──では、まず、「SEGODON」について改めてお伺いしたいんですが。
それも清少納言と似てるんだけど、それこそ1枚目2枚目くらいから西郷隆盛の曲を書こうと思ってたんだけど、ずっと書けずにいて。1回デモを作ったこともあるんだけど、やっぱりできなくて。あんなに象徴的でポピュラーな日本史のトピックないってくらいなんだけど、なかなか書けずにいて。具体的すぎて歌にしにくいみたいなのもあっったんですよね。そこにNHK大河ドラマ『西郷どん』のパワープッシュソングの話が来て。タイアップも含めて背中を押されたんだけど、どういう人なんだろうって考えた時に、もう鈴木亮平くんだと。俺の中で鈴木亮平くんを書こうと思って書いたらすぐ書けた。
──映画『海街diary』でご一緒されてますよね。
それがご縁で知り合って。去年、<宗像フェス>に出た時に、彼が司会してて。それで久しぶりに飯食ったりして、“西郷どん決まったね”みたいな話をしてたら、まさかのこっちにも話が来たみたいな。
──亮平さんと西郷どんが重なったのはどんなところでした?
やっぱりヴィジュアルイメージの豪快なジャンプ。気持ちいいヤツなの、ほんとに。さっぱりしてるっていうか。そういう意味で付き合いやすいっていうか、いい意味で欲がない。もちろん演技にたいしての熱はあるんだけど、裏がないっていうか、親しみやすいんだよね。あんだけ真面目でいいヤツなのに、演技にもストイックにのめり込める俳優さんってなかなかいなくて。それがまた謎でもあるっていうか。この人、家だとどうなんだろとかも思って。そういうのをいろいろ考えた時に、もう西郷どんじゃんって。龍馬が西郷どんのことを<小さく打てば小さく響き、大きく打てば大きく響く>って表現したけど、亮平みたいな人のことだなって。見た目は全然違うけど、こんな感じの人なんじゃないかなって思った時にパッとできたの。忘れもしない、紅白で審査員をやってて。誰の歌だったか忘れちゃったんだけど、聴きながらちょっと泣いてたの。本当に本気で泣いてるのよ、やつは。感動屋さんだし。それもなんかね、〈あ、西郷さん〉って思って。たぶん西郷さんも泣いちゃうと思うんだよね。でも、2時間後には忘れてるみたいな。そういう感じの人。そういういろんなことが相まってこうなりました。
幕末ってエモーションの時代だと思ってて。実は国を動かしたのって、根本は女性が理由だったりするんじゃないかって
──歌詞にある<あの娘を想うそのキモチ/幕末させて行こう>っていうのは?
幕末ってエモーションの時代だと思ってて。国を変えるためには死んでもいいっていう。あの熱量すげーなって思って。で、それってなんだろうって思ったら、好きな子にいいとこ見せたいっていう原動力がけっこう大きいんじゃないかと思って。それは幕末だけじゃなく、日本史においてもそう。描かれてないけど、実はめっちゃ国を動かしたのって、本当の根本には女性が理由だったりするんじゃないかなみたいな。だってそうじゃん、付き合うまでが一番テンション高いでしょ?(笑)。その熱量みたいなのと通じるところがあるなって。だから、抑えきれない感情を爆発させようっていうのと、幕末させようをかけたっていうか(笑)。だって、脱藩するんだよ?今だったら国外逃亡だよ?考えられないじゃん。それでも!って思うのは、フラストレーションも含めて、もうほんと抑えきれなかったんだろうなと思って。
──そんな「SEGODON」との対比として、最後に「マイ会津」が入ってるんですよね。これは白虎隊の歌ですよね。飯盛山から鶴ヶ城を見てる風景が浮かびます。
そう、本当にその想いで書いた!これもまさに足軽先生に背中を押されて。西郷どん書いて、薩摩の曲あって、“会津の曲がないのはどうかと思って悩んでるんです”って言ったら、“絶対に書いたほうがいい。何、気にしてんだ?”って。あと箭内(道彦)さんも福島の人だから、土地の人に聞こうと思って。もちろん茶化してないけどさ、曲にすること自体がっていうのもあるから、“曲にしようと思ってるんです”って言ったら、箭内さんも、“ぜひぜひ、曲にしてもらうのはうれしい”って言ってくれて。“だったら足軽先生ラップしてください”ってお願いして。曲のテーマと歌詞のちょっとした内容とテンポを言っただけでラップが来たの(笑)。べつに白虎隊とも言ってないのよ。日新館の教訓みたいな話をしただけなのに、白虎隊を連想させるこのラップ!あの人、ほんと天才だなと思って。“もう乗り移ってますね”ってメールしました。自分でも“鳥肌立った”って言ってたし、その2時間後に、“〈YOU GOTTA MY SOUL〉って〈夕方埋葬〉だ”っていうメールが来たの。もう俺それでちょっと怖くなって、やめましょう!って言ったの(笑)。それくらいすごかった。でもまあ、ハマる時って、そういうことなんだよね、本当にアルバムのレコーディングの最後の最後にできて。いろんな思惑と思い入れがあって。
──いろんな思い入れというのは?
