すでに書いてるように、彼女は同期なしの生演奏に合わせて、歌だけではなく、いくつもの楽器をプレイしていたことも記しておきたい。「ヒカリの声」「feel a heartbeat」「Runaway」「Drive Drive」ではエレキギター、「ナツオモイ」「虹む涙」「ハムスター」ではアコースティックギター。前述の「若者のすべて」では水色のストラトギターが初お披露目され、8月の東京公演でカバーした斉藤和義「歌うたいのバラッド」ではアコギを弾きながら歌唱。さらに、逆再生メドレーの1曲目「Catch up」では「中学生の時からやりたかったけど、去年からこっそりと練習していた」というアルトサックスを初披露。ピアノがメインのバラードとなったアレンジの上で、堂々とメロディを吹きあげると、場内からは大きな拍手と歓声が沸き起こっていた。
今回のツアーのために、彼女がどれだけ音楽に時間を費やしてきたかが伝わってくる演奏であった。そして、「小さな勇気」ではエレピを弾きながらたった一人で歌い、7月の東京公演では観客の合唱が沸き起こり、会場に満開の笑顔の花を咲かせていた。8月の東京公演の1日目のAパターンではアンコールの最後の披露だったが、途中で「めっちゃ間違えた!どうしよう」と中断。「もう1回私に時間をください、本当にこんなんでごめんなさい」ともう一回トライ、涙を流しながら完奏し、深々と長いお辞儀をした。本人は悔いが残っているだろうが、それもその日にしかない、ライブの醍醐味の1つであり、忘れられないシーンとなった。
MCでは、8月の東京公演の1日目には、「虹む涙」の歌唱後に「もう一回ステージに立って歌おうと覚悟を決めた曲を聴いていただきました」と振り返り、斉藤和義「歌うたいのバラッド」を選曲した理由について、「去年、ゆっくりとした日々を過ごしていた時に、これから何をやっていこうかなって考えた時に、私の心に一番強く思ったことが、歌いたい、歌手になりたいってことでした」と、改めて歌に対する強い思いを語った。
さらにアンコールでは、「みんなに支えられて歌えている」と会場に足を運んでくれたファンやスタッフになんども感謝の気持ちを伝え、「みんなが友達や家族に<有安杏果のライブを見に行ったんだよ>って胸を張って言えるくらい、もっともっと成長しないといけないし、もっともっと頑張りたいと思ってます」と涙ながらに決意を語り、2日目には「いつもネガティブになりがちなので、もう少しポジティブに、ポジ子になれるように頑張ります」と話すと、会場からポジ子コールが起こるという一幕もあった。
そして、ツアーファイナルとなった2日目の東京公演のアンコール終了後、鳴り止まない拍手と声援にこたえるように再びステージに戻った彼女は、さらなる声援に応え、アコギ一本の生声で、その日のセトリにはなかった「feel a heartbeat」をファンの方々と一緒に歌い、明るい笑顔でステージを去った。
様々なタイプの楽曲が並んだセットリストの多様性、新曲の多さ、ダンスパフォーマンスの解禁、そして、ギターやピアノの演奏など、見どころが満載で、アーティストとしての資質の高さと幅広さを感じさせてくれた彼女は、本編最後のMCで来年の春に全国ツアー「サクライブ2020」を開催することを発表した。約半年後と書くと随分先のようも感じるが、高く跳び上がるためには一度、深く踏み込むことが必要であることは想像に難くない。ホップ、ステップに続く、ジャンプとなる次のツアーで有安はどんな跳躍を見せてくれるのだろう。
SET LIST
◆7/22(月) 8/14(水) Zepp Tokyo
01. ヒカリの声
02. TRAVEL FANTASISTA
03. ハムスター
04. 色えんぴつ
05. 若者のすべて[フジファブリック](7/22)、歌うたいのバラッド[斉藤和義](8/14)
06. 心の旋律
07. 小さな勇気
08. LAST SCENE(新曲)
09. Do you know(新曲)
10. 遠吠え
11. 愛されたくて
12. 虹む涙
13. Catch up
EN
14. 逆再生メドレー
15. ナツオモイ(新曲)
◆7/23(火) 8/13(火) Zepp Tokyo
01. ヒカリの声
02. TRAVEL FANTASISTA
03. ナツオモイ(新曲)
04. feel a heartbeat
05. 虹む涙
06. 若者のすべて [フジファブリック](7/23)、歌うたいのバラッド[斉藤和義] (8/13)
07. 心の旋律
08. 色えんぴつ
09. Runaway(新曲)
10. Drive Drive
11. 遠吠え
12. 愛されたくて
13. Catch up
EN
01. 逆再生メドレー
02. 小さな勇気
PRESENT
直筆サイン入りチェキを2名様に!
受付は終了しました