新しい学校のリーダーズ 初アリーナワンマン。「オトナブルー」で大ブレイク中の彼女たちが魅せるエンタメ要素満載のライブ

ライブレポート | 2023.11.20 13:00

新しい学校のリーダーズ初アリーナワンマン2023「HAMIDASHITEIKU」
2023年10月29日(日) 東京体育館

新しい学校のリーダーズが10月29日(日)に東京体育館にて、初のアリーナワンマンライブ「HAMIDASHITEIKU」を行った。

2015年の結成当時は3人が中学生、1人が高校生だった新しい学校のリーダーズ。等身大の姿を見せるために膝下の長いセーラー服とリーダーを表す腕章と上履きを身につけ、劇団調の前衛的なパフォーマンスを見せてきた彼女たちは、「日本でも無名のまま」で海外へとはみ出し、2021年にはアメリカのレーベル「88rising」から世界デビュー。凱旋帰国となった2023年には、3年前に配信シングルとしてリリースした「オトナブルー」の首振りダンスがTikTokで突如バズを巻き起こし、現在はTikTokの関連動画の再生回数が33億回を突破。2023年現在、間違いなく大ブレイク中の彼女たちは、約8000人の観客の熱狂的な歓声を受けながら、今や自他共に認める<青春日本代表>としての生き様と魅力をまざまざと見せつけた。ステージ上に設置された3階建ての校舎の屋上に4人が登場し、旗を思い切り左右に振ると、スクリーンには<青春日本代表>の文字が映し出された。オープニングを飾ったのは、生田斗真主演のドラマ「警部補ダイマジン」の主題歌「マ人間」。ボカロPのjon-YAKITORYが提供したミクスチャーロックの最初のフレーズをSUZUKAが歌い上げると、いきなり大音量の音玉が鳴り響いた。MIZYU、RIN、KANONの3人が美しいブリッジから立ち上がり、十字になったSUZUKAを持ち上げるハイテンションのロックチューン「最終人類」では、馬跳びやスピンなどダイナミックな動きで熱量に満ちたパフォーマンスを繰り広げると、満員の場内からは盛大なクラップが湧き上がった。

最初のMCでは、9年前の結成当初からやっている「はみ出していく〜」という彼女たちの恒例の挨拶とポーズを観客全員で行って一体感を生み出すと、このキャッチフレーズについて、リーダーのMIZYUが「ルールを守った上で自分の個性を大切にし、力強く、そして、自由に楽しむことです!」と解説。SUZUKAが「みなさん、最後まではみ出す準備できてますか?」と呼びかけたあと、歌謡とドラムンベースを融合した「恋文」へ。RINのマリオネットのようなソロダンスに歓声が上がり、「Suki Lie」ではメンバーが一人ずつ歌い継ぐことによってサイケデリックな花占いを表現。先生との禁断の恋をテーマにした「Giri Giri」では、ジャージに制服のスカート姿の9人のダンサーが加わり、メインステージから花道を通り、センターステージへと移動。それは、学校の教室から廊下を通って別の教室へと移動するかのようで、<変態!ちょっとどこ見てんのよ>というフレーズに合わせて、KANONがSUZUKAのスカートをめくろうとするなど、意味のあるフリが随所に盛り込まれており、一瞬たりとも見逃せない構成となっていた。

続くブロックでは、シャンデリアと煌めくビーズで作られた4つの柱が現れ、昭和歌謡コーナーへと突入。バーレスク風の映像をバックに、山本リンダ「どうにもとまらない」をカバーしたあと、ステージ上に設置されていた電話ボックスが鳴り始め、電話をとったSUZUKAが狙われていることが判明。「狙いうち」では火花が上がる中で、スナイパーを返り討ちにし、観客を沸かせた。ここで、SUZUKAが「天才的なピアニスト。鼻が青いです。青春の色です」と紹介し、スペシャルゲストとして、2017年にメジャーデビューした際にフルプロデュースを手がけたH ZETT Mが呼び込まれた。H ZETTRIOとのコラボ曲で恋の裏切りをテーマにした歌謡ジャズ「恋の遮断機」ではマイクスタンドを使って、軽やかなステップを踏みつつ歌唱。MIZYUが作詞したシティポップ「zzz」では音楽室で奏でるH ZETT Mのソロを聴きながら、RINとKANONは屋上で気持ちよくうたた寝。SUZUKAが「先生! 告白したら犯罪ですか?」と問いかけた「恋ゲバ」では、SUZUKAがKANONの頭を掴んでお腹にパンチするなどドラマチックな展開を見せた。思い出話や彼女たちのブレイクに対する感想などのMCはなかったが、ジャンルや固定概念から「はみ出していく」という姿勢で共通しているというシンパシーを感じることができた4年ぶりの共演だった。

