フルカワユタカ ワンマンツアー「epoch」
2019年9月1日(日)F.A.D YOKOHAMA
バンドメンバー:Ba.雲丹亀卓人 / Dr.鈴木浩之
ニューアルバム『epoch』のリリース・ツアー全14本の2本目、9月1日(日)F.A.D YOKOHAMA。このツアー、フルカワユタカをサポートするベーシストとドラマーが2組であることが事前に発表されており、14本中7本はベース:雲丹亀卓人(Sawagi)、ドラム:鈴木浩之(THE KEBABS)、7本はベース:宮田岳(黒猫チェルシー)、ドラム:井上司(fox capture plan)がボーカル&ギターのフルカワユタカをサポートする。初日とこの2日目は、雲丹亀卓人&鈴木浩之。
『epoch』収録の10曲はすべてプレイ、プラス他のソロのアルバムからの曲と、DOPING PANDAの曲(代表曲もあり、「え、これ!?」という意外でうれしい曲もあり)で、トータル20曲強、というセットリスト。2本目だけあってまだしっかりと固まってはいないが(2回目のMCで「新曲、つかんできた感じしますね。本番でつかんでんじゃねえよ、って言われそうだけど、でもライブってそういうもんだから」とフルカワ。そうなのよね、ほんとにそういうもんよね、と思いました)、でありながら、どの曲もどの瞬間も、プレイヤビリティが炸裂しっぱなしの3人の演奏。
最初はちょっと様子見な感じもあったが、中盤から身体を揺らし始め、後半にはもう踊りまくり&歓声飛びまくり&歌いまくりになっていたオーディエンスの空気感。HAWAIIAN6安野勇太に「おまえの服装には提示がない。まず白シャツ禁止な」と言われた話や、7年ぶりに帰省した話や、母親が「リアルタイム検索で名前を見た」と電話してくる話などで、いちいち爆笑をとるフルカワのMC──。
など、すべて含めて「うわ、これすげえいいツアーだわ」という実感が、曲が進めば進むほど身体を包んでいくような、そんな、やたらと充実した時間だった。1曲目でいきなり興奮や熱狂でオーディエンスをなぎ倒すようなライブではなく、1曲ごとに歓喜のメーターがじわじわと高まっていき、中盤あたりで爆発し、後半でさらに爆発する、というような。
そういうライブを、今、フルカワユタカができている理由はいろいろあるだろうが、この日僕が強く感じたのはふたつ。
まず、ギタリストとしての力。もともと非常に能力の高いギタリストだし、だからあれだけあちこちからサポート等で呼ばれるわけだが、そうやって呼ばれた先で得たものが自身のライブに還元されていることが、観ているとわかる。とりあえず、フレージングといい音の立ち方といい、あきらかに、「歌いながら弾く人」のギターではない。って前からか。前からそうだけど、さらにそうなっている。
で、ふたつめは、シンプルに、『epoch』収録の10曲がすばらしいこと。ああ、このアルバム、こんなにいいメロディ、いいリリック、いいアレンジメントだらけなんだなあ、と、生で聴くと実感する。ファンが昔から愛してきたDOPING PANDAの曲と、最近出会ったばかりの最新アルバム『epoch』の曲では、普通どっちに分があるかは、言うまでもない。実際、ドーパンの曲になるとフロアはワッと盛り上がる。が、『epoch』の曲に戻っても温度が下がらない、さらにアガったりしていたのは、純粋に曲の力だと感じた。
このツアーのファイナルは、11月16日渋谷TSUTAYA O-WEST。素直にもう一度観たくなる、そんなステージだった。その日のサポートは宮田岳&井上司だし、というのもあります。