ニューロティカの『心燃会』 〜俺たちいつでもロックバカ!!〜
2022年1月3日(月)日本武道館
「やりたいことをやってたら、ここ日本武道館のステージに立ってたぞ!」
日本武道館を埋める満員の観客にあっちゃんが万感の思いを叫び、ニューロティカの日本武道館公演がついに幕を開ける! 結成38年目にして初の武道館単独公演となったこの日、関係者の心配をよそにチケットはほぼソールドアウト。開場中はBGMとしてロティカにゆかりの深いバンドたちの名曲が武道館に響き、JUN SKY WALKER(S)の「全部このままで」に客席にいた宮田和弥が飛び出したり、氣志團と一緒に見れる“ア・イ・セ・キ”シートから綾小路 翔が先導して拍手やウェーブが起きたりと、早くもお祭り騒ぎだった会場。開演時間になって客席の照明が落ちると、影マイクによる東京ダイナマイトの前説に笑いが起き、仲野茂(アナーキー)がステージに登場して国歌独唱を行い、いよいよニューロティカの登場! 市松模様の床に巨大なピエロの垂れ幕、お店から持ち出した時計と看板が飾られた“新宿ロフト仕様”の大きなステージに堂々と登場した4人が、「嘘になっちまうぜ」でライブをスタートすると、日本武道館がライブハウスへと一変する。
1曲目からステージの端まで駆け抜け、ステージの広さや武道館の雰囲気を確認したあっちゃん。「俺たちがニューロティカだ!」と力強く宣言して「五十の夜」をパワフルに披露すると、「タオルを回すことが出来ないので、代わりにペンライトを回そうじゃあ~りませんか!」と呼びかけ、「お前ら緊張してんじゃねぇよ! お前らの緊張が伝わってくるんだよ」なんて冗談を挟む余裕も見せて、「気持ちいっぱいビンビンビン!!」へ。ナボのけたたましいドラムで始まるアッパーなナンバーに、一気に熱量が上がった会場。会場中がペンライトの光を回して合わせる、美しすぎる光景は圧倒的! 間奏ではリョウとカタルがステージの両端に走って演奏し、あっちゃんは広いステージを走り回ってペンライト回しを先導してと、武道館のステージを有効利用したダイナミックなパフォーマンスで魅せ、爆音を鳴らす4人。おっと、早くも武道館の感覚を掴んだか!?
「新宿ロフトからやって来ました日本インディーズ代表、ニューロティカ!」
あっちゃんの挨拶に大きな拍手が起きると、「後ろにロフトの看板と時計があってさ、ここ(ドラム周辺)の映像だけ武道館になってないんだよ。俺だけロフトだよね?」とボヤくナボ。「日本武道館で緊張しないように、ステージがロフトと同じ市松模様です! これで安心だ!」と笑顔を見せたあっちゃんがメンバーにひと言ずつ求めると、「ライブハウス武道館へようこそ!」と氷室京介の名言を3人に先に言われてしまい、「それはロフトで300回ライブやった俺が唯一言える、ロフトの先輩の氷室さんの言葉でしょう!?」とスネる(笑)。続く九段下ナイスミドル合唱団(楽器隊)の輪唱で始まった「Punch2 Ruby2 Lumba Purple Ranba Ruby2 Lumba」から、「1984年3月30日、初ライブは新宿JAM。あれから38年経って、ここ日本武道館のステージに立つことが出来ました!」と始まった「Fight ~Best of Fight~」ではあっちゃんがステージ上段に上がり、<何度も歌ってやるぜ がむしゃら生き抜くこと>とアカペラで力強く熱唱。<生きざま見せてやるぜ>の歌詞を体現する、男・井上篤の勇ましい姿に会場中から大きな拍手が起きた。
「翼なきもの達」、「限界ギリギリMY LIFE REVOLUTION」と続き、ステージを後にする楽器隊。ステージに一人残されたあっちゃんは、「生きてて良かった、ホントに。みんなに会えたしね」とMCを始めると、「僕が武道館に立てたのも、バックで演奏してくれていた12人のメンバーがいたからです」と歴代メンバーへの感謝を語り、12人のメンバーを思い出とともに紹介。ステージに立ってるのは現メンバーの4人だけど、過去メンバーの想いもしっかり背負って武道館に立っているんだなと感動していると、「修豚と立ち上げて38年。ニューロティカは現在進行系です! あんまりヤツと深い話はしたことないけど、この場を借りて言わせて下さい。修豚、いや修一! 一緒にニューロティカを作ってくれてありがとう!」とオリジナル・メンバーの修豚への感謝の言葉で締めくくったあっちゃん。「そして、いまニューロティカを支えてくれてる3人です!」と気持ちを改めてメンバーを呼び込むと、ステージ上段には赤と白を基調とした星柄のめでたい衣装の楽器隊が登場!
