Pop Step Zepp Tour 2019
2019年7月22日(月)Zepp Tokyo
※記事中に一部演奏曲目の記載があります。あらかじめご了承の上お読みください
有安杏果のライブがすごい。なにが「すごい」のかと言うと、まず、バンドメンバーがすごい。コブクロのツアーメンバーである福原将宜(Gt)とナオト・インティライミやSING LIKE TALKINGをサポートする宮崎裕介(Key)に、元100sのメンバーで、現在はともに多数のアーティストのツアーやレコーデイングに参加している山口寛雄(Ba)と玉田豊夢(Ds)のリズム隊。凄腕のフュージョンバンドのようなクオリティーの高さで、このメンバーだからこそ実現できる演出も豊富に用意されていた。その1つは、各地の2デイズ公演でセットリストが異なり、全体のムードも違っているということだろう。オープニングナンバーを聴けば、どんなコンセプトの日であるかが分かる構成となっていた。また、有安のライブではおなじみのアンコールで披露される「逆再生メドレー」は、本編とは逆の順番で演奏されていくのだが、ただ逆再生するだけではなく、アレンジもかなり大胆に再構築されていた。レゲエ、ロック、ジャズ、ラテン、セカンドライン、サンバ、R&B、AOR、ピアノバラードなどと多彩なジャンルを縦横無尽に繰り出し、楽曲がもつポテンシャルを最大限まで引き上げていた。さらに、開場から開演までのBGMを有安とともに選曲。最初から最後まで、実に音楽的な豊かさに溢れた空間が作られていた。
そして、有安もあらゆるジャンルを自由自在に歌いこなすだけではなく、様々な楽器を演奏していた。「ヒカリの声」でエレキギターを手に、ロックバンドのヴォーカリスト然とした佇まいを見せたかと思えば、「人生で初めて作った曲です」と紹介した「ハムスター」ではアコースティックギターを弾き、「小さな勇気」でエレピの弾き語りを披露。春の「サクライブ」ではピアノの弾き語りで歌ったバラード「虹む涙」をアコーステックギターをメインにしたアレンジに新調するという変化もあった。また、各会場ごとに変えているご当地カバーの1曲で、「東京公演では夏に歌いたい曲を考えたときに一番最初に思い浮かんだ」と言うフジファブリック「若者のすべて」では、水色のストラトキャスターが初登場。さらに、ネタバレになるために書けないが新たな楽器へも挑戦し、新曲も1曲だけではなく数曲を用意。そして、彼女が幼少時から最も親しんできたダンスパフォーマンスも解禁された。「久しぶりに歌いながら踊ったら…………こんな感じです」と息を切らしながら笑顔を見せていたが、パワー全開で自らの個性を発揮していたことは間違いない。
MCでは、観客一人一人と目を合わせるようにゆっくりと会場を見渡しながら、「みんなの顔を見ながら1曲1曲大事に歌っていきます」と語っていたが、彼女自身、ライブハウスならではの距離の近さを実感していただろう。「楽しすぎて最高です!」と声を上げていた彼女は、最後に「あっという間だったな。すごく幸せで嬉しくて、ツアーがやがて終わっちゃうことを考えると寂しいです」とこぼし、「私はまだまだですが、これからも曲を作ったり、歌を歌っていきたい」という宣言でライブは締めくくられた。
有安にとって初の全国ライブハウスツアーとなる「Pop Step Zepp(PIT)TOUR」は残り6公演となった。8月13日(火)にはZepp Tokyoでの追加公演も開催される。ぜひ多くの人に見てもらいたいと思い、7月30日(火)の大阪公演を終えたばかりの彼女を直撃し、インタビューを行わせてもらった。
全公演セトリが違うので、毎回緊張感と新鮮さをもってやれています。ライブハウスなのでめちゃくちゃお客さんの顔が見えるのも面白さの一つだなーと思えてきました。日によって、すごくノリノリだったり、すごく真剣に目を閉じながら聴いて下さっていたり、お客さんの顔を見ながら歌ってると、私の歌もその日によって自然と伝え方が変わったりして。『あぁー、ライブだなぁ〜』って思います。とても幸せで楽しんでいます。
もちろん緊張しまくりです。緊張しないライブはないです。今回のツアーは基本、各会場2daysなんですが、セトリが1日目と2日目で違うからか、なぜか2日目の方が更に緊張したり……(笑)。あと、新曲発表の前になると私の緊張がお客さんにもうつってしまうくらいガチガチになってしまったり…。一人でこうしてライブハウスでたくさんのライブをやらせてもらうの初めてなので、まだまだダメな部分が多すぎるのですが、まだまだなりに一つ一つのライブを大切にやらせていただいています。
私自身が2日間とも新鮮な気持ちと緊張感をもってやりたいなーと思ったのが最初のきっかけです。その時に、ちょうど今私が見せたい、見て欲しい世界観が2つあったので、じゃあ開場時BGMもopening曲もそれぞれ2種類用意しようと思いました。春のライブ“サクライブ”が終わってから、このコンセプトが自分の中で決まっていき、じゃあ、こういうテイストの新曲があったらいいなーと思い、それから作り始めたので、やばい間に合わないかも?!ってなった日も実はありました。
やっぱりダンスですかね。バンドセットの中で一人で歌いながら踊るというのは初めての経験でしたが、昔からの夢でもあったので、挑戦してみようと思い切りました。初めて挑戦する楽器演奏があったり、弾き語りがあったり……。本当にライブの最後の最後の曲まで緊張感ある構成になっています。
ステージとお客さんの距離がとにかくすんごく近いので、一人一人の顔がめちゃくちゃよく見えるんです!!本当に、みんな、それぞれいろんな表情で歌を聴いて下さっていて……。どのくらい見えるかというと、『昨日と今日でTシャツが変わってるー!』ってわかるくらい、とにかくよく見えます(笑)。あと、札幌公演で一番後ろの席にとってもノリノリでタオルを回してくださってるおばあちゃんがいらしたのも嬉しかったです。
なぜかもっと7公演以上やった気がしています。それだけすごく濃かったんです多分。一公演ずつライブが終わると反省会をしているのですが、昨日出来なかったところが次の日は出来るようになったり。でも、逆に、昨日出来てたところが次の日は出来なかったり……。悔しいこともたくさんありますし、本当まだまだだなって痛感することも多々あります。ですが、そんな私でも時間を作って観に来て下さる温かいお客さんがいるので、その方達に今持ってる120%のパワーを届けたいです。あっ、MCだけはほんと苦手なので…どうか助けて欲しいです…(笑)
あー、ファイナルのこと考えたくないです……(笑)。もう今からファイナルのことを考えてしまうと寂しすぎます。でも、あと2週間も経たない間にファイナルを迎えるんですもんね。泣いて笑ってぐっちゃぐちゃになるかもだけど。会場に来て下さるお客さんと一緒に心から楽しみたいです。とにかく、観に来て下さるお客さんに楽しんでもらえるように最高のステージをスタッフさんと一緒に作ってお待ちしています♪
Zepp Tokyo公演二日間ともセトリが違うので、私にとっては両日ダブル千穐楽、ファイナルなんです。それぞれの公演の熱い温度を思いっきり楽しみたいです!