いれいす Summer Tour 2024 Irregular Vacation -lsland
2024年8月28日(水)ぴあアリーナMM
今ツアーのテーマは”大冒険”。ステージには海賊船と島、宝箱を模したセットが組まれる。オープニングムービーで“いれいす海賊団”の航海が幕を開けると、「SPLASH BEAT!!」のイントロに乗せてメンバーがステージに登場。6人のはつらつとした歌声は、追加販売席まで埋まった完全ソールドアウトの会場を、たちまち明るくハッピーに包み込んだ。自己紹介曲「推せるいれいすお飼い得!」、学校コント風のアッパーソング「学級崩壊☆ですとろいやー」とハイテンションな楽曲を立て続けに披露すると、MCタイムでメンバーはステージの中央にたたずむ宝箱に言及する。中身が気になるが、どうやら鍵が見当たらないらしい。悠佑は観客に「一緒に鍵を探してくれるってことでいい?」と呼び掛け、観客も大きな歓声で思いに応えた。
海賊船仕様のトロッコに乗ってアリーナエリアを周回しながらコール&レスポンス曲「言いたいことがあるんだよーーー!!」、ポップなラブソング「愛を唄う」、情熱的なロックバラード「世界はそれでも進んでいく」とタイプの違う楽曲を歌唱すると、サポートバンドのインスト演奏を挟み、ダーク&クールな面を見せるセクションへ。「百鬼夜行」「Paparazzi」「Clutch」と挑発的かつ色気のあるパフォーマンスを見せ、りうらが作詞作曲を担当した「ONE」で鋭く熱い歌声を響かせる。火の玉の噴き出る演出を超えるほどのパワーでライブ前編を締めくくった。
幕間映像の笑ってはいけない脱出ゲーム『イレギュラーサバイバー』の後、ライブの中編はソロセクションとユニットセクションが展開された。ソロの1番手は悠佑。威勢よく煽りながら「自由争奪戦」で歌詞に書かれたメッセージと生き様を凛々しく示し、初兎はユーモアと仄暗さを持ち合わせる自身のキャラクターを活かした「Xos」で会場を沸かす。Ifが「Take a risk」で大人の魅力を歌とダンスで存分に醸したかと思えば、ないこは観客を颯爽とエスコートするように「超第六感」をスマートに歌い上げ、-hotoke-はテクノポップナンバー「Twinkle Starlight」でキュート&パワフルなダンスボーカルスタイルを見せた。トリを飾るのはりうら。ハードなデジタルロック「Tier-1-」で自身の強さを前面に出した、堂々たるパフォーマンスで魅了した。
ユニットセクションではまず白黒組ペア、通称“ゆうしょう”コンビの初兎と悠佑が登場し、MCでは初兎が悠佑へのリスペクトをまっすぐ言葉にすると熱い抱擁を交わす。そしてふたりで作詞をした「Equal」のラストサビでは肩を組み、力強くメッセージを届けた。青組ペアの-hotoke-とIfは軽快なフリートークやファンサービスなど自由に振る舞うと、「Drowned Mermaid」で深海を漂う様子をシンメトリーのダンスで表現し、曲の世界観へ引き込む。最後に登場した赤組ペアのりうらとないこは、他ペアのトークの内容が“愛”であるとまとめ、りうらから両親へメッセージを贈ったり、りうらがないこのお姫様抱っこのリベンジを果たすなどして会場を盛り上げた後、「ANTI HERO」でしなやかな歌声を響かせた。3組ともタイプは違えども観客を引っ張っていくような気概に溢れ、メンバー一人ひとりの持つ強度が上がっていることが感じ取れた。
幕間映像の後編で、6人はめでたく宝箱の鍵を手に入れる。火の玉を合図にライブは後編へ。「逆境STORY」では客席からもシンガロングが起き、「恋星エトワール」ではきらめきに満ちた歌声とダンスで観客をときめかせる。その後は「自分らしさ」「のんすとっぷ!L♡VEサマー」「よっ!夏大将!LOVE紫外線」と3曲をたたみかけ、灼熱の夏の太陽以上のエネルギッシュなステージで会場を大いに盛り上げた。
