椎名慶治、ソロデビュー15周年記念ライブは全てがスペシャル!これまでのキャリアと未来を見せたステージをレポート

ライブレポート | 2025.11.05 18:00

Yoshiharu Shiina Special Live 2025 「WE ARE @LIVE」
2025年10月25日(土)日本橋三井ホール
[MEMBER] Vo.椎名慶治 / Dr.吉田佳史(TRICERATOPS) / Ba.徳永暁人 / Gt.香取真人 / Key.村原康介
[Guest] Astronauts(May'n & 椎名慶治) / ZERO

オールタイムベストだけでは終わらせない。バイタリティとサービス精神に溢れる椎名慶治だらこそのスペシャルな内容だったのが10月25日、日本橋三井ホールにてソロデビュー15周年という節目に行われた「WE ARE @LIVE」。まず椎名を支える布陣が凄まじい。ドラマーは1stフルアルバムに収録され、代名詞のひとつでもある「RABBIT-MAN」のレコーディングを担当した吉田佳史(TRICERATOPS)、ベーシストには椎名が多大な影響を受けたB’zのサポートメンバーであり、アレンジも手掛けている徳永暁人を招き、普段から椎名と共に活動しているギタリストの香取真人、キーボーティスト兼バンマスとして村原康介が顔を揃えたという特別編成。セットリストもキャリアを総括しながらも未来も提示する盤石の内容。驚きのゲストともステージを共にしながら椎名慶治というアーティストの全身全霊を浴びることができた夜となった。

まずSEが鳴り響き、暗がりの中で香取、徳永、吉田、村原、そして椎名がステージに登場すると各地から駆けつけたファンに埋め尽くされた会場から割れんばかりの大歓声が起こる。このライヴに向けて「忘れられない一夜にしたい」と椎名は語っていたが、その思いはファンも一緒。そんな空間にまず届けられたのは「WAIT! 」だ。2006年にSURFACEとして発表した曲ながら、ソロとしても磨き抜いてきた曲。言わば、椎名が常に前へ進んできたことがわかる存在とも言え、スリリングなサウンドの中、ハリのある歌声を響かせていく。

「みんな、よく来たな!」そう椎名がファンへ声をかけ、続けざまに放ったのは「いざ尋常に」。ビターで艶っぽいサウンドに赤と緑のライトも映え、歌に魅入られたファンは前へ前へと手を差し伸べながら、サビではフリもバッチリ。とてもいいムードだ。

そこで厳かさも感じる香取のアルペジオから激しいロックに展開していく「お節介焼きの天使と悪魔と僕」という流れもいい。力強さと軽やかさを兼ね備えたメロディーを轟かせ、曲終わりには、どうだ、と言わんばかりに椎名が両手を広げる姿も見受けられるほど、序盤から会場はどんどんヒートアップしていった。

「こんな日が来るなんて……なんだ、このメンバー!?(笑)」とここでスペシャルなバンドメンバーを椎名がひとりずつ紹介し、セットリストはメンバーが苦しむ曲をセレクトした、と戯けつつ、ガツンと食らわせたのが「どうやって君を奪い去ろう」。徳永はスラップ、香取もソロを炸裂させ、椎名も高ぶる感情をそのまま投影しながら歌っていく。シャウトも伸びやかだ。

キーボードのイントロで空気を変え、小気味良いリズムワークを見せる「MY LIFE IS MY LIFE」を披露した後、椎名が「アイツが来るぞー!」と声を上げたと同時に登場したのがラッパーのZERO。もともとは椎名が後輩ということからフックアップした客演だったそうだが、今やLDHサウンドを裏方として支える重要人物となっており、ステージからは少し遠ざかっていたが、この日は椎名の節目となる特別なステージ。この男はやはり必要に違いない。まずは「いっこずつ」を久方ぶりとは思えない抜群のコンビネーションで見せつけ、アッパーな「年齢不show time」へ。お祭りには欠かせない1曲だ。キレキレなラップを繰り出すZEROはとても頼もしかった。

ここからはセルフカバーを、と伝え、高橋まことの声がけで結成させ、椎名がヴォーカルを務めたJET SET BOYSからシャレも効かせたビートロックナンバー「ZIPPER DOWN」、SURFACEからアーバンな匂いを抜群のポップセンスで彩った「クロール」、代表曲のひとつ「それじゃあバイバイ」を椎名のソロセルフカバーバージョンでプレイ。この15年を振り返ったからこそのセレクトに会場は湧きっぱなしだった。

そこから、また歴史を踏まえてシングル曲を、と様々な恋愛模様を描いた「I Love Youのうた」、心が熱くなる極上のバラード「凹凸」を響かせる。まっすぐな愛情を椎名らしい言葉選びで描く名曲はライヴの中盤戦をグッと引き締める存在にもなっていた。

そして、突如として会場が暗転し、SEに合わせて待ってました、と湧き上がるクラップ。椎名と共に登場したのはMay’n、始まったのはAstronautsの復活劇だ。「仮面ライダーフォーゼ」の為に結成されたユニットであり、この2人が並び立つのは実に12年ぶり。それぞれのファンからリクエストはずっとあったものの、なかなか実現しなかっただけあって、会場のテンション感もグッと増し、熱気がさらに立ち上る。

そんな中にまず飛び込んできたのが「COSMIC MIND」だった。2人のハーモニー、掛け合い、それぞれが前進してきたからこその重みと鋭さとキレが素晴らしい。決してノスタルジーで終わらせない。そんな気概を感じさせるのだ。興奮状態のファンは拳を突き上げ、盛大なコールを送る。椎名とMay’nが互いに向き合って声を合わせて《Cosmic Cosmic Cosmic Mind》と歌い上げる姿は最高に様になっていた。

