武道館deロックバカ やれるもんならやってみろ!
ニューロティカ 新宿LOFT出演300回 カウントダウンシリーズ 296回目
(ゲスト:The Birthday)
2021年9月8日(水) 新宿LOFT
2022年1月3日(月)に初の日本武道館ワンマン『ニューロティカの『心燃会』 ~俺たちいつでもロックバカ!!~』を控えたニューロティカが、すでに武道館を経験している“武道館のパイセン”を招いて行う対バンシリーズ『武道館deロックバカ やれるもんならやってみろ! ニューロティカ 新宿LOFT出演300回 カウントダウンシリーズ』。ロフト296回目のステージとなり、シリーズ3戦目となる対バンは、08年1月に行った初の日本武道館公演より、3度の武道館ライブを行っているThe Birthday! このライブの開催にあたって「チバ君、キューちゃんは自分と同じ学校(明治学院)で直系の後輩です! ただしあたくしは高卒、更に分校の東村山ですが直系の後輩と一生言い続けます!」とコメントし、先輩風を吹かしていたあっちゃん。2014年10月に新宿ロフトで開催された『あっちゃん(日本のロックの中心)生誕50年祝賀大祭』以来となる、直系の後輩であり、武道館の先輩であるThe Birthdayとの対バンはどんな夜になったのか!?
先攻はThe Birthday。不穏な赤い照明がステージを照らし、SE「Sixteen Candles」が流れる中、メンバーがゆっくりステージに登場。最後にチバがステージ中央に立つと、ヒライがベースを鳴らし、1曲目「月光」でライブが始まる。会場に張り詰めた緊張感を切り裂くような胸躍る演奏、チバの鋭利な歌と言葉に見惚れていると、<お前の想像力が現実をひっくり返すんだ>のシャウトがズサッと胸を突き刺す。
1曲目を歌い終えたチバがギターを背負い、曲名でもあるフレーズのリフレインにトリップ感のある「ラドロックのキャデラックさ」、独創的なギターフレーズが耳に残る「レボルバー」と、7月にリリースされたばかりアルバム『サンバースト』収録の新曲が続いた前半戦。最新型のThe Birthdayの歌とサウンドを生で体感出来ることに興奮するしドキドキするし、それを新宿ロフトで観られることが贅沢すぎるし嬉しすぎる! 現在、新作を掲げての『SUNBURST TOUR 2021』の真っ最中で、この日はツアー初日を終えたばかりのタイミングだったThe Birthday。ロティカの頼みならと、無茶なタイミングでの対バンを快諾したことにもめちゃくちゃ男気を感じるし、観る側にしたら感謝と有り難さしかない!
「こんばんは、The Birthdayです!」とクハラが挨拶し、静かに始まったのは「夢とバッハとカフェインと」。力強く正確なクハラのビート、二人向き合って呼吸を合わせて鳴らすチバとフジイの荒々しくも繊細なギター、音の隙間に滑り込むヒライの印象的なベースと、4人の個性が重なって響く強固なバンドアンサンブル。そして、吐き捨てるように真意を付くチバの歌と言葉に耳と心を奪われる。
「待たせたね」とチバがひと言告げ、性急なギターイントロで曲が始まったのは「JOIN」。<やろうぜJOIN>の呼びかけに、フロアから熱い拳が上がる。「JOIN」を歌い終えると「ロティカ、ロフトで300回もやってるんだね。結局俺、数えるくらいしかやってないもん」と小さく笑ったチバ。「俺たちの夏は今日でお終いだわ」と呟き、続いて披露した曲は「SUMMER NIGHT」。軽快で痛快なビートが観客の体を揺らし、夏の終わりの夜を彩ったこの曲で、チバが<ロティカのSUMMER NIGHT ロフトのSUMMER NIGHT>と歌詞を変えて歌った。多くは語らず、ロティカへの敬意と激励を送るその姿勢がカッコ良すぎる。
続いて、ヒライのベース・イントロで始まったのは、壮大な風景を想起させる演奏に乗せた歌声が優しく切ない「息もできない」。さらに祈るように願うように歌う「ギムレット」と愛に溢れた新曲たちが続き、ラストは圧倒的な存在感とスケール感、胸躍る高揚感とドライブ感のある歌と演奏で魅せた「OH BABY!」で駆け抜ける! アウトロでたっぷり余韻を残してライブを終えると、チバが「ありがとう! 次はニューロティカ!!」とひと言告げ、夜風のようにステージを去っていった。
「今日はバースディ仕様! ワイルドだぜぇ~?」とスイカマンに黒の革ジャンを着た姿で登場したのは、後攻のニューロティカ。The Birthdayの作り上げた空気を一変するように、「夏・スイカ・27歳」の突き上げるビートで明るく楽しく始まったステージは、ロティカを初めて見たであろうバースディファンに呆気に取られても仕方なし!
