──ちなみに年末のライブの話に戻しますけど、チケットに絵馬が付くそうですね。
絵馬にいろいろな願いを書いてほしいんですよね。私のことでもいいし、自分自身の願いでもいいし。『ぼっち2』の弾き語りツアーでは、全会場でサイン会があったので、お客さんが、「来年受験なので行けなくなります。合格したら来ます」とか、「仕事で忙しくなって行けなくなりそうなんです、ごめんなさい」とか言ってくれるんですよ。それで、「がんばってね」とか言ってきてたけど、言葉だけじゃなくて、それを叶えるために、みんなで一緒に祈願したいなっていうのがあったんです。
──願いごとを書いた絵馬を鹿江神社に奉納してもらうというイメージ?
そうです、ご利益があるといいなと思います。
『ぼっち2』は、本当に自分の好きなことを表現できた作品だった
──なるほど。あと、カノエラナ的トピックスとしては、『ぼっち2』のリミックス盤として、『ぼっち2りみっくす』が11月14日(水)にリリースされます。見事に調理されましたね。
カラっと揚がったような感じになりましたよね(笑)
──どういう経緯で作ることになったんですか?
『ぼっち2』は、本当に自分の好きなことを表現できた作品だったから、「このままにしとくのは、もったいないね」っていう話になったんですよ。で、ふつうにアレンジをするだけじゃあ、インパクトがないから、リミックスとして(他のクリエイターに)完全に投げてみるのが面白そうだっていうことになったんです。
──たしかにバンドバージョンのアレンジだと、「こういう曲になりそうだな」って、想像できる部分もありますもんね。
うん、しかも「ぼっち」じゃなくなっちゃうじゃないですか。でも、完全ぶん投げスタイルだと、投げられたほうも「ぼっち」なんですよ。ひとりぼっちで投げ合うみたいな感覚なので。それもアルバムのコンセプトとして合ってるんじゃないかと思います。
──最近、リミックス盤を出すアーティストも減ってきましたけど、カノエくんにとって、リミックスは身近なものなんですか?
アニソンはリミックス系が多いんですよ。「原曲は全然知らないけど、このリミックス、良いなあ」から入ることもあって。でも、「リミックスって何ぞや?」って思う人もたくさんいると思います。私も妹に「リミックスって何なの?」って言われて、衝撃だったんです。だから、ちゃんと説明しようと思ったんですけど、言い方が難しいんですよね。曲があって、それをぶん投げて返ってきたやつがリミックスです、みたいな(笑)。イメージとしては、スタイリングをしてもらう感じかなって。「あなたにはこれが似合います」っていう服を着せてもらうみたいな。アレンジはオーダーメイドなんです。
──今作には、カノエくんのプロデューサーである浅野尚志さんをはじめ、謎のクリエイターユニットのハサミマン、元ROCK'A'TRENCHの山森大輔さん、POLYSICS のリミックスも手がけているKovacsさんまで、人選にもかなりこだわりを感じます。
私が「この人にお願いしたい」っていう方もいますし、スタッフさんが「この人にしたら?」って提案をしてくれた方もいますね。浅野さんと石崎(光)さんは、いままでもやったことがあるので、いちばん最初にお願いをしました。この人だったら、こういうふうに調理してくれるだろう、みたいなのを想像しながらお願いしたんです。
──どういう方向性でお願いしたいかは伝えたんですか?
ニュアンスだけですね。好きなように料理してください、みたいな感じです。たとえば、「本能的恋愛のすゝめ」とかは、怖い感じ、寒気がする感じで、みたいな。
──たしかに「本能的恋愛のすゝめ」は背中が寒くなる感じがしました。
ゾッとしますよね(笑)
──タイトルもユニークじゃないですね。ふつうリミックだと、クリエイターの名前に「~Remix」ってつけることが多いけど、「本能的恋愛のすゝめ」は「Kokku Remix」とか。それぞれサウンドの雰囲気に合った、タイトルになっていて。
これはアレンジしてくれる作家さんに名前を決めてくださいってお願いをして、つけていただいたんですよ。面白いですよね。
──カノエくんがリミックスに挑戦した「ねぇダーリン」は、Coudy Remix。
完成したら、クラウディーになってたんです。アコギのなかで歌ってるときは、雨でびちょびちょな感じだったけど、リミックスになると、テンポ感がちょっと速く聞こえるんですよね。だから、「あ、ちょっとだけ晴れた感じがする」と思ったんです。でも、晴れまでいかないから、曇りかなっていう感じです。
──『「キョウカイセン」』に収録されていた「エスカレーターエレベーター」のときに、初めてiPadで曲を作ったって言ってましたけど、そういう曲は増えてるんですか?
あれから2曲ぐらいしか作ってないんですよ。まだ世に出てない曲ですけど。そこまで突き詰めてなかったから、「ラナちゃんもリミックスやる?」って言われて、「え、嘘、ここでくるの!?」みたいな感じだったんですよ。でも、せっかくだからやってみようって決めてからは、自分でドラムを打ち込んだり、ピアノを入れたりして、楽しかったですね。最後にミックスをするときに、「サビにアコギのフレーズがほしいんですけど、打ち込んでもいいですか?」って、けっこうこだわったので。
──やってよかった?
うん。私、基本的に否定から入るんですよね。「えー、そんなの無理!」みたいな。でも、最終的には「いっか」ってなる。根はネガティブマックスなんですけど、無駄にポジティブなところがあるんですよ。これをやったら、自分の進歩につながるんだろうなあっていうのもわかるから、どんどん面白いことはやっていきたいと思ってます。
──振り返ってみると、2018年は初めてのフルアルバム『「キョウカイセン」』を出したあと、ひとりきりで作った『ぼっち2』で原点に戻って、その締めくくりに今作『ぼっち2りみっくす』で新しいチャレンジをして、濃密な1年になりましたね。
いままででいちばんまとまった年になった気がします。デビューしてからは、自分がやってることがわからなくなる瞬間もあったんです。「いつデビューしたっけ?」とか「あの曲、どのアルバムに入れたっけ?」って、時系列がバラバラになるぐらい駆け抜けてたんですよ。ライブを埋めなきゃ、進化を見せなきゃっていうのがあったから、限界を超えて走り続けてたんです。だから今年は地に足を着けて、じっくり曲と向き合う時間がほしかったんですよね。でも止まっていたくはないから、ずっとライブはやりたい。そういう願いも汲んでもらいながら活動することができたんです。だから収穫は多かったと思いますね。これから前向きに歩き出す意味でも、この1年があって良かったです。
──カノエくんにとって、2018年は一区切りの年だったんですね。
自分のなかのドタバタにピリオドをつけたんです。
──2019年には、どんな展望を抱いてますか?
この1年で見えたことを整理する年にしたいですね。2018年の進化版みたいな年になればと思います。いま、すごく自分を更新できてるので。
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