SUZUKAの「ここからは楽しいことが起きちゃうかもしれないね。妖しい世界を楽しんでいってね」という言葉からは、新しい学校のリーダーズではなく、「Pineapple Kryptonite」のMVに登場していたアメリカンファミリーによるパフォーマンスが続いた。場内にはUFOが現れ、地球を征服するために極悪宇宙人が到着。「地球でいちばんイケてる姿になってイタズラする」と宣言し、ニセ新しい学校のリーダーズへと変身。一方のアメリカンファミリーは長男のシェルダン(SUZUKA)が「Happy Hormones」で手を挙げて左右に大きく振って観客を揺らし、パパのロン(RIN)はH・O・R・M・O・Nの人文字を披露し、「俺ら幸せ」とピースを掲げ、家族全員で満面の笑顔を見せた。さらに「CANDY」で手をグーパーさせながら観客全員のジャンプを誘発して、テンションを上げると、「Fantastico」では、ついに姿を見せた偽物の新しい学校のリーダーズとリンボーダンスで対決。MIZYUの三点倒立が飛び出す「Pineapple Kryptonite」では、ファイヤーボールが立ち上がる中で壮絶なバトルシーンが繰り広げられ、SUZUKAの強烈なパンチによって勝利を獲得。UFOが逃げていく中で、パンキッシュなロックンロール「Free Your Mind」ではSUZUKAが曲中で3人のコーラスの上で「みんなの解き放つ姿が大好きです。みんな、自由だ〜!」と叫び、文字通り観客一人一人の心を思い切り開放してみせた。

そして、スクリーンに2019年10月にShibuya WWWで「オトナブルー」を初披露した際の映像からサンフランシスコやロサンゼルスでのライブ映像が流されたあとで「オトナブルー」が披露されると、客席からはこの日、最大の拍手と歓声が沸き起こった。SUZUKAの腰の入った「ハッ!」というシャウトや首振りダンスで会場の熱量が沸点まで到達する中で、SUZUKAは「我々にとって、私たちの可能性を広げてくれた救世主。希望とチャンスを与えてくれた曲です」と楽曲に対して感謝の気持ちを伝えると、「NAINAINAI」のリミックスが流れている間に移動し、なんと2階の客席に登場。観客の近くで「愛してるぜ!」と伝えたメンバーは「Pineapple Kryptonite」のリミックスではセンターステージで学ランの衣装でダンスで魅せると、SUZUKAの「跳ベー!」という言葉を合図に観客全員が一体となってジャンプし、客席のボルテージが加速。ここで、メインステージの校舎の屋上にゲストとして<我武者羅応援団>が現れ、「青春は過去のことではない、今だ! 今を全力で生きていれば、それが青春!」というメッセージを口上で伝えると、学ランの背中に刺繍された“青春日本代表”という文字を観客の目にしっかりと焼きつけたメンバーが「踊る本能001」で拳を突き上げ、ライブはいよいよクライマックスへ。松隈ケンタプロデュースの「青春を切り裂く衝動」ではキレキレのオタ芸と激しいヘドバンを繰り広げ、SUZUKAは上履きを脱いで投げつけて熱狂の渦を巻き起こすと、最後は<夢はあるか?>という問いかけに導かれた最新曲「Tokyo Calling」を地球防衛軍のような衣装でアジテーションのようなラップとパワフルな歌声を披露。ステージには工事現場で働く人や医療従事者、コックやパン屋さんなど、街で生きる人々が現れ、彼/彼女らが担ぐ神輿に乗ったメンバーと観客全員による<WOWWOW>という大合唱が沸き起こる中で、SUZUKAは「東京から日本、世界へ。我々のパワーを伝えようぜ。お前らも青春日本代表なんだぞ。世界よ、東京なめんなよ!」と全力でシャウト。「世界へ、青春日本代表を力強く、逞しく伝え続けます」という宣言。「みんなも青春日本代表の一員として、これからもついてきてくれますか?」と呼びかけ、「これからも私たちは、大切な仲間たちと一緒に、個性や自由で、はみ出していくー!!」という叫びとともに感動を誘い、初のアリーナライブ本編を締めくくった。

制服から赤いジャージに着替えたアンコールではトランシーな「オトナブルー」のリミックスで盛り上げ、「ケセラセラ」では観客が手を左右に振って心地よい一体感を生み出すと、SUZUKAは曲中に「ありのままに生きてますか。ありのままの自分を愛してください」というメッセージを届けた。

そして、ここで2024年1月9日(火)に東京・日本武道館でワンマンライブを行うことを発表。大きな拍手が送られる中でSUZUKAは拳を天に突き上げて、「武道館に立つぞ!」と絶叫。RINは目に涙を溜めたままで「迷えば尊し」を歌い上げると、SUZUKAはメインステージから全力疾走でセンターステージに移動し、箒を使ったエアギターをみせ、観客に向かって「出会えたことに本当に感謝します。まだまだ私たちは進んでいきます」と宣言。「空へ、宇宙へ、届け!」と手を掲げながら、最後に「これからも広く、高く、向かっていきます」と語り、清く正しく礼をし、ダッシュで下校。大ブレイクした2023年から2024年へ、次の武道館公演を含むさらなるステップアップが期待できる情熱的なステージだった。

SET LIST

01. マ人間
02. 最終人類
03. 恋文
04. Suki Lie
05. Giri Giri
06. どうにもとまらない
07. 狙いうち
08. 恋の遮断機
09. zzz
10. 恋ゲバ
11. Happy Hormones
12. CANDY
13. Fantastico
14. Pineapple Kryptonite
15. Free Your Mind
16. オトナブルー
17. NAINAINAI Remix
17. NAINAINAI
18. Pineapple Kryptonite Yohji Igarashi Remix
19. 踊る本能001
20. 青春を切り裂く波動
21. Tokyo Calling

ENCORE
01. オトナブルー(ハイパースクールRemix)
02. ケセラセラ
03. 迷えば尊し

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