胸を熱くしたまま向かった妙義ステージでは、能登半島応援企画『MAKE A PROMISE TO NOTO』がスタート。まずは石川県金沢市出身のバカビリーとナビゲーターの高橋ちえが、能登半島の現状や災害への意識を語るトークを展開。2024年1月1日に能登半島地震が発生し、被災地には中に入るとお正月のままの家もあるという衝撃的な現状も語りつつ。防災士でもあるバカビリーが、「いつ災害が起きてもおかしくない、身近に災害が起きた時には助け合おう」という当たり前だけど、本当に大事なメッセージを届ける。続いてTokyo Tanaka(MAN WITH A MISSION)が登場し、アコギの演奏でMAN WITH A MISSON「whispers of the fake」、SUPER BUTTER DOG「サヨナラCOLOR」といった楽曲を披露。たっぷり気持ちのこもった歌声で能登への想いを届けた。
MAKE A PROMISE TO NOTO Photo by タマイシンゴ
続いては、木更津の伝説のヤンキーが、ついに山人音楽祭に見参! 赤城ステージにバイクで乗り付けた綾小路 翔(Vo)がエンジン音とドラムのビートで奏でる「Axel Call」でビビらせると、OPナンバー「喧嘩上等」で会場中のハートを射抜く。千葉を代表する音楽フェス『氣志團万博』の総大将である氣志團は熱く激しくパワフルに、硬派にキュートにダンサブルにと緩急付けたセットリストで山人たちの心を鷲掴む。MCでは1997年結成のタメ年であり、同じ時代を共に戦い抜いてきたG-FREAK FACTORYへの敬意と称賛、そして共に迎える30周年への期待を語り、男同士の友情を歌った「友よ」を熱唱。スタンド席で見ていたのだが、ライブ終盤の「One Night Carnival」で観た、右で子どもたち、左でおばあちゃんが笑顔で振り付けを合わせるという幸福すぎる光景に、あらゆる世代をトリコにしてしまう氣志團の凄まじさを見せつけられた。
夕刻を迎えて涼しい風が吹き始めた頃、妙義ステージのトリを飾ったのは、怪我で直前キャンセルとなってしまった昨年のリベンジを果たすべく、バンドを従えて山人にやってきた高木ブー。車椅子での出演となったが、「マウナロア」でウクレレを奏でて歌う声は元気はつらつでひと安心。ハワイアンだけでなく、ラテンナンバー「キサス・キサス・キサス」や、ブーが色気と哀愁のある歌声で聴かせた松山千春「恋」など、馴染みのある楽曲でオーディエンスを楽しませた。終演後は「今度は昭和特集でもやろうかな?」と再び山人音楽祭に出演する意欲を語り、「いま92歳、100歳まで頑張りますんで」と力強く語ると、観客の歓声と温かい拍手を受けてにっこり笑った。
榛名ステージも残すところ2組。トリ前に登場したlocofrankは「派手に行こうぜ!」と木下正行(Vo&Ba)が告げて「START」でライブが始まるや、観客が右往左往に飛び交うカオス状態。激しい演奏に映えるグッドメロディ、ライブスキルの高さと圧倒的求心力で容赦ナシの盛り上がりを生むと、ライブ終盤の「Reborn」の大合唱で強烈な一体感を生む。そして、初日を締めくくる重要な役割となったHAWAIIAN6は会場を訪れたライブ中盤、フロアの熱気はライブハウスそのもの。「Brand New Dawn」でぐっちゃぐちゃになったと思えば、「RAINBOW, RAINBOW」で巨大なサークルが生まれて。ライブハウスの魔術師に翻弄された観客が心燃やすフロアは、幸福感と高揚感で満ち溢れていた。「確実に生きてるいま、目いっぱい燃えようぜ。終わらない青春の歌!」と始まった「ETERNAL WISH, TWINKLE STAR」~「PROMISE」と続くラストで完全燃焼した観客の汗まみれの顔は実に清々しく、まさに青春真っ只中といった表情だった。ライブハウス仕様の榛名ステージの存在意義が十分伝わった2組のライブは、山人音楽祭に決して欠かすことの出来ない重要な側面を担う、象徴的なライブ。どっちもホント、素晴らしかった!
赤城ステージもクライマックス。超満員のアリーナとスタンドの観客が見守る中、堂々とステージに登場した10-FEET。「第ゼロ感」「RIVER」にスタンド席の奥の奥まで含むオーディエンスが歌声を重ねる、大会場ならではの一体感を生み、もはや貫禄さえ感じるステージで圧倒! MCでは盟友である茂木ファクトリー(茂木洋晃)に言われた、「俺が絶対、助けてやるからな」という言葉が本当に嬉しかったとエピソードを語り、「この後のG-FREAK FACTORYのライブでひとり残らず、全員その気持ちにしてくれるから楽しみにしてや」と期待を煽ったTAKUMA(Vo&Gt)。「アンテナラスト」では茂木が登場し、互いの絆や想いや厚い信頼を歌で確認しあう。山人音楽祭には前身フェスである、GUNMA ROCK FESTIVAL時代からほぼ皆勤で出演している10-FEET。この2人の関係性は特別だが、山人音楽祭がこういった信頼のもとに成り立ってるフェスなのだということを再確認。そして、ここまで出演した出演者の想いや信頼が染み込んだバトンは、初日の大トリを務めるG-FREAK FACTORYへと渡される。
10-FEET×茂木洋晃(G-FREAK FACTORY) Photo by HayachiN
「山人音楽祭、G-FREAK FACTORY始めます」と茂木が告げ、「YAMA」の精魂込めた歌と演奏で始まった初日大トリのステージ。山人10年の歴史は決して順風満帆でなかったし、主催者であるG-FREAKが背負ってきたものや立ち向かってきた困難は想像を絶するものだったろう。しかし今年もまたこうして彼らはステージに立ち、そこには彼らを待つたくさんの観客がいる。そんな観客に届けた、「気付いたら10年もこんなイカれたことをやってます。付き合ってくれてありがとうございます」という茂木の言葉は、ずっしり重みを感じたし。「アメイロ」「Too oLD To KNoW」「ダディ・ダーリン」と続いた中盤戦、誰にも出来ないイカれたことを10年やり続けたバンドが命がけで届ける歌やサウンド、込めたメッセージはいつもより深く強く響いて、その想いに拳や歌声を上げて全力で応える観客の姿を見ていたら、なんだか泣けて仕方なかった。
G-FREAK FACTORY Photo by HayachiN
「どうか来年まで平和で。またここで会えたらいいね」と茂木が願うように告げ、「この曲で始まりました」と披露した本編ラストは「EVEN」。一人ひとりに寄り添うように丁寧に届けたこの曲に、いまここで最高の音楽やそこに込めた気持ちを分かち合えていることは決して当たり前じゃなくて、実に尊いことなのだというのを再確認。温かくとても充実した気持ちで、本編が幕を閉じた。そしてアンコール、また明日へと足を踏み出す勇気をくれた「GOOD OLD SHINY DAY」を歌い終えた茂木がこの日の出演者をステージに呼び込むと、雷さまスタイルの出演者たちに囲まれて高木ブーが登場! 「いい湯だな」を全員で大合唱して、大団円で初日が終演。「ダメだこりゃ、明日行ってみよう!」とNAIKA MCが締めくくり、山人音楽祭はDAY2へとバトンを繋いだ。















