タイトな革パンに赤いバラ模様のジャケット。衣装も新たに、クライマックスへ向かう合図は90年代半ばの大ヒット3曲だ。アニメ「名探偵コナン」初代エンディングテーマ「STEP BY STEP」でZIGGYを知ったファンもいるだろう。「君をのせて」「Jealousy〜ジェラシー〜」のタイアップヒットで、ZIGGYにハマった人も多いだろう。歌謡曲とロック、ラテンとスウィングを掛け合わせたような、色気あふれるヒット曲たち。30年近く経った今もその妖しい輝きは色褪せない。「当然、まだみんな生まれてなかったね」と森重が笑う。知らないふりでみんな笑う。確かに、年を食うのは素晴らしいことだと思う。
そしてフィナーレへ突入するかと思われた時、とっておきのサプライズにフロアが沸いた。「EASTSIDE WESTSIDE」を歌い終えた森重が、熱烈なZIGGYファンとして知られる俳優・武田真治を呼び込む。サックスを持ってふらりと遊びに来た武田を、森重がステージに誘ったらしい。単なるZIGGYキッズに戻った、緊張マックスの武田に温かい声援が飛ぶ。フロアが揺れるほどの声援の中、「GLORIA」の熱狂が火に油を注ぐ。学生時代にZIGGYのコピーをしていたという、武田のサックスとコーラスには情熱と愛がある。名曲はこうして、次の世代へと受け渡されてゆく。ラストソング「WONDERFUL FEELING」を歌い終えたあとも、余韻が収まらない。バンドがステージを去っても、アンコールの声が鳴りやまない。
「生きられる時間があるなら、精一杯生きたいじゃないか。音楽をやることが、細々とでも華やかでも何でもいいんだ。作れるものは作る。これからもやります。よろしく」
ざっくばらんに、さらりと言うからこそ説得力が増す。「こういう曲を書かせたら俺の右に出る奴はいない」と、自画自賛の新曲「お前のいない世界に意味など無い」の、豪快なエイトビートとキャッチーなメロディが一発で胸に残る。カトウタロウの渾身のギターソロに聴き惚れる。グラマラスな魅力たっぷりのロックンロール「また雨が降り出したみたいだ」の、一丸となってロールするバンドサウンドに引きこまれる。ZIGGYのロックにはロールがちゃんとある。
そして、最後にまたもとっておきのサプライズ。バースデーケーキを持った武田真治が再登場、「ハッピー・バースデー」の合唱と、観客をバックに記念撮影という、過去のバースデーライブではなかったシーンも実現した。素晴らしい夜を締めくくるラストナンバー「I’M GETTING’ BLUE」を演奏する5人、いや6人、いや観客をすべて入れた数百人。一体感という言葉が、これほど似合う瞬間はないと思う一体感。
「サンキュー、また会いましょう。とても楽しかった。ありがとう」
10月23日、ニューアルバム『For Prayers』リリース。10月30日、全17公演のリリースツアー『ZIGGY TOUR 2024「For Prayers」』キックオフ。ならず者たちの悪ふざけはまだまだ続く。2024年、ZIGGY 40周年のクライマックスはこれからだ。
SET LIST
01.I’M JUST A ROCK'N ROLLER
02.BOOGIE WOOGIE TRAIN
03.今夜LOVE SONGを
04.崖っぷちの夜でさえ
05.CELEBRATION DAY
06.それゆけ! R&R BAND
07.I CAN'T STOP DANCIN'
08.HAPPY GO LUCKY
09.月明かりの下で
10.この空の下のどこかに
11.HEAVEN AND HELL
12.7th direction
13.swanky☆boyz & punky☆girlz
14.STEP BY STEP
15.君をのせて
16.Jealousy ~ジェラシー~
17.EASTSIDE WESTSIDE
18.GLORIA(with 武田真治)
19.WONDERFUL FEELING
ENCORE
01.お前のいない世界に意味など無い(新曲)
02.また雨が降り出したみたいだ
03.I’M GETTIN' BLUE(with 武田真治)