────「Capturism」はたしかに、あの高速変拍子をそのままの音で聴きたい感じではありますからね。井上くん的に、今作ならではのアプローチだと感じる楽曲はどの曲だったりします?
井上 司
ドラム的にはやっぱり「Paradigm Shift」ですね。1回で録る楽器の量を今までで一番多くセッティングして挑んだ曲でもあったんです。さらに、その上にドラムを重ねたりとかもしたので、音色とかチューニングとかをいろいろと試せた1曲になりましたね。じっくり楽しみながら、一番時間をかけた曲でもあったかな。
岸本 亮
難航して時間がかかったというより、よりクリエイティブに時間をかけて録ったって感じだったよね。
井上 司
レコーディング時期も、後半だったので、よりこだわりを持って向き合いましたね。
──岸本くん的にはどう?
岸本 亮
僕としては「Because Of You」ですかね。
──Ne-Yoのカヴァー曲?そもそも、どうしてNe-Yoのカヴァーを?
岸本 亮
結構いままでロックバンド系のカヴァーをやってきましたからね、いきなりな感じはたしかにありますよね(笑)。いや、実は、よく行くカレー屋があるんですけど、そこで必ずこの曲がかかってるんですよ!もともとこの曲は知っていたんですけど、毎回かかってるから気になっちゃって。それで、今回アルバムを作る上で、いろいろと考えていたんですけど、アルバムのトータルバランスもそうなんですけど、時代的に人々が求めてる色っぽさみたいなものを感じたので。
──でも、この曲がリアルタイムでヒットしたのは、たしか今から10年前くらいですよね?2007年くらい?
岸本 亮
そうですそうです。メロディがすごくハッキリしてるし、いいなぁと思ったんですよね。実際やってみても、すごくやりやすかったですしね。是非、原曲と比べてもらえると面白いんじゃないかなと思います。原曲は音数がすごく少なくてアメリカっぽいので、そこと比べてもらえたらなと。
カワイヒデヒロ
僕は、原曲を知らずにカヴァーしたんです。だいたいいつもカヴァー曲をコピーするとき、原曲を聴かずに挑んだ方がいい感じになるなと思っていて。原曲を聴くとどうしても先入観が入ってしまうので。メロディだけを聴いて、あとはメンバーが出す音を聴いて、自由に弾きましたね。
岸本 亮
でも、それでいいんじゃないかなって思うんですよね。そっちの方がオリジナリティも出ると思うし。
カワイヒデヒロ
そう。カヴァーなんだけど、ガッツリオリジナルな感じだからこそ面白いというかね。
──そうだね。カワイくんはどう?今回のアルバムならではのチャレンジを感じた曲は?
カワイヒデヒロ
「Capturism」が結構難しかったんですよ。初見でこの曲を弾こうとしたら、ちょっと待って、頭の拍子分からないや……みたいな感じになっちゃったんです(笑)。なので、一旦断念して、“1回、覚える時間ちょうだい”って言って、時間もらったんです。体の動き的にも、いままでやったことのない動きだったんです!
岸本 亮
あははは。
カワイヒデヒロ
半音でしか動かないんだけど、微妙なリズムのスイッチ具合があったので、体に馴染ませてからRECに臨みました。
──「Capturism」は、岸本くん作曲ですけど、どこからそのリズムは生まれたんですか?
