──大人になってから組んだバンドの目標が「長くやること」「CDを出すこと」「武道館」って、最高ですね。
大森あんまりいないですよね、そんなバンド(笑)。若いときからずっとやっていて、いまも活動している先輩たちはいらっしゃるけど、この年齢になってからバンドをやる人は少ないと思うので。俺と浅野君(忠信)くらい?
塚本あと去年ご一緒させていただいた、(中村)獅童さんですかね。
大森そうか(笑)。ミュージシャンが役者をやることも増えてるから、こっちから攻めてもいいんじゃないかな。
“リハ”じゃなくて、“バンド練”っていうんですよ、南朋さん。(塚本)
──確かに。今年の夏は「気まぐれジョニー」「さよならブギー」「ワンダートレイン」が3週連続で配信されました。まるで目の前で演奏しているような生々しいサウンドがまず印象的で。
大森ありがとうございます。
塚本いまのところ、ほぼメンバーの音だけでやってますからね。やりたいことはいろいろあるんですよ。管楽器やピアノを入れたり、ゲストボーカルに参加してもらうのもいいと思うんだけど、いまの時点では4人のバンド感が軸になっていて。
大森それしかわからないですからね。前にやってたバンドを辞めてから月に吠える。を組むまでに15年くらい経ってますけど、その間に機材がすごく進化して、ぜんぜんついていけてないんです(笑)。弾き語りをケータイに録音して、それをメンバーに聴かせてアレンジするっていう…。
塚本昔ながらのやり方ですね。スタジオに入ることも“リハ”じゃなくて、“バンド練”っていうんですよ、南朋さん。
大森昭和ですね。もう平成が終わろうとしてるのに(笑)。蘭丸(土屋公平)さんに曲を聴いてもらったときも「中央線の匂いがするね」って言ってもらって。
塚本「ルーツがある音楽っていいね」って言ってもらえたのも嬉しかったです。
──「気まぐれジョニー」もまさにそうですよね。メンバーのみなさんが聴いてきた音楽が滲み出ているというか。
大森「気まぐれジョニー」はオルタナティブ・ロックの雰囲気でやりたかったんですよね。歌詞に関しては、親父の小言みたいなもんです(笑)。僕が小言を言うのは鬱陶しいので、「“気まぐれジョニー”に僕が言われている」という設定にして。ジョニーも(ロックの歌詞で)使い古されてますけど、この曲、ジョニー・サンダースと同じギターで作ったんですよ。ギブソンのレスポールJr.なんですけどね。
塚本南朋さんは曲のイメージをしっかり伝えてくれることが多くて。僕らはそれをブラッシュアップするだけなんですよ。「気まぐれジョニー」も「ここでギターがガーッと!と入って」という感じで。
大森自分が弾けなかったんですけどね(笑)。どうしても歌いながら弾けなくて。
──「さよならブギー」は、いぶし銀のブギーとポップなメロディを軸にしたナンバー。
大森ポップロックですね。もちろん好きなことをやってるんだけど、一方では「できるだけたくさんの人に聴いてほしい」という気持ちもあって。両方を含めて“やりたいこと”なんだと思います。ブルーハーツもスライダーズもRCもメロディはキャッチ—ですからね。
──そして「ワンダートレイン」はUKロックのテイストを感じさせる楽曲です。
大森1枚目(「第一巻」/2016年)の頃からあった曲で、ようやくレコーディング出来た曲ですね。
塚本確かにUKロックの雰囲気はあるかもしれないですね。
大森コードはすごくシンプルなんだけどね。“3コードくらいのシンプルなアレンジで、いかにいい曲を作るか”という戦いなんだと思います、やっぱり。曲を作ってると似てきちゃう部分もあるだろうけど、それをやり続けるのが大事かなと。
──ライブも当然、積み重ねることで良くなっていきますよね。
大森そうですね。最近はいい感じでまとまってきてると思いますよ。ドラムも落ち着いてきたし(笑)、ライブに来てくれるお客さんも、月に吠える。の雰囲気をわかってくれて。
塚本いい意味で余裕が出てきましたね。もちろん、緊張感も大事なんですけど。
──今年の夏のライブハウスツアーでは、若いバンドとの対バンも。
大森神戸のmusic zoo KOBE太陽と虎のブッキングマネージャーに「月に吠える。は年取ってて怖い。怒られそう」って言われたんだけど(笑)、僕らも若いバンドと一緒にやるときは緊張してるんですよ。ライブハウスを回ったことで、バンドの楽しさ、大変さも経験できたし。良かったですね。
オニギリでも持って遊びに来てほしいな、と(笑)。(大森)
──11月18日(日)には新宿BLAZEでワンマンライブ『月に吠える。ジュクで吠える。』が開催されます。過去最大級のワンマンですね。
大森そうなんですよ。いままで僕らのことを見たことがない人にも来てほしいですね。ロックバンドのライブですけど、ぐちゃぐちゃになって暴れるような感じではないし、オニギリでも持って遊びに来てほしいな、と(笑)
塚本次のワンマンも通過点の一つなんですが、このタイミングで改めてバンドの意思疎通を取って、リスタートすることになるのかなという気もしていて。
大森おっ!
塚本(笑)2016年の渋谷WWWのワンマンもそうだったんですけど、節目節目でギュッとさせるのも大事なのかなと。
──なるほど。月に吠える。の活動が充実することで、他の仕事に対する影響もありそうですね。
大森そうだと思いますよ。僕はもともといろんなことをやりたいタイプなんです。映画が好きで俳優になったんですけど、映画ばかりでも煮詰まるし、舞台ばかり、ドラマばかりでも良くない気がしていて。そこにバンドが加わったわけですけど、いまはいろんなことをやっていい時代ですからね。
塚本このバンドをはじめてから、ギターの弾き方、音楽の聴き方も変わったんですよ。バンドで曲を作るときは音のバランス、アレンジも担当させてもらってるので、責任感もぜんぜん違うんです。
大森ちょっと気持ち悪いくらい、自分たちの曲を聴いてるからね(笑)。音楽に詳しい友達から「こんな曲をやってみたら?」って意見を聞くのも好きだし。
塚本だいたい「バラードやってほしい」って言われますけどね。
大森「ブルーノ・マーズみたいな感じもいいんじゃない?」って言われたこともありますよ。そのたびに「いいかも」って思うし、いろんなことをやっていきたいですね。
塚本そうですね。何をやっても、出来上がってみるとこのバンドらしい音になると思うので。
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