川畑 要KANAME KAWABATA
Live House Tour 2023
"Live it up!!”
2023年7月16日(日)CLUB CITTA’
川畑要のソロツアー「KANAME KAWABATA Live House Tour 2023 "Live it up!!”」が7月16日(土)、神奈川・CLUB CITTA’を皮切りにスタートした。お馴染みの楽曲はもちろんのこと、新曲あり、カバーあり、セッションコーナーありで、実に多彩に聴かせたライブ。「Live it up!!」とのタイトルの通り、実に生き生きと熱い歌声を聴かせた。
初日となった16日は、体温を超える猛暑日。「外は暑いね、晴れ男だけどちょっとやり過ぎちゃったかな?」と笑いを交えながら、足を運んだ観客を気づかった川畑。声出しOKのライブとあって場内には川畑の名前を呼ぶファンの声が響き、それに応えるかのように、川畑は外気温にも負けないパッション溢れる熱いステージを展開した。
このツアーは川畑のソロ活動10周年のラストイヤーを締めくくるもので、事前に告知されていた通り直前に配信リリースされた「Paradise」と「Midnight Escape」、そして7月26日にリリースされる「Today」が披露された。
疾走感溢れるビートの中に、優しく包みこむような川畑要の歌声が響く「Midnight Escape」。浮遊感溢れるエレクトリックな音色に絡むパーカッシブなリズムが心地よいグルーヴを生む、まさしくホット&クールなサウンド。その中で川畑の歌声が、流線型を描くように駆け抜けて行く。真夜中の都会で繰り広げられる、大人の恋の物語といった雰囲気。観客は立ち上がってクラップを繰り出し、全身をリズムに委ねながらエモーショナルに歌い上げた。
「Paradise」は、約2年前からライブでのみ披露されていた楽曲で、熱心なファンの方ならお馴染みだろう。どこか80年代を彷彿とさせる雰囲気を携えた、シンプルなミディアムのビートに、ブラスが掛け合うサウンドが印象的な楽曲。身振り手振りを交え、時にはステップを踏むような仕草も見せながら、観客一人ひとりに語りかけるように歌った川畑。歌詞はいけない恋を歌い、セクシーな歌い回しも聴かせる。背徳感溢れる逃避行の行き着く先は、果たしてユートピアかディストピアか。異次元の恋愛に身を溶かすかのような、川畑のボーカルが実に色気に満ちあふれていた。
「ようやく新曲を出せました。5月にたくさんレコーディングして、久しぶりにソロ作品と向き合えて嬉しかったです」と川畑。MCでは、バイクに乗る様子や都会の夜が映し出された「Midnight Escape」のMVにも触れ、「今までとは違うテイストのMVになりました。これからも次々と新しいものを見せて行くから」と、今後のソロ活動にも意欲を見せた。
このライブでは新曲の初披露以外にも多数の見所があり、カバー曲の披露は実に聴き応えがあった。川畑の新曲の流れとも通じるような楽曲で、R&Bやクラブミュージックだけでなく、こういうところからも影響を受けているのかなと、音楽に対する彼の貪欲な姿勢を感じさせる選曲だ。曲名は控えるが、シティポップの名曲だったということだけはお伝えしておこう。
また、シーケンスを使わず生のギター、ベース、キーボードだけで歌った、セッションコーナーでも観客を魅了した。川畑が「ワン、ツー」とカウントを出して、それに合わせてサウンドが鳴り響く。観客の手拍子がドラム代わりで、観客もこのセッションのメンバーの一人といったところ。心地よい一体感に包まれて、川畑の歌声もエモーショナルさを増し、美しいファルセットボイスも聴かせるなどで観客を魅了した。
アコースティックギターとピアノのサウンドで聴かせた「Crossroads」も聴き所となった。同曲はコロナ渦中に個人事務所を立ち上げてから最初にリリースされた楽曲で、再出発の不安と希望を歌ったもの。音源とはまた違ったノスタルジックな雰囲気が広がり、川畑の中にある熱い思いや仲間への思いがより浮き彫りになった形だ。自分の道を歩むことを決めた彼の決断に、改めて会場から大きな拍手とエールが送られた。
また、新曲「Today」も初披露された。「みんなの1日が、少しでもハッピーなものになればと思って。何が起きるか分からない日々だけど、前向きな気持ちになってもらえたらと思って書いた曲です」と川畑。軽快で爽やかなビートに乗せて、明るく優しげな歌声を聴かせた川畑。観客もクラップをしながら体を揺らし、川畑のメッセージとリズムに身を委ねた。
ツアーはこの日を皮切りに、7月22日神奈川・F.A.D YOKOHAMAを始め、埼玉、千葉、東京、愛知、大阪、広島、福岡、宮城、北海道を巡り、9月2日と3日の東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASUREでの2DAYSがファイナルとなる。ソロとして全13公演という規模は、初めてとのこと。これを受け川畑は、「ライブは生もので、全部違うものになる。どんどん上がって行くから、何度でも観に来てほしい!」とコメント。右肩上がりに洗練されて行くその先で、一体どんなステージを見せてくれるのか。最先端のビート、でもちょっぴり80’s、ノスタルジックな未来を創造する川畑要のライブステージは、一度と言わず二度三度と観てほしい。