堂珍嘉邦、新曲も披露した日本橋三井ホールワンマンライブ、初日をレポート

ライブレポート | 2023.11.30 18:00

LIVE 2023 “Now What Can I see ? ~Drunk Garden~”
2023年11月18日(土)19日(日)日本橋三井ホール
※ライブレポートは18日に実施

 2023年11月18日(土)19日(日)に、日本橋三井ホールにて、堂珍嘉邦が『LIVE 2023 “Now What Can I see ? ~Drunk Garden~” 』を行った。この時期にこの場所で、堂珍がワンマンを行うのは、1年ぶり・4回目。1年前の公演は(レポはこちら)、2CD+Blu-rayという形で作品化され、11月17日にリリースになったばかりである。
 以下、その初日=18日(土)の模様のレポをお届けする。

 バンドは、Dr.kyOn(Keyboards,Backing Vocal)、木暮晋也(Guitar,Backing Vocal)、真城めぐみ(Backing Vocal,Percussion)、砂山淳一(Bass)、山下あすか(Percussion,Backing Vocal)、という昨年と同じ5人に、サックス/フルートでゴセッキーこと後関好宏が加わった6人編成。彼は今年4月6日&11日の、ビルボード横浜からの参加である。
 菊地成孔のDC/PRGや、在日ファンクや、WUJA BIN BIN等、数々のバンドやセッションで活躍してきたゴセッキーのプレイによって、当然、バンドの音は変わったが、それだけに留まらない。
 アコーディオンを含む多彩なアプローチでサウンドを豊かにしていく、バンマスDr.kyOn。シンセベースやコントラバス(弓で弾くこともある)もプレイする砂山淳一。パーカッションとドラムを織り交ぜる山下あすか。といったメンバーたちの演奏で、サウンド・プロダクトが全体にオーガニックな方向にシフトしていきつつある、そんなふうに感じられた。堂珍のボーカルも、どの曲においてもエフェクト等の加工は最小限で、まっすぐに、美しく、こちらに届いてくる。
 1曲目の「Reload」の最後に、Dr.kyOnの奏でる鍵盤の音が長く尾を引いてから消えた、その瞬間、堂珍の弾くリフから次の「Damaged Cupid」が始まる。というふうに、堂珍自身のエレキギター/アコースティック・ギターが、曲のポイントになる瞬間が何度もあったのにも、耳を惹きつけられた。

 本編13曲・アンコール2曲の、計15曲のセットリストのうち、1年前のここでも演奏されたのは、7曲。
 レゲエ・アレンジされたCHEMISTRYの「BACK TOGETHER AGAIN」と並んだことで、バック・ビート感がより心地よく強調された「いかれたBABY」(フィッシュマンズ)。「永久にずっとやりたいなというぐらい好きな曲」という紹介から歌われた「CHEEKY」(Spiral Life)。本編ラストに演奏され、日本橋三井ホールにハンドクラップの音を響かせた「SPARKLE」(山下達郎)の3曲が、去年も今年もプレイされたカバー曲である。
余談だが、ギターの木暮晋也は、1990年代も現在も、フィッシュマンズのサポートメンバーなので、「いかれたBABY」は、ある意味、本家と一緒にやっている、ということになる。
 「CHEEKY」は、Dr.kyOnのアコーディオンとゴセッキーのフルートと真城めぐみのコーラスと堂珍の歌、その4つが混じって響き合うさまが、見事だった。
 堂珍が「最後の曲、聴いてくださいね」と告げると、オーディエンスから「えー!?」と抗議の声が挙がる。それに対して絶妙のタイミングで「一応最後の曲ね」と返してから「SPARKLE」に入ったのには、見事すぎて笑った。0コンマ何秒ズレてもダメ、くらいの絶妙さだったので。
 また、真城めぐみとデュエットする「星たちの距離」(オリジナルはCHEMISTRYのファースト・アルバムでケイコ・リーとデュエット)は、去年は客前で歌ったのが初だったので、真城めぐみが「なかなかね、緊迫しますね」などと言っていたが、今年はスッと自然に曲に入り、美しいハーモニーを聴かせた。