「LIVE福島」っていう箭内さんのイベントがあって、それのPR動画みたいなのを作ったんだけど、それは西田敏行さんのナレーションがあって、福島の街並みとか映して。それに曲をつけてくれって頼まれて、ピアノの曲をつけたの。そのピアノのバッキングを使って作った曲でもあるから、いろいろ全部つながって、これができたことでアルバム完成したなって感じがあって。で、〈マイ会津〉っていうワードはもうずいぶん前から〈オープンユア会津〉とか〈オープンマイ会津〉とか考えてたの。最後の〈会津若松〉も、シャカッチ(ハナレグミ)は何を言ってるかわかんなかったらしくて。後日、出来上がりを聴いて、“これ会津若松って言ってたんだね!”ってメールが来た(笑)。“わかってなかったんかい!一番大事なとこだから!”って(笑)。それであのギター弾いたのすげーなって。まあ、でも、シャカッチのギター入ってまた完成された感がね。白虎隊に寄ってた感じだったのが、あのギターでグッと恋愛に戻った感じも俺の中ではあって。本当にすごいなって。楽しかったね。
レキシはやっぱりライフワーク、ライヴも含めてうまく作用してくれるといいなって思う
──10曲できあがってご自身としてはどんな感想を?
レキシって、最初に出した時くらいはライフワークくらいのノリで思ってたの。でも、すごい盛り上がっちゃったことにちょっと戸惑ったこともあったけど、結局はライフワークなのかなってまたあらためて思うようになった。だって、本当にずっと作ってるからね。今回も2、3年前の曲もあれば、今回のアルバムのために20曲くらい作ったから。まだまだ残ってる曲あるし、言ったらもう次のこと考えてるし。だから、ずっと書いてるんだなって思うと、やっぱりライフワークだなって思うので、ライヴも含めてうまく作用してくれるといいなって思う。
──横アリ2デイズと大阪城ホール公演を含む全国ツアーが決定してます。
武道館の時点で自分の想像というかキャパ超えてるから。今さらアリーナ行ったところで、そんなに大きくなったみたいなイメージはなくて。むしろ今までやってきた延長線上っていうか、今までどおり、いつものレキシをやります(笑)。
──(笑)。どんなツアーになりそうですか?
ただアルバムの曲をやるだけじゃないライヴをやりたいんだけど、タイトルも「まんま日本ムキシばなし」だし、『ムキシ』にホーンが多いのもライヴを想定して作ったっていうところもあるから、それがどう生きるかが楽しみ。ワクワクしてますね。
──最後にタイトルの意味を教えていただけますか?
今回、鬼太郎もあるからアニメ寄りというか、妖怪や魑魅魍魎的な路線も考えてるし、『西郷どん』もあるしなって、いろいろ考えてたんだけど、もう収集つかないから、「まんま日本ムキシばなし」にしました。ちょっと『ムキシ』に寄せとけば、どう転んでもいいかな、みたいな。(笑)。お楽しみに!!
PRESENT
レキシ「GOEMON」クリアファイルを3名様に!
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