ここでAstronautsとして挨拶をし、椎名はMay’nへ「(アーティスト活動)20周年おめでとう!」、May’nは椎名へ「こんなスペシャルな機会に呼んでくれたこと、ありがとうございます」と互いに賛辞を送りながら軽妙なトークを展開しつつ、新曲がある、という驚きの発言が飛び出す。まさか、と思ったが、そこから披露されたのが本邦初公開、このライヴの為に制作し、レコーディングもしていない新曲「Wow! SIGNAL」だった。スペーシーで浮遊感のあるダンスチューンであり、初めて聴いても自然とそのリズムに乗せる力がある。天井にはミラーボールも輝くが、それ以上に輝かしいステージに皆々が魅入られっぱなしだった。

Astronautsとしての締め括りはもちろん「Giant Step」。May’nが「もっともっと声を出せますか? もっともっと体を動かせますか?」と大きな声を上げたが、もうそんな言葉も必要ないぐらいに熱狂する会場。極彩色なライトに照らされながら、麗しくもあり力強さもある歌声と轟かせる椎名とMay’n。この一夜だけで終わるのはもったいない。新曲と共にまたライヴを、と思わせる内容だった。

パワフルなMay’nとのステージで「パワーを持ってかれた(笑)」と椎名はとぼけつつ、それをいい刺激として終盤戦へ突入。改めて狼煙を上げるように熱っぽく「アイムリアル」を放ち、ファンが重ねるコーラスがとてもアセンセミックでスタジアムロック級のスケール感を誇っていた「20th century boy」から「人生スパイス -go for broke-」へ。みんなでフリを合わせながらどこまでも生まれ続ける高揚感。ステージ上でおどけるような様子も見せるが、決してブレない椎名の歌声。まだまだ楽しもうぜ、と無尽蔵なスタミナで駆け続けていき、ドライブ感満載な「Let's HIT」も見事。ファンの想いを受け止め、それ以上のモノを返すのは椎名慶治というアーティストなのだ。
最終盤になり、改めてファンへ謝辞を述べ、本編ラストはこの曲しかないと言い切りたい、「ゴゾウ☆ロック」。華やかでエネルギッシュでシャレも効いていて、ホントに椎名らしい曲であり、終わりに向かう寂しさをかき消すように、ギリギリまで張り上げる歌声も胸を打つ。曲を締めくくる《これからもよろしく yeah!》という言葉がこれほど似合う場面はないんじゃないか、と思うほどの光景だった。

万雷の喝采を浴びながらステージを後にしたが、フロアから鳴り止まない「もう1回!」のコールに呼び戻され、徳永がステージ中央で卓越したスラップを見せてからまずは代名詞でもある「RABBIT-MAN」で再び会場のムードを最高潮まで持っていき、「また、このメンバーでやります、必ず」とファンと約束を交わす。そこから「醜態成」をダイナミックに鳴らし、ラストナンバーは大きく優しく包み込む「取り調べマイセルフ」。絶叫に近い歌声で《ありがとう/もう全部に感謝!》と叫ぶほど、最高のハッピーエンドを描いてくれた。

ライヴ中盤、Astronautsとして登場したMay’nが椎名のことを「今がいちばんカッコいい」と称していたが、本当にその通り。一歩一歩すべてを血肉とし、とにかくファンを喜ばせたいと邁進する椎名慶治だからこそ表現できる音世界を全身で浴び、その卓越さを再確認すると同時に今後も目を離せないと思わざるを得ない夜だった。

SET LIST

01. WAIT!
02. いざ尋常に
03. お節介焼きの天使と悪魔と僕
04. どうやって君を奪い去ろう
05. MY LIFE IS MY LIFE
06. いっこずつ w/ZERO
07. 年齢不 show time w/ZERO
08. ZIPPER DOWN
09. クロール
10. それじゃあバイバイ
11. I Love You のうた
12. 凹凸
13. COSMIC MIND Astronauts(May'n & 椎名慶治)
14. Wow! SIGNAL  Astronauts(May'n & 椎名慶治)
15. Giant Step  Astronauts(May'n & 椎名慶治)
16. アイムリアル
17. 20th century boy
18. 人生スパイス-go for broke-
19. Let's HIT
20. ゴゾウ☆ロック

ENCORE
21. RABBIT-MAN
22. 醜態成
23. 取り調べマイセルフ

公演情報

DISK GARAGE公演

Yoshiharu Shiina 15th Anniversary!!Requested Songs Live「FACE TO FACE #8」

2025年11月10日(月)東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

[MEMBER]
Vocal:椎名慶治
Guitar:友森昭一
Keyboard:村原康介
Percussion:町田孝
Sax:薗田佳煇

Yoshiharu Shiina 50th Birthday Live「SO HOPPY!!!!!」

2025年12月30日(火)東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

[MEMBER]
Vocal:椎名慶治
Drums:TETSUYUKI
Bass:山口寛雄
Guitar:香取真人
Keyboard:村原康介
Sax:薗田佳煇

Yoshiharu Shiina Requested Songs Live「FACE TO FACE #9」

2026年2月7日(土)8日(日)東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

[MEMBER]
Vocal:椎名慶治
Guitar:友森昭一
Keyboard:村原康介
Percussion:町田孝
Sax:薗田佳煇

  • 取材・文

    ヤコウリュウジ

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  • 撮影

    牛島康介

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