摩天楼オペラ16周年ライブでオーディエンスの大合唱が復活!熱狂と感動が場内に充満した夜!

ライブレポート | 2023.05.22 18:00

16th Anniversary Live -翠玉のワルツ-
2023年5月4日(木・祝)Zepp Haneda(TOKYO)

ついに、オペラー(=摩天楼オペラのファンの呼称)たちオーディエンスの大合唱が復活。これぞ、摩天楼オペラのライブ!! ここからさらにスロットルをあげ、もっともっと高みを目指し、大きな会場に向かって羽ばたく。そんな勢いが場内に充満したライブだった。

5月4日、Zepp Haneda(TOKYO)で摩天楼オペラがアニバーサリーライブ<16th Anniversary Live -翠玉のワルツ->を開催した。10年ほど前、いまはなきZepp TOKYOのステージに立った彼ら。そこから動員の浮き沈みも経験した。メンバーチェンジ、メジャーからインディーズへ戻り、コロナ禍では観客が声を出せなくなった。それでも、彼らはライブ活動を止めなかった。ちょうど1年前、サポートメンバーだったギターの優介を新メンバーとして正式に迎え入れ、新作も作り、ライブに来られないオペラーには配信でライブを届け続けた。そうして迎えた今回のアニバーサリーライブ。彼らはついに、Zeppのステージへの帰還を実現してみせたのだ。コロナ禍でも活動を続け、ライブ動員数を伸ばすという、驚異的な結果を叩き出し、当日のチケットは見事に完売させた彼ら。さらにこの日は、マスク着用の上で観客の声出しを解禁したライブとなった。

苑(Vo)

優介(Gt)

客電が暗転すると聖歌のようなクワイアが響き渡り、場内は、とたんに厳かな空気に包まれる。ステージで燃え上がる6本のトーチ。“1、2、3、4”という響(Dr)のハイハットカウントから始まったオープニングナンバーはまさかの、いや本当に「喝采と激情のグロリア」だった。苑(Vo)が「また合唱できるようになったら、これを1曲目に演りませんか?」といってコロナ禍、これまで封印していた彼らのシンフォニックキラーチューンの解禁に、場内では感動のあまり、号泣するオペラー続出。冒頭からアクセル全開の歌声とバンド演奏。苑が「さあ、いこうか」とフロアに声をかけると、その演奏がピタリと止まり、合唱が始まる。曲中ラストの“永遠を生む~”のパートから、オーディエンスのみでの大合唱。身体中に鳥肌が走る。イヤモニをそっと外し、その観客の歌声に耳を傾ける苑。のっけからクライマックス並みの凄まじい熱狂と感動が場内に巻き起こる。それを察したように「ヤバい、めちゃめちゃヤバい」とアタフタしながら、興奮を露わにする苑。「1曲目、あれが本編。あとはアンコールみたいなもの」といって自分と興奮しているファンを落ち着かせて、1曲目について、これまで16年間ヴィジュアル系をやってきたなかで「メジャーデビューすると“君達はどういうバンドなの?”って聞かれる訳。演奏が上手い、歌が上手い、曲がいい、でもそれは他のバンドにもあるわけで。そこで、合唱曲を作って。お客さんがそれを合唱してくれたことで変わったの。ウチらの“必殺技”ができた」と振り返った。「それをこの3年間できなかった。今日はやっていい日なんだぜ!」とフロアを煽り、「ANOMIE」や「MONSTER」を立て続けに披露。苑のハイトーン、唯一無二のビブラートはこの日も絶好調。優介のギターはテクニカルな速弾きもどこまでも正確無比で、攻めながらも繊細なタッチでメロディーを奏でる。それに呼応するようにサイドギターになったり裏メロを休みなく弾き倒し、オペラサウンドに奥行きと荘厳さを与えていく彩雨(Key)。さらにそこにカウンターメロディーを加えたりしながら、安定感あるピッキングでリズムを牽引してく燿(Ba)。そうして、この日は赤い髪色、セットをさらに上層へと拡張した赤いアクリルドラムで後方に君臨する響(Dr)は、いまや次世代のドラムヒーロー的存在。モンスター級の体力、パワー、テクニックを屈指して、タムからシンバル、バスドラすべてをメロディー楽器のように扱い、曲を歌いまくる歌心あるオラオラプレイで、観客の声出しをドコドコと後押ししていく。最近までやっていたツアーで仕上げてきた歌声も、バンドサウンドの解像度も、とにかく1年前の周年ライブと比べると飛躍的に向上している。

彩雨(Key)

燿(Ba)

オープニングから飛ばしまくったあと、彩雨のピアノソロでつなぎ、“真っ白な~”と苑がアカペラで歌い出した「もう一人の花嫁」から、中盤はこれまでとガラッと雰囲気を変えて、メロウなバラード曲が続く展開へ。和メロと桜色のライトが沁みた「桜」、オペラーたちが機転を利かせてとっさにペンライトを消し、暗闇を作った演出が見事だった「残された世界」。ものすごい数のレーザービームが飛び交う中、優介のギターがメランコリックに泣きまくった「Apocalypse」など、まるで海外のメタルバンドを見ているような迫力と演奏と演出、3拍子揃ったステージングに誰もが目を奪われる。苑の伸びのある歌声とウィスパーな歌唱が印象的な「真昼の月」で、楽曲の世界の深いところまで引き込まれたあとの「悲しみは僕への罰」が素晴らしかった。儚き美メロの応酬のなか、テンポの緩急で感情のコントラストを描き、激情させていくエモーショナルなプレイは彼らの得意技だが、その卓越したパフォーマンスは圧倒的。場内からは割れんばかりの拍手がわき起こった。それを、彼らの楽曲のなかでもクリアな透明感ある「流星の雨」で気持ちを天空へと昇華させていって、バラードパートを締めくくる流れも圧巻。こうしてオペラーたちを清らかな気分にさせたあと、ライブはいよいよ怒涛の終盤戦へと突入。

