【オープニングライブ・原宿RUIDO「REBIRTH」シリーズ】原宿RUIDO復活! 椎名慶治ライブやります!
2022年8月26日(金)原宿RUIDO
Vocal:椎名慶治
Drums:町田孝/Bass:磯貝サイモン/Guitar:友森昭一/Keyboards:村原康介/Sax:薗田佳煇
実は椎名慶治が原宿RUIDOのステージに立つことに、特別な意味があったこの日のライブ。ファンもそれに気付いてか、チケットは即完! 8月26日、東京・原宿RUIDOにて開催された、『【オープニングライブ・原宿RUIDO「REBIRTH」シリーズ】原宿RUIDO復活! 椎名慶治ライブやります!』。いつもとどこか違った雰囲気をまとい、たくさんの奇跡が起きたこの夜は、椎名が原宿RUIDOに新たな歴史を刻んだ一夜となった。
原宿・竹下通り脇に89年オープン。90年代はバンドブームを支え、数多の伝説のライブを生み出してきた原宿RUIDO。2007年に惜しまれながら閉店するも15年の時を経て、今年7月に堂々復活! 現在、『原宿RUIDO「REBIRTH」シリーズ』と銘打って、ゆかりのある豪華アーティストが、連日ライブを行っているのだが、椎名慶治もその中の一人。この日のMCで詳しく語られたが、実はSURFACEという名義を公開して初めてチケットを販売してライブを行った、全ての始まりと言えるライブハウスが原宿RUIDO! しかもそのライブが行われた日が、2ndシングル「ジレンマ」のリリース前日である1998年8月25日。つまり、ほぼ丸24年前にライブを行った時期に、一度は無くなった同会場で行われたライブだったのだ。
開演時間となり、町田孝(Dr.)のドラムソロから軽快な8ビートに乗せて、楽器隊が音を重ねると、椎名がステージに堂々と登場。友森昭一(Gt.)、磯貝サイモン(Ba.)、村原康介(Key.)、薗田佳煇(Sax.)というメンバーで挑んだこの日。1曲目「僕等の中」でライブがスタートすると、強靭なバンドサウンドに乗せた椎名の力強く艶っぽく、伸びやかな歌声が原宿RUIDOに響く! 24年前、SURFACEのライブ時には想像出来なかったであろう、スキルとキャリアを重ねたボーカリストとしての勇ましくたくましい姿。「いざ尋常に」、「MY LIFE IS MY LIFE」と続き、歌声に酔いしれた観客から鳴り止まない拍手が起きる。「ヤバいっしょ? もうちょっとゆるい感じで来ると思ったよね? カッコいいんだよ」と自画自賛する椎名は、この日のライブがリハなしのぶっつけ本番であることを告白。「リハなしでこの演奏が出来るのが、僕と一緒にキャリアを重ねてきたメンバーだと思います」と話し、頼りになるメンバーを紹介すると、「スペシャルな一日、最後まで楽しんでいきましょう!」と、パワフルなギターリフで始まる「一旦紅茶飲む」をエネルギッシュに披露する。
MCでは24年と1日前に、この会場でSURFACEがチケットを売ってライブを行った思い出やアマチュア時代の話を懐かしそうに語り、「ここからSURFACEが生まれたと言っても過言ではない」と断言した椎名。「せっかくだから、『ジレンマ』をやろうかな? と思って。カップリングは『ひとつになっちゃえ』。2曲続けてお送りします!」と、なんと24年前にリリースされた「ジレンマ」を披露!リハなしということで、歌詞を忘れるお茶目なシーンもありながら(笑)。当時よりたくましさを増したハイトーンを響かせ、大人の色気や哀愁エッセンスを加えた「ジレンマ」と「ひとつになっちゃえ」に、ファンから歓喜の拍手が起きる。歌い終わった後のMCでは、「『ジレンマ』とかあの頃の歌い方を真似たんだけど、ダメだね」とボヤき、「(高音で)♪なにが僕を こんなにイラつかせるの? ……って、よくあれでみんなを騙せたよね(笑)」と自身のモノマネをしながら自虐ギャグで笑わせた椎名だったが。この日ならではのスペシャルな演出に、ファンの興奮が止まらない。