 そして。それ以外の6曲が、今年新たに披露された。
1曲目に配置された、ファースト・ソロアルバム『OUT THE BOX』(2013年)からの「Reload」。前述の、レゲエ・アレンジされた「BACK TOGETHER AGAIN」。「『改めてスポットライトを当ててみようコーナー』でございます。気がついたら(CHEMISTRYでは)ずいぶんやってないなと。こっちでやっちゃえと」という前置きから歌われた「雨上がりの虹のように」。ビルボード横浜でも歌われたSPANOVAのカバー「魂は木の葉のように」などが、そうである。
 特筆すべきは、まっさらな新曲を1曲、初公開したこと。「こうやってライブから発信して、もっともっとなじんできたら、レコーディングして……みたいな感じでいます。タイトル言っとこうかな。「BETWEEN SLEEP AND AWAKE」、聴いてください」と、演奏されたその曲は、4つ打ちにメロウなメロディが乗り、ゴセッキーのサックスが響く、軽やかなダンス・チューン。すばらしい。「なじんできたら」とか言ってないで、さっさと録ってほしい。
 なお、終演後に制作スタッフにきいたところ、1990年代後半から活動を続ける関西在住のトラックメーカー、speedometer.こと髙山純に依頼した曲だそうである。
 マジか。インタビューしたことあります、私、25年くらい前に。でも、こんな曲も書ける人だとは、知らなかった。
 堂珍嘉邦の新しい方向性を示している曲なのかもしれない。というか、この日のライブ全体が、そういうものだった、という気もするが。1年前のここでのライブがソロ10年間の集大成で、今回が新しいスタート、という。

 それから。前日の11月17日が、堂珍の誕生日だったので、それに関するMCも、何度かはさまれた。「45歳になってから初めてのライブなんですけど、お祝いのコメントをたくさんいただいて、ずっと幸せな気持ちに包まれながら今日を過ごしています」と、お礼を言ったり。
 アンコールのMCでは、こんな話も出た。曰く、林家ペー氏は毎日「今日は××の誕生日、おめでとうございます」とポストするのを日課にしている。11月17日に、自分もポストされていて、意外だった。でも名前が間違っていて、「堂珍嘉郎」になっていた──。
オーディエンス、大笑い&拍手。以降、「嘉郎、いっちゃうよ?」などと言いながら、「Euphoria」と大胆にリアレンジされた「She Knows Why」の2曲を、オーディエンスにプレゼントした堂珍であった。
 なお、「She Knows Why」は、CHEMISTRY名義で2012年1月にリリースした、CHEMISTRY・川畑要・堂珍嘉邦の曲を5曲ずつ収録したアルバムの曲。つまり、正式にソロデビューするよりも前に作った、もっとも初期の曲で、この日のライブを締めた、ということである。

 今回のこの『LIVE 2023 “Now What Can I see? ~Drunk Garden ”』日本橋三井ホール2デイズとセットで、『LIVE 2023 “Now What Can I see? ~Holly Garden ”』2デイズも行われる。12月15日(金)16日(土)、会場は有楽町I’M A SHOW。ストリングスのメンバーが加わった、特別編成での開催となる。

SET LIST ※11月18日(土)公演

01. Reload
02. Damaged Cupid
03. BACK TOGETHER AGAIN(CHEMISTRY Cover)
04. いかれたBABY(フィッシュマンズ Cover)
05. 雨上がりの虹のように(CHEMISTRY Cover)
06. CHEEKY(Spiral Life Cover)
07. My Angel
08. 星たちの距離(w/真城めぐみ)
09. BETWEEN SLEEP AND AWAKE(新曲)
10. 魂は木の葉のように(SPANOVA Cover)
11. ALL MY LOVE
12. 悲しみシャワー
13. SPARKLE(山下達郎 Cover)

Encore
En1. Euphoria
En2. She Knows Why

公演情報

DISK GARAGE公演

堂珍嘉邦 LIVE 2023 “Now What Can I see ? ”
~Holy Garden~

2023年12月15日(金)16日(土) I’M A SHOW

【出演】
堂珍嘉邦(Vocal, Guitar)

【Band】 
Dr.kyOn(Keyboards, Backing Vocal)
木暮晋也(Guitars, Backing Vocal)
真城めぐみ(Backing Vocal, Percussion)
砂山淳一(Bass, Backing Vocal)
山下あすか(Percussion, Backing Vocal)
谷崎舞(Violin)
大浦萌(Cello)
吉良 都(Strings Arrangement)

INFO

“Now What Can I see ? ~Drunk Garden~”
11月19日(日)日本橋三井ホール公演が、エムオン!にて独占放送!

【番組名】
M-ON! LIVE 堂珍嘉邦「堂珍嘉邦 LIVE 2023 “Now What Can I see ? ~Drunk Garden~”」

 

【放送日時】
[再放送]2023月12月19日(火)23:30~25:00

 

詳細

  • 兵庫慎司

    取材・文

    兵庫慎司

    • ツイッター
  • 撮影

    冨田味我・瀬谷壮士

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