響(Dr)

ステージが白いスモークで覆われたあと、SEのメロディーを優介がギターで拾い、始まったのは「儚く消える愛の讃歌」。光の彼方、彼らならではのポジティブな美しき希望へとオーディエンスを導いていったところで、苑の歌から始まる「真実を知っていく物語」へ。ここの展開も本当に素晴らしかった。声出し解禁となったいまだからこそ、歌詞の響き方が圧倒的にこれまでとは違った。希望ではなく真実として“終わりの時へ向かっていけるから 僕は歩き出せる”という苑の歌が、この日は泣けるほどの説得力をもって観客の心を突き動かしていく。そして、苑の「全員の声を!」という声を合図に、観客たちはその気持ちを爆発させるように大合唱を響かせ、その合唱を包み込むように苑が最後“生き~て~いく~”と締めくくると、コロナ禍、たくさん我慢してきた気持ちが一気に救われた気分になった。そうして、この日無料配布したメロスピチューン「翠玉のワルツ」を演奏して本編は終了。

すぐさま場内にはアンコールの声が響き渡る。その声に迎えられ、手を挙げて再度ステージに現れたメンバーたち。今日でサポート時代の初ライブから5年目を迎えた響は、1度落ちた勢いを再び取り戻してこうしてZeppに立てたことは「ヤバいこと」だとメンバー、ファンを讃え「でも思うんです。摩天楼オペラにここは狭いんじゃないですか?」といって客席を挑発。燿はこの16年間を振り返って「本当に終わるんじゃないか、自分はもう無理なんじゃないかと思ったことが何回もあった」と本音をぶちまけ「それでも今、ここにいます! 今が一番カッコいいと思うからやってこれた。もっといい景色見せていきたい」と宣言。彩雨は「まさか声が出せないなかで3年間もライブをやるとは思わなかった」とコロナ禍での活動に思いを馳せ、それでも「継続して頑張って作っていくのが摩天楼オペラ。俺らメンバーもスタッフもオペラーも、みんながチームオペラだと思ってる」と讃えた。そのコロナ禍の真っ最中に加入した優介は、1年前の加入シーンを「ご紹介に預かりました摩天楼オペラのギター、優介です」といって再現し、そのときには聴けなかったファンの「優介」と叫ぶ歓声を独り占めして、笑顔を浮かべて歓喜。そうして、苑が「こういう一丸となったいい空間はメンバーだけでは作れない」と伝え「スタッフさん、ここにいるみんな、配信で観てくれている人、一人ひとり全員が必要なプロのオペラー、プロオペラーです」と伝えた。メンバートークを終え、タオルを振り上げるアメリカンロックな「クロスカウンターを狙え」でスタートしたアンコールは、響がマイクで叫び散らす「悲哀とメランコリー」でフロアを盛り上げ。そこに苑が「やっちまおうか!」といって、この場に及んでキラーチューンのスピードメタル「Curse Of Blood」、「BURNING SOUL」を容赦なく連続投下。「BURNING SOUL」では、舞台で信じられないほどの炎がバンバンと立ち上がり、ステージ、フロア、会場一丸となった熱狂空間のボルテージをさらに上げていったところでフィニッシュ。

ダブルアンコールでは「コロナですげぇ名曲できたんだけど、みんなの歌声を聞いてない」と苑がいって、摩天楼オペラの最新のアンセム「真っ白な闇がすべてを塗り替えても」を繰り出し、苑と一緒にオペラーたちが初合唱を披露。曲中にはキャノン砲が発射され、エメラルド(翠玉)カラーのテープまでフロアに舞い降り、最後は「Psychic Paradise」で大騒ぎしてぶち上がり、祝祭感に包まれる中、ライブは終演。
終わってみれば声出し解禁までやっとたどり着いた達成感、その素晴らしさを身をもってメンバーもオペラーも感じ、いつもの周年以上に記憶に残る感動的なライブとなった。

この後、摩天楼オペラは6月25日、神奈川・川崎クラブチッタで開催される<PURE ROCK JAPAN LIVE 2023>を始めとしたイベントに出演。本公演中には7月から東京・新宿BLAZEにて摩天楼オペラ主催による<摩天楼オペラ presents BLAZE THE TRAIL>と題したツーマンライブを開催すること。さらに2024年1月から東名阪で行なうワンマンツアーのスケジュールも発表した。
17周年目に突入した摩天楼オペラ。さらなる高みを目指して、これからも活動を加速させていく。

SET LIST

01. 喝采と激情のグロリア
02. GLORIA
03. 落とし穴の底はこんな世界
04. ANOMIE
05. MONSTER
06. CAMEL
07. Adult Children
08. もう一人の花嫁
09. 桜
10. 残された世界
11. Apocalypse
12. 真昼の月
13. 悲しみは僕への罰
14. 流星の雨
15. 儚く消える愛の讃歌
16. 真実を知っていく物語
17. 翠玉のワルツ

ENCORE
01. クロスカウンターを狙え
02. 悲哀とメランコリー
03. Curse Of Blood
04. BURNING SOUL

ENCORE2
01. 真っ白な闇がすべてを塗り替えても
02. Psychic Paradise

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