スイカマンの着替え待ちで楽器隊3人がステージに残り、始まった曲は1stアルバム『ハーレム野郎』収録の「Fuckin' Boys ~ガンツタレナガシの術~」。RYOのボーカルに男臭いコーラスを重ねた「ラ・バンバ」調のイントロで魅せると、ピエロ姿のあっちゃんが登場。賑やかなで軽快な歌と演奏に観客が思わず体を揺らし、呆気に取られていた人も手拍子を合わせる。
さらに「夏・渚・17歳」の上手くいかないサーフボード回しに、爆笑が起きるフロア。RYOのギターソロもカッコ良く決まり、「これが俺たちのロックンロール!」と叫ぶあっちゃんに会場中から大きな拍手が起きるとロティカの独壇場! ……かと思いきや、「いいんだよ、『俺たちのロックンロール!』とか対抗しなくても! カッコいいのは無理なんだから」と即座にツッコむカタル。さらに「The Birthday、カッコ良かったな! 俺、ああいうバンドがやりたかったんだよ」と続け、「俺も! それがニューロティカ入ったら、頭おかしくなっちゃったんだもん。それと毛も抜けちゃった」とナボが追い打ちをかける。一番の理解者たちに裏切られたあっちゃんは「はぁ……」と溜め息をつくばかり(笑)。
気持ちを切り替えて続いたMCでは「バースディのみなさん、15周年おめでとう! そしてツアー中にありがとう!」と感謝を伝え、「今日は凄いよ。よく喋らないバンドとよく喋るバンドが見れるから」というあっちゃんに、「よく喋るバンドはいいけど“よく喋らないバンド”って表現は変でしょ!?」とナボがツッコむ。The Birthdayとの思い出を語り、「日本コロムビア時代の曲です。イカした場所で、イカしたお前らに、イカれた一発!」と始まった曲は「Fight ~Best of Fight~」。<歌ってやるさ 男の歌 聴かせてくれ おまえの歌を>とThe Birthdayの男気に返答するように、勇ましさと男らしさを見せたこの曲。<何度も歌ってやるぜ がむしゃら 生きぬくこと>と生歌で独唱するあっちゃんは本当にカッコよく、その男らしい姿にさっき放った「これが俺たちのロックンロール!」の言葉が頭をよぎった。
続く「…to be HARLEM」を歌い終えると、MCで「ニューロティカのYouTubeチャンネルを見ていただけると分かるんですが、日本武道館の先輩の曲をカバーしてます。今日はバースディさんの曲をやろうかと」とあっちゃんが告げ、ファンから大きな拍手が起きる。「キュウちゃんに『何歌ったらいいかな?』ってメッセージして、送ってくれた曲を歌います!」と緊張気味に始まった曲は、The Birthday「青空」のカバー。それまでとは雰囲気の異なる、鋭くヘヴィな演奏に凛々しい表情を見せる4人。ピエロメイクの下に鋭い眼光を見せるあっちゃんが歌う、<お前の未来はきっと青空だって 言ってやるよ>の歌詞は本家とも違ったメッセージ性を放ち、力強く前向きに響く。無事歌い終えて「ありがとう…」とチバになりきって挨拶するあっちゃんに失笑が起きると「(The Birthdayのメンバーが袖から)ずっと見てたよ、心配そうに!」とカタルが伝え、「うっそ、マジ!?」と慌てふためくあっちゃん。「明日、『青空』のカバーMVの撮影をします!」と、この曲のカバーをYouTubeでも公開することを明かすと、ファンから温かい拍手が起きた。
続いて、04年にリリースされた『A.I カンパニー ~Tribute to NEW ROTE'KA~』で、チバ(名義はSHIGERU FOREVER)がカバーをしてくれた「旅に出よう」を披露し、「ロックンロールクレイジーラン」であっちゃんとカタル、さらにRYOがドタバタとステージを走り回るとライブもクライマックス。「永遠ピエロ」で“俺たちのロックンロール”を真摯に届け、ラストはRYOの魂込めたギターイントロから始まり、たっぷり気持ちを込めた熱い演奏にあっちゃんが心の叫びを高らかに吼えた「飾らないままに」で本編をフィニッシュ! ロティカの明るく楽しい一面と、人生懸けてロックと向き合う真摯な一面と、どちらもの魅力がギュッと凝縮されたこの日のライブは濃厚で見応え抜群。アンコールは「ア・イ・キ・タ」で底抜けに楽しいステージを観客に食らわせて、この日のライブは終演。
The Birthdayとニューロティカという全くタイプの異なるバンドではあるが、“俺たちのロックンロール”と男気を全力でぶつけ合った対バンは熱く激しく、目撃した者の心にしっかり残るライブだった。その後、伝説として語り継がれる番長同士のタイマンに立ち会ったような気分になっていた僕は終演後、「凄ぇものを見た!」という高揚感と満足感、そして清々しさをいつまでも感じていた。いつかまた再戦が実現しますように!
SET LIST
The Birthday
ツアー中につき、セットリスト非公開とさせていただきます。
ニューロティカ
01. 夏・スイカ・27才
02. Fuckin' Boys 〜ガンツタレナガシの術〜
03. 夏・渚・17歳
04. Fight〜Best of Fight〜
05. …to be HARLEM
06. 青空(The Birthdayカバー)
07. 旅に出よう
08. ロックンロールクレイジーラン
09. 永遠ピエロ
10. 飾らないままに
ENCORE
01. ア・イ・キ・タ