登場した、山高帽をかぶったTOSHI-LOWと歌声を重ねて、会場中の心がひとつになる最高の景色を生み出すと、本編ラストとなる「FIRE」を気持ちいっぱいに熱唱し、「みんなに点いた火を消さず、忘れずにまた会おう」と約束。アンコールは、妙義ステージのライブペインティングで描き上げたアート作品をステージに飾り、入場口に飾られていただるまに目を入れてと2日間の集大成的な儀式から、「らしくあれど」で大団円。
茂木洋晃(G-FREAK FACTORY)×TOSHI-LOW (BRAHMAN) Photo by HayachiN
年に一度、聖地に集って、自分の中にある音楽愛や郷土愛、メラメラと燃えたぎる炎を再確認して。また明日から始まる日常を頑張る気力を蓄えて、時々ライブハウスで気力を足しながら、再び訪れる約束の日を心待ちにする。山人音楽祭が10年目以降も必ず開催されるなんて誰も約束出来ないけれど。この2日間の経験や思い出、10年目以降の山人への期待や心待ちにする気持ちが日々の心の支えになるならば、本当に素晴らしいと思う。来年もまたみんなで聖地で笑顔で会えるように、平和な世の中を作っていけたらと心から思う。














