flumpool 15th Anniversary Special Thanks Giving
「 SINGALONG 2.0 」at NIPPON BUDOKAN
2023年10月6日(金) 日本武道館
flumpoolが10月6日(金)に東京・日本武道館にて、デビュー15周年アニバーサリーライブ「 SINGALONG 2.0 」を開催した。前回から6年半ぶり、4度目となる武道館公演は、これまで歩んできた道を振り返りながらも、活動休止やコロナ禍を乗り越えたバンドの現在地にしっかりと足をつけ、未来を見据えて、新たな旅への一歩を踏み出すかのようなライブとなっていた。
ライブは、ギターの阪井一生が扮する音楽評論家・大山田源次郎とパペットキャラの小山田くんによる本公演の紹介映像からスタートした。後のMCで本人が「これでもかっていうくらいスベってましたよね……」と落胆していたが、10年ぶりの登場に客席が沸いていたことは記しておきたい。続いて、スクリーンには<聴きたい歌はありますか?>という文字が浮かび、16人のダンサーが躍動感たっぷりにステージに飛び出した。ダンサーの動きが止まり、全員が指を差した先に4人のメンバーが現れると満員の観客から大歓声が上がった。オープニングナンバーは<Wow Wow Wow>というパワフルなコーラスから始まるロックチューン「Blue Apple & Red Banana」。ヴォーカル&ギターの山村隆太が「さぁ、行こうぜ!武道館!!」と声を上げると、観客は総立ちとなり、拳を突き上げ、<Wow Wow Wow>という雄叫びをあげた。盛大なクラップから、高く掲げた右手を左右に振るワイパーで会場が一体となった「two of us」でも大合唱が沸き起こり、山村が「みんなの声を聞かせてくれる?」と呼びかけた「Calling」では、ファンとの絆を確かめ合うように、<Calling Calling>のコール&レスポンスを3度も展開。「 SINGALONG 2.0 」というタイトル通りに、“ライブができる喜びと声を出せる感動”(山村)を分かち合い、響かせ合った幕開けとなった。
最初のMCでは、山村が「気合いが入りすぎてるんです」と何度も繰り返した。コロナ禍の3年間を振り返り、「こんなにライブを奪われることは一生ない。だからこそ、今日のライブのありがたみを感じるし、気合いが入りすぎるよ」と語り、5日前の10月1日(日)にデビュー15周年を迎えたことを報告。場内からお祝いの拍手が上がるなかで、「5年前の10周年は活動休止しておりました。ね、気合い入るでしょ」と重ねた。さらに、山村の両親から15周年のロゴ入りのどら焼きの差し入れが100個届いたことを明かし、「家族も気合いが入ってます」と観客を笑わせた。
「最高の準備をしてきました。最後までこのライブを堪能していってください」と挨拶したあと、LISMOのCMソングとした大ヒットしたデビュー曲で、バイオリンによるイントロで歓声が上がった「花になれ」、山村が出演したCMも話題となった6枚目のシングルで、ピアノ伴奏のみで歌い始めた「どんな未来にも愛はある」、10月から放送されるアニメ「柚木さんちの四兄弟。」のオープニング主題歌として書き下ろした新曲で、「大人になってから気づいた家族の絆をテーマに描いた曲です」と説明したギターロック「泣いていいんだ」を続けて披露し、flumpoolの過去、現在、未来をつないで見せた。
「辛かったし、歯痒かったし、寂しかった。コロナ禍で味わった日々を思い出しながら、ここからは少し色を変えて」という言葉を添えた「夜は眠れるかい?」からは、数々の困難に立ち向かい、時にはどうしようもない絶望感を味わいながらも、高い壁を乗り越えていく過程がエッジーなロックチューンによって提示された。ノイズだらけの社会の中で混乱しながらも<これが僕です>と強い意思を表明する「Because... I am」、小倉誠司の激しいドラミングと青くゆらめく炎によって静かな熱さが表現された「MW 〜Dear Mr.&Ms.ピカレスク〜」。そして、「僕たちは一人ではここまで来れませんでした。それでも、希望を捨てずにやってこれたのは、自分たちの音楽を待っててくれる、あなたがいたからです」という言葉に導かれたバラード「Over the rain〜ひかりの橋〜」へ。