T-BOLAN 30th Anniversary LIVE Tour 「the Best」 ~励~
2019年6月15日(土)昭和女子大学人見記念講堂
昨年9月からスタートした23年ぶりの全国ツアー「T-BOLAN 30th Anniversary LIVE Tour『the Best』~励~」のファイナルが6月15日(土)に東京の昭和女子大学人見記念講堂で行われた。
梅雨らしいあいにくの雨模様の中行われたライブだったが、開演前の客席からは今か今かと待ちわびたファンの熱気で包まれていた。会場が暗くなったと思った次の瞬間、眩しい光線とともに「Only Lonely Crazy Heart」の音楽が響き渡る。白のロングジャケットを身に纏ったボーカル森友嵐士が「トウキョウ!行くぜ!」と一気に会場の熱量を上げる。続く「Bye For Now」では一瞬で音だけの世界に引き込まれ、会場のファン全員がその歌声に魅了された。ファイナル前のコメントでも語っていたツアーのもう一つのテーマである〝再会〟を「長い間逢いたかった人達と会えて、最高の時間を過ごさせてもらっている。俺たちの再会の旅はずっと続いていく」と喜んだ。
「じれったい愛」「悪魔の魅力」「LOVE」では曲の合間に森友の「トウキョウ」との叫び声で歓声はマックスに。さらには「俺が〝ENJOY〟というから、みんなは〝YEAH〟で応えて」とライブ中にファンとの合図を決めると、森友の「ENJOY」という言葉が飛び出す度にファンは「YEAH」の大歓声で応え、序盤から会場は一体になる。
そして7曲目には新曲「京恋唄」が発表された。新曲を歌う前のMCで森友は90年代に「歌う木になりたい」と言っていたことを思い出したと、あるエピソードを語り始める。「ある町に一本の歌う木があり、その木の周りにはたくさんの人の笑顔で溢れるようになった。しかしある日、歌う木は声を失ってしまう。あれから14年、また木は歌うことができるようになり、昔に歌う木の周りで歌を聞いてくれた人は再会を喜んだ。そして2019年6月15日、新しい歌を仲間と歌うことを約束した。愛する人を思う全ての人の心に届きますようにと」。その後ピアノソロから始まり、チェロの音が会場に響き渡る。新曲はしっとりとした秋の気配を感じさせるラブバラード。この曲は森友のソロプロジェクトで歌われていたもので、曲本来の雰囲気を生かしつつ、T-BOLANのバンドサウンドで発表された。
続いて、「Hold On My Beat」ではハーモニカを奏でながら、1本のマイクでギター五味孝氏と歌い上げ、ヒット曲「マリア」はアコースティックバージョンで披露。「あこがれていた大人になりたくて」では、黒のジャケットに着替えた森友が客席に表れ、ファンと握手やハイタッチを交わす。時にはファンと言葉を交わしながら会場を練り歩くこと約7分。どこまでもファンを大切にするT-BOLANの粋な演出が続く。
11曲目「愛のために 愛の中で」を歌い上げたところで、2015年にくも膜下出血で倒れ、奇跡の復活を果たしたベース上野博文も登場。森友の呼び込みに、上野は大歓声と共に笑顔でステージに上がる。森友が今回のツアーで復活した上野に対し、「3月に初めて上野の地元の栃木でライブがあり、上野の家族が見に来ていた。上野が本当に嬉しそうで、その姿に感動しちゃって。誰かのことでこんなに喜べることがあるんだな」とツアー最中のメンバー愛溢れる秘話も披露した。その後は、「Happiness」「刹那さを消せやしない」「SHAKE IT」「傷だらけを抱きしめて」とT-BOLANサウンドを感じる曲が続き、そのバンドサウンドの最も代表的な「My life is My way」では、ドラムの青木和義の激しいソロが90年代と変わらぬ、いや、それ以上の4人のポテンシャルで会場を魅了。
上野が復活後にやりたいこととして一番に上げた「ライブ」を、このツアーファイナルまでメンバー全員で完走した。
アンコールでは、「Re:I」「離したくはない」を披露。「この旅はずっとずっと続けていきたいと思っている。今世で、音楽でつながれた。ずっと再会し続けるんだな」とファンとの再会を再び誓い、同時に9月5日から行われる、約2年ぶりのアコースティックツアー「T-BOLAN LIVE HEAVEN 2019 夏の終わりに『Love Songs』~Acoustic Live Tour~」開催を発表。最後に今ツアーで恒例となった森友自身のスマホで動画撮影が行われ、サポートメンバーの坪倉唯子、人時の紹介、最後にメンバーの紹介が行われ、ライブが終演した。
……しかし、メンバー全員がステージを後にしようとしていたところ、客席からは「アンコール」が鳴り止まない。急遽、「再結成に向けてメンバーが再会した時に最初に合わせた曲」だと森友が語る「いじけた視線を君に語るより 光をみたい」を五味のギターとともにしっとりと歌い上げた。ファンからの声援に最後まで答え続けたT-BOLAN。森友は「また逢おうぜ!」と、これからも走り続けることを約束していた。