岸本 亮
「Capturism」のイントロに関しては、自分の中では“トリックアート”的なイメージなんです。1つの絵が別の角度から見るとまったく違った絵に見えるという。ああいう感じにしたかったんです。まぁ、わりとシンプルな6拍子ではあるんですけど、4thアルバムの中に収録されている「混沌と創造の幾何学」でも同じような感じをやっていたりするんです。作っていく間に、次の展開が7拍子で6拍子で、サビは5拍子で、っていう感じで、自然と展開していったというか(笑)。最初に出来たのはサビのフレーズでしたね。
井上 司
数えるとこんがらがっちゃうんですよ(笑)。
カワイヒデヒロ
数えてる口がもつれちゃうみたいなね(笑)。
──そうですね、見失いますよね(笑)。今回、個人的な感想をのべるとすると、頭3曲で畳み掛けられる印象なんですよね。今回のアルバムの色をすごく見せつけられるというか。
岸本 亮
はい、そうですね。並べて聴くと、「We Are Confidence Man」も、サントラとは違って、いい具合にアルバムに馴染む1曲になったなと思いますよね。こういう曲も、前作で言うなら、「PLASTIC JAM」みたいに、スローテンポのセッションテイストな曲をやってきたからこそ、こういう感じに落とし込めたのかなって思うんです。
──なるほど。
岸本 亮
でも、今回のは、曲の展開が多くて、R&BだったりHIP HOPっぽいリズムを入れていたりするので、そこはいままでに類が無いのかなと思いますけどね。
──「Kick Up」で、また違った展開が見れますよね。
カワイヒデヒロ
完全にfox節ですよね。
岸本 亮
結構ダークなアルバムになりそうだったので、最初どうかな?と思ったんですけど、既存のファンの人達のためには必要な1曲なのかなと。
井上 司
まさに、fox capture planといえば、って感じの1曲ですね。展開が激しいんですが、躍りやすい感じなんじゃないかなと。この曲こそ原点回帰を感じるというか。1stアルバムや2ndアルバムしか聴いたことないっていう人達にも、すごく馴染みのある曲調になっていると思いますね。
カワイヒデヒロ
いい意味で安定のfox capture planですよね。たぶん、2、3年前に作った曲だよね。
井上 司
そう。今回、いろんなところに集まってるデモの欠片みたいなのを集めてシェアして、その中から、“これやりたい!”って。この曲と「Paradigm Shift」を提案したんです。
──なるほど。たしかに、フックになってますもんね。個人的に「interlude」から後半の流れもすごく好きでした。
岸本 亮
後半に行くほどキャラが濃くなる、みたいなイメージもほしいなって思っていたんです。
──「Mad Sympathy」のちょっと切なげな雰囲気もすごくいいですよね。
井上 司
そうなんですよね。
カワイヒデヒロ
この曲って、サウンド的にちょっと懐かしい感じがするんですけど、そこもいいんですよね。
岸本 亮
ちょっとツーステップな感じだからね。コード進行も切ないし、哀愁があるし。
カワイヒデヒロ
2000年くらいかな?時代的には。そんな頃の懐かしさがあるよね(笑)。ちょうど僕らが高校生とか大学生だった頃のサウンドというかね。キャッチーさがある1曲だなと思いますね。
井上 司
いい意味で聴いてるとボーッとできるというか。
カワイヒデヒロ
そうだね。ちょっとアシッドジャズ感もあってね。
岸本 亮
過去のアルバムでも、ちょっとダブステップっぽい曲も何曲か書いていたので、そういうステップ繋がりでも、いいチャレンジなのかなと思いますね。
──なるほどね。「Overdrive」も「Liberation」からのいい振り切り具合を感じましたしね。
岸本 亮
「Overdrive」は、1年は経ってないけど、前のツアーでももうやっている曲でもあるので、馴染みのある1曲で、アルバムの中ではポップな感じですよね。Aメロを超えるサビというのが特徴的だと思いますね。「Capturism」「Kick Up」「Overdrive」って、このアルバムの中でも、特にfoxっぽいなって思いますね。すごくいいバランスで、アルバムの中でいい位置を陣取ってるなと思いますね(笑)。
井上 司
たしかに、すごくいい位置を陣取ってるね(笑)。
──ということで、今回のアルバムを引っ提げたツアーが10月からスタートしますが。
カワイヒデヒロ
いつもは、アルバムの曲をあんまりやらないことが多かったりするんですけど、今回はほぼほぼ全曲やるんじゃないかなと思ってますね。
──アルバムツアー前に、9月には、キックオフライヴがあるんですよね。このツアーはどんなツアーに?
岸本 亮
キックオフライヴは、アルバムの曲と半々ぐらいのイメージですかね。
井上 司
関西でのワンマンはキックオフライヴだけになるので、是非、関西の方はいらして頂きたいなと思いますね。京都でのライヴも久しぶりなので、楽しみにしてもらえたらと思います!
岸本 亮
9月はジャズフェスとかたくさんあって、その流れでのワンマンツアーになるので、すごくいい状態で挑めるんじゃないかなと思ってます。
PRESENT
直筆サイン入りポスターを3名様に!
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