摩天楼オペラ、2024年ラストライヴは思い出の場所・大手町三井ホール!2025年も加速を続けて全国ツアーへ

ライブレポート | 2025.01.31 19:00

END OF YEAR LIVE’24 -Snow mist-
2024年12月28日(土)大手町三井ホール

摩天楼オペラが2024年12月28日、東京・大手町三井ホールにてワンマンライヴ<END OF YEAR LIVE’24 -Snow mist->を開催した。

やっと訪れたウインターシーズン。その時期を待っていたように、雪の結晶の多くが六角形であることから雪の異称として使われる六花を冠にした通算10枚目のニューアルバム『六花』をリリースした摩天楼オペラ。そんな彼らが、大手町三井ホールに戻ってきた。初めて摩天楼オペラがこの場所で公演を行なったのは2022年のこと。まだ声出しが出来なかった時期、ここでバンドの15周年祭を開催した彼らは、その公演中にギタリスト・優介の正式加入を発表したのだった。ファンにとっては現体制の摩天楼オペラが正式に誕生した場所であり、このあと始まるアルバムツアーの前哨戦として最新作『六花』の匂いを真っ先に感じられるかもという思いもあって、本公演チケットは早々にソールドアウトを記録。

会場の入り口には『六花』の最新ポスターが貼られていて、訪れる観客たちをお出迎え。場内に入ると、しんしんと降り注ぐ雪やその雪が時折吹雪に変わるようなアンビエントなBGM音が流れていて、辺り一面が目には見えない雪景色にじょじょに包まれていく。ここから、本日のSnow mist公演の物語はスタート。

開演時間になると客電が消え、観客のクラップが鳴り響く中、バンド名を描いたバックドロップの前に先ほどの最新ポスターと同じ新衣装を着たメンバーが次々と登場。新衣装初お披露目に場内が沸き上がる中、この日のライヴはそのまま最新アルバム1曲目の「BLOOD」で幕を開けた。クワイヤやパイプオルガン…神聖なるシンフォニックな世界が広がっていくと、ここからいきなり響(Dr)が挨拶代わりといわんばかりに手も足も半端ない連打を繰り返し、トップスピードで爆走。続けて「Diorama Wonderland」では、場内にはさっそくヘドバンが巻き起こる。彩雨(Key)の切ない旋律から「落とし穴の底はこんな世界」が始まると、苑(Vo)が透き通ったファルセットを響かせていく。せつなさとともにバンドサウンドの熱がこれでさらにぐぐっと高まったところに、優介(Gt)のヘヴィなギターリフが炸裂。続けてスピードチューン「Anemone」を仕掛けていく。燿(Ba)がクラップを求めるとすぐさま客席には手拍子が広がり、曲の途中からその手が左右に楽しそうに揺れだした。この日は摩天楼オペラライヴ納めということで、いつも以上に冒頭からステージも客席も情熱的。

苑(Vo)

優介(Gt)

響(Dr)

歌い終えた苑はさっそく「ソールドアウトです。こんな幸せなことはないです。優介が加入を発表した思い入れのあるこの会場をお借りして、ライヴをまたこうしてできることは嬉しい限り」と興奮気味のテンションで挨拶を届けた。優介が加入して2年。優介の自我もどんどん生まれ、現在のステージ、さらには最新アルバムは「俺たちがその間、成長した証です」とファンに伝えた直後、始まったのは「死人たちのパレード」だった。サブギターに交換した優介がここでは魅せる。変拍子を取り入れ構築感満載のメタルサウンドが、サビで疾走感ある流れに変わり、それがゆったりとした3拍子になったところで優介が堂々とテクニカルなギターソロをきめてみせる。「悲哀とメランコリー」が始まると、観客が一斉にタオルを回しだし、その間フロントに彩雨、燿、苑、優介が横並びで集結! これまでとはガラッと雰囲気を変えて、彼らが観客とのコール&レスポンスを一斉に煽っていくと、響はたまらず椅子から立ち上がって、派手なアクションを入れながら生声で叫んでオーディエンスの歌声を後押ししていく。こうしてメンバーが軽やかに動いて華やかなパフォーマンスで場内を盛り上げていくところは、作品だけでは感じられない摩天楼オペラのライヴならではの魅力といえる。

