コロナが起こったときは、みんながそうだったと思いますけど、まさかこんなことになるとはと思いました。“嘘だぁ!”みたいな。ただ、私はコロナが始まった早い時期に今後は感染者が増えて、減って、また増えて…ということを繰り返すことになって、1年、2年で収束するのは無理なんだろうなと思ったんです。お薬を作るにしてもいろんな検証をしないと世の中に出ないし、今年に入ってからワクチンが出ましたけど、当時はワクチンを作るには数年かかると言われていたんですよね。だから、気持ちを切り替えて、この状況で自分ができることを見つけていくことにしました。それで、まずは配信を始めたんですけど、時期的にかなり早いほうだったんじゃないかなと思います。月に1度は必ず配信をやると決めて、弾き語りの動画をアップしたり、ライブハウスで配信ができるようなセットを組んだり、カフェみたいなところでスペースをちょっとお借りして自分達で配信ができる環境を作ったりしました。
はい。それも30分とかのショート・ライブではなくて、普通のライブと変わらないくらいの長さのものをやりました。弾き語りもやったし、音源を流しながらそれにギターを合わせてみたりだとか、あとはマイクだけを持って音源を流してパフォーマンスしたりだとか、いろんな見せ方をしましたね。画面越しでずっと同じような感じだと見てくれている人が飽きちゃうだろうなというのがあったので、バリエーションをつけることにしたんです。
いやいやいやっ(笑)。元々私にとって生でライブをするというか、人前に立つというのは大きな壁なところがあるんです。一言でいえば、苦手なんです。配信はお客さんとか、聴いてくれている人が目の前にいないから、私的には超えやすい壁だったんですよね。画面越しのほうが、実は落ち着く…みたいな(笑)。
私は、あんまりツラくないです(笑)。なので、お客さんのいない配信ライブも楽しくできました。
いつ頃だったんだろう?……去年の夏とかだったかな。(マネージャーに向かって)制作を始めたのって、いつ頃でしたっけ?
マネージャー:デモを作ったのは、夏よりもっと前じゃない?
カノエラナ:そうだ、そういう気がする。今回はアルバムを出すための種みたいなところから、全部自分でやらなきゃいけなかったんです。だから、その辺りのことは、もっと前から始めていたと思います。世の中はコロナになってしまったけど、私は全然止まることなく、ずっと走ってきた気がしますね。
これはですね、今の私はすごく少ない人数のスタッフでやっているので、どんな作品を作るかという話になったときに、めちゃくちゃ親密に全員で話せるんですよ。そういう状態でみんなと話したところ、次にアルバムを出すなら全部自分で考えて、全部自分で作ってやりなよというような話の流れになりまして。それで、自分が好きなものをやれるなら、趣味に走っていいですか?…みたいな(笑)。100%趣味に走らせてくださいという話をしたら、「ええよ、ええよ。好きなようにやり」という感じで言ってくださって、それなら私が元々すごく好きな暗い感じというか、いつものカノエのロックな感じとはかけ離れたところにいきたいなと思ったんです。ロックなものを無理してやっているわけではなくて、よりパーソナルな方向性というか。自分が普段聴いているような曲を私も作りたいなと思って、そこからコンセプト・アルバムという構想が出てきました。