15年前、ドラマ「ブラッディ・マンデイ」の主題歌として起用された楽曲だが、<凍えた暗闇の中で/雨があがれば 空にかかる/夢を信じて 歩いてゆこう>というフレーズは、バンドの活動休止やコロナ禍を経た2023年の心境とも重なり、胸に迫るものがあった。そして、雨上がりの空を表すかのような雫の音と警告灯のような真っ赤なライトが重なり、ステージ上には、山村のいないスタンドが浮かび上がった。スポットライトに照らされた無人のマイクスタンドに向かって、山村が歩みを進め、活動再開後の最初の曲である「HELP」をアカペラで熱唱。<誰だって 君だって 僕だって/打ちのめされる夜がある/失って 傷ついて 途方に暮れ 夜明けを待ってる>と弱音を吐き出す山村の歌にバンドのアンサンブルとコーラスが加わり、場内も明転。<心つないで>というフレーズを観客全員で大合唱する中でライブは折り返しを迎えた。
スクリーンに<届けたい歌がある>というメッセージが掲げられた後半戦。笑顔も涙も、喜びも悲しみも、希望も不安も分かち合いながら未来を描いていきたいという願いを込めた「Magic」、ピアノとバイオリンの美しい二重奏を挟み、自然とクラップが沸き上がり、拳が上がった「ビリーバーズ・ハイ」を経て、観客のテンションとボルテージは一気に上昇。<WE ARE NEW DREAMERS>という言葉が踊り、<WOW WOW>の大合唱も巻き起こった「NEW DAY DREAMER」、山村がジャケット脱ぎ、観客と一緒にタオルを回して盛り上がった「World beats」、会場が1つとなって<YEAH!!!!>と叫び声を上げた「ヒアソビ」と、一緒に歌って大騒ぎできるライブナンバーを続け、ライブはクライマックスへ。1番は山村、2番は阪井、3番はベースの尼川元気が歌い継ぐインディーズ時代のレア曲「Hydrangea」からシームレスで「星に願いを」に繋ぐと、「オイ!オイ!」という声と拳が上がり、「今日はどうもありがとう!この気持ち、君に届け!」という叫びと共に、代表曲の1つである「君に届け」で15年間の感謝と出会いの喜びを真っ直ぐに伝えてライブ本編を締めくくった。
ファンのみんなが<聴きたい歌>、flumpoolが<届けたい歌>から、flumpoolが<聴きたい歌>へ。アンコールの1曲目は、2011年のNHK全国学校音楽コンクール・中学校の部の課題曲として制作された「証」で、1番はピアノ伴奏による観客だけの合唱で歌われた。山村は「最高の歌声、ありがとう」と感謝の気持ちを伝えてから、「本当に15年間、みんなの存在に支えられてきました。僕たちができることはわずかかもしれませんが、みなさんの存在は、僕たちflumpoolの礎です。みんなの頑張りが僕たちを今日まで支えてくれました。本当にありがとうございます」と改めて観客に語りかけ、「大切なものは君以外に見当たらなくて」を15年分の思いを込めて歌い上げた。曲中「みんなにとっての大切な仲間に、大切な家族に、もう会えなくなった大切な人に、大切な大切な自分自身に向けて、一緒に歌いましょう」と呼びかけると、この日、いちばんのシンガロングが響き渡った。そして、アウトロで「これから先もいろんなことがあると思うけど、みんなは僕たちの希望です!一緒に前を向いて歩いていこう」と未来に向けた約束も口にし、終演後に今冬のビルボードライブツアーに加え、2024年3月からは実に3年ぶりとなる全国ツアーの開催を発表。大きな歓声と拍手が送られるなかで、「ツアーで会いましょう!」と笑顔で手を振りながら、愛と感謝を存分に伝えきったステージをあとにした。
SET LIST
01. Blue Apple&Red Banana
02. two of us
03. Calling
04. 花になれ
05. どんな未来にも愛はある
06. 泣いていいんだ
07. 夜は眠れるかい?
08. Because... I am
09. MW ~Dear Mr.&Ms.ピカレスク~
10. Over the rain~ひかりの橋~
11. HELP
12. Magic
13. ビリーバーズ・ハイ
14. NEW DAY DREAMER
15. World beats
16. ヒアソビ
17. Hydrangea
18. 星に願いを
19. 君に届け
ENCORE
01. 証
02. 大切なものは君以外に見当たらなくて
<プレイリスト>
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