改めてメンバー紹介して、「この4人で去年、武道館で歌うために新曲を作りました」と披露した曲は新曲「やっちゃえ!」。<玉砕覚悟で突っ込め>と勢いよく始まり、4人が歌声と心を重ねて歌う攻撃的なパンクチューンは、暗い世の中や無謀とも思われた武道館に立ち向かう強い意志と覚悟が表れていると同時に、現在のニューロティカの勢いと絶好調ぶりも表れた、最新型のニューロティカサウンド。結成38年、いまも現在進行系で進化を続けているなんて、信じられないかも知れないが。この曲を聴けば、「ニューロティカは現在が一番カッコいい!」と断言したくなるのも納得出来るはず。
「武道館も素晴らしいところですが、ライブハウスも素晴らしいです。ライブハウス育ち、旅育ちのニューロティカ! ……もう何を言うか分かってるよね? ライブハウス武道館へようこそ!」
あっちゃんが改めて、氷室先輩の名言を叫ぶと、「パンクロック未来地図」、「太陽をさがして」、「ROCK酒場でROCK!ROCK!ROCK!」とライブハウスや日本のミュージシャンへの愛とリスペクトを込めた曲が続き、RYOのロックンロールギターが炸裂した「…to be HARLEM」、カタルの熱いベースプレイとコーラスで熱量上げた「太陽族」、ナボのドラムソロで始まった「俺達ロティカアミーゴ」と続く曲で楽器隊の魅せ場もたっぷり作ると、スクリーンに映る東京の夜空の映像とピアノの音色が会場の空気を変え、「東京花火」へ。巨大ミラーボールと星型の電飾が夜空のように綺麗にきらめく武道館で、たっぷり気持ちを込めて歌うこの曲はいつも以上に切なくドラマチックに響いた。
続くMCでは、一個上の先輩のガマオくんとの思い出話を始めたあっちゃん。中学高校とひと足先に進み、ちょっぴり大人な不良の世界を見せてくれた、かっけぇガマオくんのエピソードから、「オメェら、ハンパな走りしたら許さねぇからな!」と気合い入れて始まった曲は、「璐薫’狼琉狂走曲(ロックンロールクレイジーラン)」。疾走感ならぬ爆走感あるこの曲でヘッドライトの付いたバイクのハンドルを持って、ステージを走り回るあっちゃん。カタルとRYOもケツに付けて演奏しながらステージを爆走すると、いつの間にかナボまでスティックを置いて走り始め、メンバー全員で武道館のステージを爆走する破茶滅茶ぶりに、観客は大興奮! その勢いのままなだれ込んだ「絶体絶命のピンチに尻尾を高く上げろ!」では、ステージ上段で踊るカタルの先導で会場中が振り付けを合わせ、ニューロティカコールを合わせ、観客の笑顔が溢れる会場に最高にハッピーな一体感が生まれる。
夢の武道館ワンマンもいよいよクライマックス。RYOがステージ上段に上がり、感情をたっぷり込めた渾身のギタープレイで魅せると「日本武道館~~!」と叫び、「飾らないままに」を披露。パンクバンドとして、ピエロとして、そして男として。譲れない意志を貫き、変わらないまま生きて歌い続けていくという覚悟と信念を歌ったこの曲。結成38年にしてたどり着いた武道館のステージで、<安っぽく見られようが道化師でいたんだぜ 誰にもできないことをしているのさ>と胸張って歌うあっちゃんのカッコ良さに、涙が止まらなくなった。そして本編ラスト、「生きて生きて、ライブハウスで会おうぜ!」と始まった曲は「永遠ピエロ」。<見た事のない景色を お前に見せる>と歌い、<お前の爲に歌ってやるぜ お前の唄を今ここで叫ぶ>と誓う、ロックバカの人生を魂込めて歌うこの曲の歌詞は、この日のためにあったようにも聴こえた。
アンコールはあっちゃんがスイカマンの衣装に着替え、「夏・スイカ・27歳」でバカ明るく楽しくスタート。気の利くお客さんたちが会場をペンライトの緑の光で染め、いつもはお客さんがクラッカーを鳴らすパートでは、恩返しのようにステージから派手やかに金テープが飛び出す! 「チョイスで会おうぜ」ではひと2人分はある巨大あっちゃんが登場して爆笑を生むと、会場中がチョイス!と手を挙げジャンプ。何年ぶりにロティカに会いに来たファンも歓喜した「ア・イ・キ・タ」ではナボがボイパを披露したり、カタルがお約束の回転ベースをいつもより多く回したりと遊びや余裕も見せ、メンバーが残り少ない武道館のステージを思い切り楽しむ。まさにいつものライブハウスのノリで沸かせたアンコールラストは、「ニューロティカの38年は間違いじゃない! 38年間歌ってます!」と始まった「DRINKIN' BOYS」。最後の力を振り絞るような全身全霊の歌と演奏に会場中が拳を突き上げ、♪ヤーヤヤヤーヤヤの掛け声に手拍子を合わせた圧倒的盛り上がりは、まさに誰もがビビるイカしたエンディング!