彩雨(Key)

燿(Ba)

流麗なメロディーが苑の艶やかなハイトーンヴォイスにのせて心地よく駆け抜けていく「S」、続けて「Libra」をプレイしたあとは、苑の美しい声が青い閃光のような照明と溶け合って、オーディエンスの胸を突き刺していく「闇を喰む」へと展開。その青い照明に緑のライトが交差し、緊迫感あるイントロから曲はバラード「残された世界」へ静かにスライド。そうして、この曲中、優介がギターソロを弾きだした瞬間にバックドロップがなくなり、残された世界を表現するかのように、舞台後方に美しい大手町のビル群を見下ろす迫力ある夜景が広がっていったところは大感動。まさに“圧巻”のひと言だった。曲が終わると、その感動を表わすように場内には大きな拍手が自然と広がっていった。

「開きました(笑)。開けたら、もしかしたら雪があるんじゃないかと思ってたんですけどね」と少し残念そうに語った苑。「次の曲は雪の摩天楼を背負って歌う予定でした」と告げたあと、始まったのは「夜明けは雪と共に」だった。それを聞いた観客たちは、さっそくペンライトを白色にともして掲げ、客席に美しい雪景色を作ってみせる。クリーントーンで歌い上げていく苑はここでとびきり絶品のヴォーカルを響かせ、そこに静かにピアノが奏でるメロディー、重低音が融合していって、寒々しい冬の透明感と煌めく雪の摩天楼を会場全体で作りだしていったところはライヴならではの醍醐味で、ため息が出るほど美しかった。夜景バックに、スポットライトが真っ白い光となって降り注いでいった叙情的なメロディアスチューン「流星の雨」でオーディエンスの心をさらに奪っていったあとは、雨のように降り注ぐ光のなか、苑の声が厳かに伸びていく「Etrenal Symphony」へ。この日集まったファンへ5人の思いを歌とサウンドで紡ぎ、届けていったあと、優介が深い感謝の気持ちを伝えるように、ギターを頭の後ろに構えてアウトロのソロをカッコよく弾いてみせた。そうして、最後は最新アルバムから壮厳なキーボードの旋律が壮大なサウンドへと広がっていき、命を呼び起こしていくような生命賛歌「六花」を初披露して本編を締めくくった。この日、機材トラブルで何度もギターの音が途切れ途切れになってしまって、そのたびに悔しそうな表情を浮かべていた優介。その優介を励ますように、苑が背中をポンポンと叩き、彼らはステージを後にした。

アンコール、「やっぱりこの会場、楽しいね」といって、リラックスした表情で笑顔を浮かべて最初に話し出したのは苑だった。新衣装の話をしながら、彩雨が頭につけていた帽子について触れると、彩雨は「生まれたときから(帽子は)付いてましたから。身体の一部です」と返し、響はフロントまで出てきて、今回の衣装を自慢。優介が足を露出したセクシーな衣装を照れながらアピールすると、場内は和やかな雰囲気が広がっていった。そうして苑が、バンドの18周年を記念して8月10日に東京・日比谷野外大音楽堂でワンマンライヴ<18th Anniversary Live>を開催することをこの場で改めて告げると、続けて優介が「2年前、ここで加入を発表した日は僕の第2の誕生日ができたと言ったんですけど、8月10日は自分の誕生日でもあるので、野音では僕の誕生日も含めて祝って頂けたらなと思います」と付け加えた。そうして「この会場で初めてやった思い出の曲を。あのときはタイトルを間違えてたので(微笑)今回はちゃんといいます。聴いて下さい」といって、しっかりと苑がタイトルコールを届けたあと、アンコールは正統派メロスピナンバー「真っ白な闇がすべてを塗り替えても」からスタート。あのときから、いまや摩天楼オペラが誇る名曲&キラーチューンとして育っていったこの曲で、一気に会場の温度を爆アゲしたあとは「RAINBOW」へ。ここでキャッチーなメロが炸裂。照明もペンライトも鮮やかなレインボーカラーに切り替わったあとは、響の合図に合わせて観客がタオルを一斉に振り上げ「クロスカウンターを狙え」へ。苑が攻撃的なシャウトを見せるなか、観客たちは曲に合わせて激しく手を振り、身体を折り畳み続ける。そうして、その勢いを「PHOENIX」でさらに加速させていく。ここまできて、さらに限界に挑むようにパワーを全開にして、エネルギッシュにバスドラを連打する響。そのエキサイティングなビートの上で燿、優介、彩雨が放つ力強いスピード感ある音が次々と波状攻撃のように観客に襲いかかったあと、曲はフィニッシュ。そうしてメンバーはステージから姿を消す。

