マスターはカセットテープですから。CDになったからといって、音がきれいになってるわけじゃないんですよ(笑)
──“カンタンカンタビレ”の企画自体は現在も進行中で、曲もどんどん増えていますが、作品としてまとめるとすればこの11曲というボリュームかな、ということでしょうか。
例えばアナログ盤も出すということになると、入れられる曲数に限りがあるわけですよ。CDだったらもっと入りますけど。今回は全部で43分なんですけど、アナログやカセットだと、それくらいがいいんですよ。
──曲順も、配信された順番とは違っていますが、作品としての流れみたいなことを考えたんですか。
これは、A面とB面をまったく同じ時間にしたかったんです。例えば、カセットの場合、どっちかが長いとそうじゃないほうの面は余るじゃないですか。それが嫌で。だから、本当にぴったり同じですよ。それだけのために組み替えたんです。それはもう、プロトゥールスの画面上で確認して、「こっちのほうが長い。これとこれを入れ替えよう!」みたいな(笑)。
──(笑)、そこはまったくデジタルですね。
そう、超デジタル(笑)。
──ちなみに、昔、普通の音楽が好きな学生だった頃もそういう性分だったんですか。
全部そうしてたわけじゃないですけど、例えば“お気に入りのビートルズのアルバムをカセットに録るぞ”というときには、どっち側の面が長いかをまず確認して、長いほうから録って、余りは切っちゃうんですよ。
──ええっ!?テープを引き出して、切って、またつないで、ということをやるんですか。
そうそう。そのためのテープは売ってましたから。
──ラジオのディレクターが6ミリのテープを編集するのと同じことをすでにやってたんですね。
それくらいのことは、僕の周りでも何人かはやってましたよ(笑)。そういうことも思い出しつつ、A面とB面がぴったり同じ尺だといいなと思い、それでこの曲順になったわけです。
──この作品は、カセットとアナログ、それにCDの3仕様でリリースされるわけですが、例えばアナログ盤の帯に「デジタル配信中!」と紹介されていたりするのも、かなり倒錯してますよね(笑)。
(笑)、だいたいこのアルバムのCDも大元のマスターはカセットテープですから。だから、CDになったからといって、音がきれいになってるわけじゃないんですよ(笑)。カセットからカセットに落としたものは、ある意味ではさらに音質が悪くなっているとも言えるし。そういう意味では、三形態の中ではCDがいちばん大元に近いとも言えますね。ただ、グレッグ・カルビさんにマスタリングをし直してもらってますから、どれも特別かもしれないです。
いろんな意味で独特な会場ではあるから、いつもよりテンションがちょっと高くなったりすることもあると思います
──なるほど。さて、10月には日本武道館2Days公演が決定しています。これはこの新作のリリースよりも、先に終わったMTR&Yのツアーの流れを受けたものと考えていいですか。
そうですね。武道館が取れたのが10月だったというだけの話で、むしろこのあいだのツアーにくっ付いててよかったんですけどね。基本的には、たまには武道館もいいかなというところから始まってるんですけど。
──MTR&Yの4人でライブをやるようになって約10年ですから、そろそろ1回やってもいいかな、みたいな感じはなかったですか。
いや、特に区切りとかそういうことでもないし…。ただ、去年出したアルバム(『サボテンミュージアム』)がうまく録音できたなという感じはあったし、確かにライブがいい感じになってきたなということは思ってました。
──奥田さんが2日続けて武道館でやるのは15年ぶりということなんですが、奥田さん自身は武道館でライブをやることについてどれくらい特別な感じがあるものですか。
僕がライブをやる会場としては大きなところですから、だからイメージとしては“デカいところ”ですよね。個人的には普通のホールが好きですし、そこでやれていればまったく幸せなんですが、ただ武道館の場合はやっぱりビートルズがやったとか、いろいろ歴史がありますからね。もちろん最初にやったときはうれしかったですし。
──ライブ会場としての武道館については、どういう印象ですか。
デビュー直前にシカゴを見に行ったのが僕の武道館初体験なんですけど、席がすごく後ろのほうだったし、じつはシカゴのこともよく知らなかったし(笑)、音が悪いなという印象だったんです。前のほうの席だったら良かったのかもしれないですけど。だから、普通のホールでやったほうがいいんじゃないの?と思ったんですよ。それはドームについても同じような感じで、音的には良くないという印象だったんですが、PA機材が進歩したりしたせいで、ある時期からグッと良くなって、武道館はむしろ音がいい会場と言ってもいいような感じになってますよね。それに、形とか、さっき話した歴史のこととか、いろんな意味で独特な会場ではあるから、ライブをやる僕らにとっても記憶に残る場所だし、やるときにはやっぱりいつもよりテンションがちょっと高くなったりすることもあると思います。
──セットリスト的には、やはり先のツアーの内容がベースになりますか。
多分そうなると思います。というか、まだ何も考えてないんですけど…。ちなみに、弾き語りのほうは当日にならないとわからないですね。
──(笑)。当日を楽しみにしています。
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