グループの信念が込められた「Promise」で晴れやかにアンコールをスタートさせた後、6人はとうとう宝箱に鍵を挿す。だが開きそうな兆しがあるもののどうにもこうにも開かず、「この鍵はただの飾りだ!」とメンバーもさじを投げてしまった。そして悠佑が「最後にこれだけは言わせてほしい。いれいすには7人目のメンバーがいます。それはお前ら! ずっと変わらず永遠に、7人目のメンバーは皆さんなので、よろしくお願いします」と告げ、6人がトロッコに乗り込んで“いれりす”へのメッセージソング「Seventh!」を丁寧に届ける。最後にこのライブのテーマソングである「いれいす海賊団の冒険譚-出航の巻-」を歌い、この先も夢に向かっていく姿を強く印象づけた。
メンバーが去るものの、暗くなったステージの中央で宝箱は光ったまま。すると急に宝箱の鍵が開く音がし、ステージのモニターには「超重大発表」の文字が映し出される。その内容とは、2024年11月30日(土)・12月1日(日)にいれいす初のドーム公演「いれいす One Man Live in ベルーナドーム「The Progress of Dice」」の開催が決定したというもの。さらにセットリストのうち各日10曲はリスナー投票で選ぶとのことで、初日は“Memory”と題して昔の思い出を詰め込み、最終日は“Future”と題し最新の楽曲を届ける旨もアナウンスされる。東京ドーム公演を目標に掲げる彼らの第一歩に、観客もこの日いちばんの歓声を送った。
メンバーを代表してリーダーのないこは、無名だった自分たちがセルフでグループを運営するなかで仲間が少しずつ増え、目標に掲げた日本武道館でのワンマンライブを結成から3年で達成できたこと、次の目標が自然と東京ドームになったことに触れる。「東京ドームを3年以内に埋めるというのは、正直僕らも無謀なんじゃないかと思いながら描いた夢でもありました。でもこの全国ツアー6会場9公演で、メンバー一同確信しました。(ファンも含めた)俺たち全員で東京ドーム、絶対行けます! その東京ドームに向かう第1歩が次のベルーナドーム公演です」「ゼロから始まった6人でベルーナドームを埋められるか正直わからない。でも俺たち全員の力があれば絶対に成し遂げられると思っています。今までもそうでした。これからもそうです。僕らは7人目のメンバーとともに歩み続けます」とまっすぐなまなざしで語ると、会場からは大きな拍手が起こった。
ベルーナドーム公演の発表ももちろんだが、ここで思い出されるのが、今回のツアーで先行公開された特別映像での6人のトークの内容だ。「夏は毎年いれいすが大きくなるタイミング」「来年の夏もすごいことをやる」という発言があったとおり、もう彼らはベルーナドームの先を見据えている。来年の夏を今年以上に盛大にするためにも、彼らとしてはなんとしてでもベルーナドームを成功に収めたいに違いない。日本武道館とキャリア史上最大規模のツアー、2枚のオリジナルアルバムのリリースと2024年を駆け抜けるいれいすが、年末にドームという広大な場でどんなステージを繰り広げ、7人目のメンバーとどんな情景を描くのか。当日はこれまでに見たことがない、さらにスケールを増したいれいすが見られそうだ。
SET LIST
01. SPLASH BEAT!!
02. 推せるいれいすお飼い得!
03. 学級崩壊☆ですとろいやー
04. 言いたいことがあるんだよーーー!!
05. 愛を唄う
06. 世界はそれでも進んでいく
07. 百鬼夜行
08. Paparazzi
09. Clutch
10. ONE
11. 自由争奪戦(悠佑ソロ)
12. Xos(初兎ソロ)
13. Take a risk(Ifソロ)
14. 超第六感(ないこソロ)
15. Twinkle Starlight(-hotoke-ソロ)
16. Tier-1-(りうらソロ)
17. Equal(白黒組ペア)
18. Drowned Mermaid(青組ペア)
19. ANTI HERO(赤組ペア)
20. 逆境STORY
21. 恋星エトワール
22. 自分らしさ
23. のんすとっぷ!L♡VEサマー
24. よっ!夏大将!LOVE紫外線
ENCORE
01. Promise
02. Seventh!
03. いれいす海賊団の冒険譚-出航の巻-