まだまだこの興奮は収まらないといわんばかりに、場内からはすぐさま「アンコール」の盛大な声が上がり、再び舞台にメンバーが姿を現す。「今年最後、もみくちゃになれますか?思い残すことがないように全部の体力を使い切って帰りましょう」と苑が観客にけしかけ、「EVIL」が始まると、高速ツーバス連打に合わせて、客席のあちこちで吹雪のようなヘドバンの嵐が激しく吹き荒れる。その客席の熱烈な興奮に応えるように、優介が力強いギターソロ、苑がハイトーンヴォイスを畳みかける。そうして、ラストはホリデーシーズンにぴったりの怒濤のメロスピ疾走チューン「SHINE ON」の明るいメロディーと歌詞で、真っ白い世界から観客をまぶしいほど光り輝くこの先の未来へと連れだし、心が洗われるような温かい感動が胸いっぱいに広がっていったところで苑が「2024年、走りきりました! 2025年も一緒に楽しもうぜ!」と叫んで曲は終了。5人全員で手を繋いで挨拶をしたあと、響が「野音、ソールドさせようぜ!」と熱量高めに意気込みを伝えて、2024年最後の摩天楼オペラのライヴは、感動に包まれたなかで幕を閉じた。

2024年、バンド以外のサポートの仕事でも大活躍だったメンバーを通して、新しく摩天楼オペラを知った若い男性ファンが増えた印象の彼ら。このあと、摩天楼オペラは2月からはニューアルバム『六花』を掲げた全国ツアー<TOUR’25 六花 - Snowflake ->をいよいよスタートさせる。そうして、バンドの18周年を記念して8月10日に開催する野音ワンマンライヴ<18th Anniversary Live>ソールドアウトに向け、2025年も摩天楼オペラはさらに加速状態で爆走を繰り広げていく。

SET LIST

01. BLOOD
02. Diorama Wonderland
03. 落とし穴の底はこんな世界
04. Anemone
05. 死人たちのパレード
06. 悲哀とメランコリー
07. S
08. Libra
09. 闇を喰む
10. 残された世界
11. 夜明けは雪と共に
12. 流星の雨
13. Eternal Symphony
14. 六花

ENCORE
01. 真っ白な闇がすべてを塗り替えても
02. RAINBOW
03. クロスカウンターを狙え
04. PHOENIX

ENCORE 2
01. EVIL
02. SHINE ON

公演情報

DISK GARAGE公演

18th Anniversary Live

2025年8月10日(日)日比谷野外大音楽堂

オフィシャル先行受付

受付期間:2025年1月31日(金)19:00 ~ 2025年2月9日(日)23:59

申込みはこちら

TOUR’25 六花 - Snowflake -

2025年2月1日(土)2日(日)福岡DRUM Be-1
2025年2月15日(土)柏PALOOZA
2025年2月16日(日)HEAVEN’S ROCK さいたま新都心
2025年2月23日(日祝)LIVE ROXY SHIZUOKA
2025年2月24日(月振休)新横浜NEW SIDE BEACH!!
2025年3月1日(土)神戸VARIT.
2025年3月2日(日)KYOTO MUSE
2025年3月8日(土)川崎Serbian Night
2025年3月15日(土)仙台MACANA
2025年3月16日(日)盛岡CLUB CHANGE WAVE
2025年3月23日(日)長野 CLUB JUNK BOX
2025年3月29日(土)30日(日)札幌SPiCE
2025年4月12日(土)横浜BAY HALL
2025年4月19日(土)ElectricLadyLand[名古屋]
2025年4月20日(日)梅田BananaHall
2025年5月4日(日祝)Spotify O-EAST

チケット一般発売
発売日:2024年11月30日(土) 10:00
詳細はこちら

  • 東條祥恵

    取材・文

    東條祥恵

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  • 撮影

    Litchi

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