Official髭男dism one-man tour 2019
2019年7月8日(月) 日本武道館
※本記事中には一部演奏曲の記載があります。予めご了承の上、お読みください
メインにはビジョンもなく、“HGDN”というシンプルな文字のモニュメントと、照明のみで魅せるとてもシンプルな構成ながら、彼らの特徴であるダイナミックでドラマティックなサウンドが大きな武道館に響き渡り、一気にポジティブな世界観へと昇華させるのはさすが。4人のバンドサウンドに、ホーン隊、パーカッションなどが混ざり合い、エンターテインメント性の高い音楽を楽しそうに届けてくれる姿は、とても無邪気で愛おしい。その歌声と曲に応えるように、観客もみんな両手を挙げて、笑顔で合唱を重ねた。ものすごくピースフルで、全員がこのライブに参加しているということを感じられる、まさに一体感のある空間に鳥肌が止まらなかったが、メンバーもそれを体感してか、何度も何度も観客に手を挙げさせようとたたみかけていく。
藤原 聡(Vo&Pf)は“今日は360度お客さんが入っていて、夢のような光景が広がっています。全員に届くように歌っていきます!”と宣言。さらに、この日は7月8日。“7年前の7月7日に初めてのライブをしました。それから7年と1日で武道館に立つことができて嬉しいです”“まさか武道館で響くとは思っていなかった曲を歌っていきたいと思います”と「コーヒーとシロップ」や「バッドフォーミー」を熱唱した。
他のメンバーも武道館に立つことが本当に感慨深いようで、ギターの小笹大輔は、実家の部屋にKen YokoyamaのライブDVDのポスターが貼ってあることを明かし、“ギターが好きなただの少年が、本当に武道館に立てる日がくるなんてビックリ”と目を潤ませていた。
さらに、まだCD化されていない「明け方のゲッタウェイ」が披露され、藤原だけではなく、全員が順番にヴォーカルを取り、直前に練習したコール&レスポンスでオーディエンスとひとつとなる瞬間も。藤原は何度も“7年間、ただ楽しかった。楽しい中で生まれてきた音楽を、みんなが楽しんでくれて嬉しい”と話し、ベースの楢崎 誠は“こんなの、あと15年は続くよ?”と話した後、ドラムの松浦匡希をはじめ3人が“15年?”と聞くと、楢崎は“いや、100歳までやり続けよう!”と宣言。すると小笹は“みんなで健康診断受けような”と話し、笑いを誘っていた。
藤原曰く“グッドミュージック”である、聴き手をポジティブにさせる明るい楽曲を次々と歌い上げるだけでなく、「Rolling」ではアダルトな雰囲気も出しつつ、様々な可能性を感じさせてくれるステージに、今後の期待が高まる。途中、ニューアルバムと全国ツアーの告知をサプライズの垂れ幕で伝えるというくだりでは、垂れ幕がひっかかって降りてこないというハプニングもあったが、それも笑顔で乗り越え、その発表には誰もが笑顔で喜んでいた。
アンコールで藤原は“この4人でバンドを始めてからずっと笑っていました。辛いことも4人で音を出せば吹っ飛びました。これからもいい音楽を作って年を重ねていきたいと思います。1日でも長くバンドを続けて、グッドミュージックを作っていくのが僕の願いです。その願いを込めて歌います”と話し、「Stand By You」を1万2千人とともに大合唱して、幕を閉じた。年齢性別問わず、愛されるグッドミュージックが彼らの手によって生まれ、届けられ、それがしっかりと聴き手の心に根付き、一緒にその音楽を楽しんでいることが実感できる、ポジティブでハッピーな空気にあふれたライブだった。