さらに椎名が「今日はまだ出来ていない新曲を生演奏でやったらどうかな?と、みんなを使って実験しようと思うんですが」と言い出し、まだデモ段階だという新曲「どうやって君を奪い去ろう」を披露。24年前の自身と対比するように最新型の椎名慶治を見せると、観客が楽しそうに体を揺らし、キャッチーなサビに手を上げて合わせる。「この曲はビーイングっぽい曲にしたいと思って」と説明するこの曲の観客の反応を受けて、「なんか評価高そうだね!」と嬉しそうに語った椎名。「このアレンジを土台に曲をフル尺にして。来年下半期になっちゃうと思うけど、ソロ作品で発表するから!」と期待を煽り、「これだけでもスペシャルなライブになったでしょ?」といたずらな笑顔を見せる。
村原の鍵盤と薗田のサックスでムーディーに始まった「SLIT」、たっぷり気持ちを込めた切なく温かい歌声で聴かせた「アイクルシイ」とバラード曲が続き、フロアから大きな拍手が起きると「今日のライブ、普通に良くない?」と満足そうな椎名。「最後の盛り上がりに行きたいんですけど、元気が有り余ってませんか?」と始まった「人生スパイス -go for broke-」に手振りを合わせ、ドライブ感ある「咲き誇れ」に体を揺らし、相乗効果でどんどん熱を帯びていくバンドと観客。「お節介焼きの天使と悪魔と僕」に手拍子を合わせ、会場中を尋常じゃない熱気が包むと、「最高だぜ、ルイード!」と椎名が興奮気味に叫ぶ!
コロナ禍でも決して諦めることなく、配信も含めて様々なスタイルでライブを続け、決して音楽の火を絶やさなかった椎名。この日はベーシストとして参加していた、磯貝のベースイントロで始まった「WAIT!」では、幻想的な演奏に合わせて手を広げてゆらゆら揺らす観客に、椎名が「こっちから見るととっても気持ち悪いよ」と嬉しそうに笑い、突き上げるビートに手を振る観客の風景に本当に楽しそうな笑顔を見せる。「声が出せないライブ、3年やってきました。『声が出せなくてもこんなに盛り上がってくれるんだ、嬉しい』ってその都度、嘘じゃなく言ってきましたけど、今日が過去イチです! 今日が一番盛り上がってます!」と喜びを語ると、「声が出せなくてもライブを続けて、今日みたいに盛り上がれればいいんだと。今日のお客さんにめちゃめちゃ救われました、ありがとう!」と感謝を述べ、披露したラストソングは「アイムリアル」。渾身の歌と演奏に観客も熱い手拍子で応え、最高潮の盛り上がりを見せる中で本編を終了。
アンコールでは椎名とメンバーが、原宿RUIDO 50周年とコラボしたグッズTシャツに着替えて登場。「部屋にこのTシャツ掲げて、『50周年のルイードで24年ぶりにやれたな。やっぱ俺、ここから始まったんだな』って。また明日からも永谷と頑張ろうと思います」と語ると、ライブ定番曲「よーいドン」「RABBIT-MAN」を披露し、限界突破のパフォーマンスとフロアの盛り上がりを見せる中、ライブはフィニッシュ。
椎名が“過去イチの盛り上がり”と語るように、本当に奇跡のような瞬間がいくつもあったこの日。特別な日のライブに椎名が初心を思い返したり、過去楽曲や最新デモ曲を披露するスペシャルな演出があったりと、それなりの理由もあったと思うが。僕は何よりも椎名が24年間歌い続けてきたこと、コロナ禍でも諦めずにライブをやり続けてきたことが、この日のいくつもの奇跡を生みだしたのだろうと思った。9月10日(土)には新プロジェクト、「椎名慶治と永谷喬夫」のライブを控え、10月末からはソロツアー。来年にはSURFACEの25周年を控えた椎名慶治。過去イチのライブは、ここからもどんどん更新されていくことだろう。
SET LIST
01. 僕等の中
02. いざ尋常に
03. MY LIFE IS MY LIFE
04. 一旦紅茶飲む
05. 君の叫びは僕に届く
06. 「ここは ぶきや です」
07. ジレンマ
08. ひとつになっちゃえ
09. フラストレーションNo.5
10. どうやって君を奪い去ろう(新曲)
11. はないちもんめ
12. 天国で会いましょう
13. SLIT
14. アイクルシイ
15. 人生スパイス -go for broke-
16. 咲き誇れ
17. お節介焼きの天使と悪魔と僕
18. WAIT!
19. アイムリアル
ENCORE
01. よーいドン
02. RABBIT-MAN