「2022年1月3日、日本武道館! ニューロティカ心燃会! 今日が日本のエンタメの夜明けだ!」
全ての演奏を終えたあっちゃんが力強く宣言すると、ステージ上にはメンバーも並び、それぞれがひと言ずつ感想を述べる。
「俺ね、いま感動してんの。前の方の人も上の方のみなさんもホントありがとう、すごい景色です!」(ナボ)
「ず~っと緊張してなかったんですよ、いつも通りやろうと思って。いつも通りのロティカを日本武道館でやれたんじゃないかと思います。ありがとうございます!」(RYO)
「最高だ! ニューロティカやってきて良かったぜ! あっちゃんありがとう! そしてみんなありがとう!」(カタル)
最後は「明日からもお前らの幸せのため、歌うぞ~!」と叫び、盛大な拍手を受けたあっちゃん。ステージ上から記念写真を撮り、この日の公演はすべて終了! 一度はけたあっちゃんが再びステージに戻って残した、「武道館が凄いんじゃねぇんだよ、ニューロティカが凄いんじゃねぇんだよ、パンクロックが凄いんだよ!」のひと言も印象的だった。
終演後、そして翌日に至るまで、TwitterなどのSNSはニューロティカ武道館の感想で溢れかえっていた。「本当に凄いものを見た」「生きざま見届けました」など、たくさんのコメントがあったが、様々な想いを持って日本武道館に訪れた人たちの感想を見て僕が思ったことは、ニューロティカが今もいてくれることの凄さとありがたさだった。僕がニューロティカのレコードを初めて買った高2の頃、そして東京に出てきてライブに行くようになってから約25年、ニューロティカはいつでもライブハウスにいてくれた。辛い時シンドイ時、ライブハウスに行くとニューロティカがいて、燃えて笑って「よし明日も頑張ろう!」と元気をくれた。僕にとってニューロティカはそんな存在だったし、それはファンのみんなも一緒だと思う。
今回、武道館ワンマンで何十年ぶりにニューロティカのライブを見た人もいたと思うが、見ての通り、結成から38年が経ったいまもニューロティカは変わらずステージにいてくれるし、変わらず熱く楽しいライブを見せてくれている。それがどれだけ凄いことで、どれだけ尊いことか!? ライブ終演後、7月17日(日)に東京・日比谷野外大音楽堂で、31年ぶりとなるワンマンライブ「野音deロティカ」を開催することを発表したニューロティカ。日本武道館に行った人はもちろん、行けず悔しい想いをした人もぜひ参加して欲しい。そして、ニューロティカはこれからもライブハウスにいて、辛いことやシンドイことがあった時、僕らに元気を与えて続けてくれるはず。ニューロティカの真骨頂と言える、ライブハウスのライブにもぜひ足を運んで欲しい。
SET LIST
01. 嘘になっちまうぜ
02. 五十の夜
03. 気持ちいっぱいビンビンビン!!
04. Punch2 Ruby2 Lumba Purple Ranba Ruby2 Lumba
05. Fight! ~Best Fight~
06. 翼なきもの達
07. 限界ギリギリMY LIFE REVOLUTION
08. やっちゃえ!
09. パンクロック未来地図
10. 太陽をさがして
11. ROCK酒場でROCK! ROCK! ROCK!
12. …to be HARLEM
13. 太陽族
14. 俺達ロティカアミーゴ
15. 東京花火
16. 璐薫’狼琉狂走曲(ロックンロールクレイジーラン)
17. 絶体絶命のピンチに尻尾を高く上げろ!
18. 飾らないままに
19. 永遠ピエロ
ENCORE
01. 夏・スイカ・27才
02. チョイスで会おうぜ
03. ア・イ・キ・タ
04. DRINKIN'BOYS