『UNCHAIN presents Mr.VIRUSOUL ~9th Operation~』
2019年9月14日(土) Shibuya WWW X
w/FIVE NEW OLD
第1回目のアルカラをはじめ、毎回多彩な顔ぶれのゲストを迎えてきたUNCHAINによる自主企画イベント『Mr. VIRSOUL』。その第9回目となる今回、UNCHAINが招いたのは、神戸の4人組、FIVE NEW OLD(以下FiNO)だった。
この日、FiNOのHIROSHI(Vo&Gu)は“UNCHAINとFiNO。昔から周りの仲間にめっちゃ合うよと言われていて、ずっとやりたいと思っていた”とお互いにリスペクトし合っていることを語ったが、出身がともに関西であることに加え、ポップパンクやエモをルーツに持ちながらブラックミュージックのエッセンスをサウンドに取り入れているという共通点もある。2組の相性の良さがどんな相乗効果を生むのか期待しつつ足を運んだところ、UNCHAINとFiNOの共演はそれぞれのファンがひとつに溶け合う空間を作り出す一方で、2組がそれぞれに持つユニークさを、今一度、際立たせる興味深い結果となったのだった。
“渋谷!楽しもうぜ。手を貸してくれ。一緒に行こうぜ!”と1曲目の「By Your Side」の冒頭からHIROSHIがハンドクラップを求めたFiNOは、ゴスペル風のコーラスを、まずメンバーが掛け合い、そこに観客を巻き込むかたちで、“ご一緒にどうぞ!”とサビを歌わせると、“いいね!もっと聴かせてくれ!”と、今度はコール&レスポンスを交え、1曲目から存分に観客に声をあげさせる。
そこから観客が白熱するバンドの演奏に合わせ、ラララと大きな声で歌った「Please Please Please」まで50分。この日はギターを持たずにハンドマイクで歌うことが多かったHIROSHI以外の3人――WATARU(Gu&Key&Cho)、SHUN(Ba&Cho)、HAYATO(Dr&Cho)がロックバンドらしい熱量もアピールしながら、彼らは9月11日にリリースしたばかりのメジャー2ndフルアルバム『Emulsification』からシーケンスでストリングスとホーンも鳴らしながら披露した「Magic」も含む全10曲をプレイ。観客とライヴで一緒に歌うことを意識しながら作ったという「What’s Gonna Be?」をはじめ、数多いレパートリーからアンセミックな曲を選んだセットリストが、この日のバンドの気持ちを物語っていたように思う。
“(今日、FiNOのライヴが)初めてという人もいると思うけど、音楽で繋がったら、またどこかで会える気がします!”
そんなふうにHIROSHIは観客に語りかけながら、ほぼ全曲でシンガロング、コール&レスポンス、ハンドクラップを求め、積極的にそれに応える観客とともに、まさにピースフルという言葉がふさわしい、会場全体を包み込むような大きな一体感を作り上げていった。
観客の手拍子が迎える中、UNCHAINの演奏はスローテンポのジャムセッションからスタート。“Shibuya! Are you ready!?”という谷川正憲(Vo&Gu)の言葉を合図に佐藤将文(Gu&Cho)によるカッティングがバンドをひっぱるように演奏がテンポアップ。
言葉を投げかけるような歌が印象的なソウルフルなロックナンバー「Don’t Need Your Love」になだれこむと、そこからファンクロックの「Super Collider」、谷 浩彰(Ba&Cho)と吉田昇吾(Dr)による心地良いグルーブに観客が体を揺らしたバラードの「Libyan Glass」、ソウルフルに盛り上げた「beautiful girl」、そしてバンドの演奏とぶつかりあう谷川のパワフルな歌に拍手喝采が起こった5曲目の「Fresher」まで一気にたたみかけ、序盤から硬派な魅力を見せつけていった。
そして、“HIROSHIが自分のことを谷君と呼ぶから、ベースの谷とごっちゃになっていろいろややこしい。それ以外はパーフェクトです!”と谷川が観客を笑わせてからの中盤は、UNCHAIN初のテレビドラマ主題歌となったバラードの「Distant Neighbor」、ラテンっぽい魅力もある「Underground Love」、谷川がかき鳴らすギターリフにバンドのルーツが窺る「The World Is Yours」と序盤以上に多彩な曲の数々をたたみかけ、観客に手と声を上げさせる。そして、“みんなにもっといい思いをしてもらいましょう!”(谷川)とHIROSHIを迎え、演奏したUNCHAINのファンならお馴染みとなっている椎名林檎「丸の内サディスティック」のファンキーかつアーバンなカバーに観客は大歓び。なめらかなHIROSHIの歌声と、ざらっとした谷川の歌声というそれぞれのユニークさを際立たせた。
“谷川君、ありがとう!”ステージからはける時のHIROSHIのひと言にも思わずニヤリだった。ファンキーなジャムセッションを繰り広げながらグッズとメンバーを紹介すると、“まだまだ行けますか!?”(谷川)と「Get Ready」からラストスパートを掛ける。アップテンポの演奏に乗りながら、谷川が熱気に満ちたスキャットでググッと盛り上げ、本編最後の「Back To Zero」につなげると、心を解き放てという想いを込めながら谷川が日本語で歌う歌に観客が感極まったように声を上げた。
しかし、本当のクライマックスはここからだった。12月14日にヒューリックホール東京で毎年恒例のホールライヴ『You & U~to the 2020〜』を開催することを伝え、アンコールで披露したのはデビューした頃から歌い続けている歯切れのいいギターのカッティングが印象的なダンスナンバー「You Over You」。手拍子をしながら体を揺らす観客を前にじっくりと歌を聴かせていた谷川が“最後は、みんなでひとつになりましょう。底が抜けるまでジャンプしてくれますか?ジャンプ!ジャンプ!”と呼びかけると、ラテン風になった間奏の演奏に合わせ、全員がジャンプ。その光景を見ながら谷川が声を上げた。
“ありがとう!美しい!”ガツンと来る骨太の演奏で、60分間、UNCHAINは観客を圧倒しながら、最後はFiNOに負けない大きな一体感を作り上げた。
SET LIST
■FIVE NEW OLD
01.By Your Side
02.Liberty
03.What´s Gonna Be?
04.Hole
05.Black & Blue
06.Sunshine
07.Stay(Want You Mine)
08.Magic
09.Ghost In My Place
10.Please Please Please
■UNCHAIN
01. Don’t Need Your Love
02. Super Collider
03. Libyan Glass
04. beautiful girl
05. Fresher
06. Distant Neighbor
07. Underground Love
08. The World Is Yours
09. 丸の内サディスティック with HIROSHI(FIVE NEW OLD) ※椎名林檎のカバー
10. Get Ready
11. Back To Zero
ENCORE
You Over You